消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

反緊縮を掲げる安藤裕議員と須藤元気議員を応援しよう

安藤裕議員は2021年の自民党総裁選に出馬して総理大臣を目指すべきだ

 最近、気になっている政治家に自民党の安藤裕議員と立憲民主党須藤元気議員がいる。安藤氏は自民党衆議院議員でありながら安倍政権が進める消費税増税法人税減税に批判的で、2018年11月には別冊クライテリオンで当時自由党参議院議員だった山本太郎氏とも対談した。その一方で、自民党の離党を求める声に対しては「離党してしまっては与党の政策を転換させることはより困難になる」と否定している。自民党に所属しながら安倍政権の緊縮財政を批判するのは非常に勇気のいることだろう。

 しかし、真っ当な経済政策を掲げる安藤氏に対して揚げ足を取ろうとしているのが自民党幹部の議員だ。新型コロナウイルスに乗じて更なる増税を目論んでいる石原伸晃元幹事長は6月4日、消費税廃止を求める党内の声に触れ、「根拠を示さずものだけ言うようなことはこれまでの我が党にはない」と発言し、ある閣僚経験者も「子や孫の世代に負担を押し付けることになる。責任政党の姿ではない」と減税勢力をけん制した。

 

 自民党幹部が言う「孫の世代に負担を押し付ける」とは国の借金が増えることなのだろうが、国際的な財政再建の定義は政府の負債対GDP比率が減少することで、名目GDPが増加すれば政府の負債が増えても財政健全化は達成できるのだ。2019年度の名目GDPは552.1兆円だが、もし橋本政権以降の自民党が緊縮財政を行わず消費税が3%のままだったら個人消費が157.8兆円も押し上げられて名目GDPは709.9兆円になっていた可能性が高いことは『消費税3%減税と公務員増加で名目GDP700兆円を目指そうの記事でも説明した。

 だが、橋本政権よりも前に1989年の竹下政権が消費税を導入しなかったらどうなっただろうか。消費税が導入される前の1981~1988年度の家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は年平均で7兆6840億円も増加していた。2019年度の家計最終消費支出は245.9兆円だが、もし消費税が導入されなかったら家計消費が毎年7兆6840億円も増加して2019年度は415.7兆円にのぼっていたことが予想される。そうなると2019年度の名目GDPは169.8兆円も押し上げられて721.9兆円になっていた可能性が高いだろう(図62を参照)。ちなみに、消費税廃止の他にも1997年以降に削減されている公的固定資本形成を増やせば、名目GDPは750~800兆円にも達していたかもしれない。

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 名目GDPが552.1兆円から721.9兆円に増加すれば当然のことながら「政府の負債対GDP比率」も減少する。財務省によれば2020年3月末時点で国債と借入金、政府短期証券を合計した政府の負債は1114.5兆円で対GDP比率は202%となっているが、もし消費税を導入せず名目GDPが721.9兆円だったら「政府の負債対GDP比率」は154%まで縮小したことになる(図63を参照)。消費税を増税するどころか廃止したほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効で、安藤氏の提言は極めて現実的なものだと言える。

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 ただし、消費税廃止を実現させるために安藤氏は2021年の自民党総裁選に出馬して総理大臣を目指す必要があるだろう。自民党総裁選に出馬するためには党所属の国会議員から20人の推薦をもらう必要があるが、問題なのは安藤氏を支持する自民党議員がどれほど存在するかということである。例えば、自民党幹部は麻生太郎氏、二階俊博氏、森喜朗氏、甘利明氏など自民党総裁の任期を更に延長して2021年以降も安倍首相を続投させる方針を支持していて、消費税廃止を求める党内の意見を黙殺しているのが現状だ。

 また、安藤氏は今年3月30日に青山繁晴議員が代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」と共同で記者会見を行ったが、青山氏は「安倍首相も将来的な消費減税を全部否定されているとは思わない」「私たちは抵抗勢力ではなく、消費税について柔軟な考えを持っている安倍首相の背中を押すという減税勢力」と中途半端な発言に終始していて、もし2021年の自民党総裁選で安藤氏が直接的に安倍首相と戦うことになったら青山氏は安倍首相を支持する可能性が高いだろう。自民党内で安藤氏を総理大臣にする声が高まらないのは、表面的に消費税を批判していても「安倍政権の増税だったら仕方ない」と思っている議員が大多数だからなのかもしれない。

 

 とはいえ、海外では新型コロナウイルス景気対策として付加価値税の引き下げを決断する国が相次いでいる。ドイツが2020年7~12月の期間限定で付加価値税を19%から16%、食料品などに適用されている軽減税率を7%から5%に引き下げたことは『日本政府はドイツと同様に消費税引き下げを決断すべきである』の記事でも述べたが、最近ではイギリスでもレストランや娯楽施設に適用される付加価値税を2020年7月から2021年1月まで20%から5%に減税することを発表した。ここで自民党増税反対派が団結し、戦後最悪の緊縮財政を強行した安倍政権を辞任させないと日本は後進国に逆戻りすることが確実となるだろう。私は今の自民党を全く支持していないが安藤氏には頑張ってほしいと思っている。

 

 

野党の増税反対派が協力して安倍政権に危機感を抱かせる必要がある

 須藤元気氏はもともと総合格闘家だったが、2019年の参院選立憲民主党から出馬して初当選した。しかし、今年7月5日に実施された東京都知事選では山本太郎氏の支持を表明し、宇都宮健児氏を支持した党の幹部と対立している。須藤氏が山本氏の応援演説でしきりに訴えたのがロストジェネレーション(以下、ロスジェネ)の救済である。

 ロスジェネとはバブル崩壊後の不況の影響を受けた主に1970年代生まれのことで、運良く高収入になれた男性を除いて夫が妻子を養う高度経済成長期の家族モデルを形成できなかった世代でもある。国税庁民間給与実態統計調査によれば、35~39歳男性の平均年収は1997年の589.1万円から2018年の527.6万円まで61.5万円(1997年比で10.4%)も減少し、40~44歳男性の平均年収は1997年の644.7万円から2018年の580.6万円まで64.1万円(1997年比で9.9%)も減少している。図64では1997年を100とする「35~44歳男性の平均年収と消費者物価指数」の推移を示した。

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 本来なら結婚して子育てに励んでいるはずの世代がなぜこれほどまでに貧困化しているのか。代表的なアンチ山本太郎である政治ジャーナリストの安積明子氏は「ロスジェネ世代がロスジェネにならざるをえなかったそもそもの原因は、日本の国際競争力が低下したことにある」と、まるで日本のグローバル化が足りないから1970年代生まれの所得が減少したと言いたいようである。しかし、実際には小泉政権以降の自民党が緊縮財政を続けてデフレ不況を長期化させてきたことが原因の一つではないだろうか。図65では2001年を100とする「主要先進国の政府支出の推移」を示したが、これを見ると日本は先進国の中で最も政府支出を増やしていない国だと言える。

 ドイツが付加価値税の引き下げを発表したときに、「厳しい歳出削減を行った上で減税するから日本とは状況が異なる」と発言した経済学者がいたが、そのドイツでも2001~2019年の18年間に政府支出を1.5倍も増加させているのだ。

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 また、安積明子氏は今回の都知事選で須藤氏が立憲民主党方針に反し、消費税廃止を掲げる山本氏を応援したことについて、「5%だった消費税を10%にすることは民主党政権時の野田内閣で決まったことだ。もし須藤氏がその事実を知らなくて同党から出馬したとするなら、あまりにも無知すぎる」と批判しているが、これは悪質なネガティブキャンペーンだろう。

 消費税10%への増税を決定したのは2016年6月1日の安倍政権だし、立憲民主党の中にも石垣のりこ氏や堀越啓仁氏など消費税に批判的な議員は少なくないのだ。安積氏をはじめとする自称保守派が増税民主党政権のせいにするのは、安倍政権のやることに何でも賛成しているからだろう。

 

 更に、安積氏は都債を発行して都民に一律10万円を支給する山本氏の政策について、「15兆円のバラマキは都政財政を破綻させる自殺行為」だと発言している。しかし、2013年以降に日銀が金融緩和を行って民間銀行の国債を買い取り、国民に返す必要のある負債は急速に減少しつつある状況でどうやったら東京都が財政破綻するのだろうか。2020年3月末現在、すでに日本国債の47.2%は政府の子会社である日銀が所有していて、このぶんは返済や利払いを行う必要はないのだ。「都債を発行すれば財政破綻する」というデマは、「消費税を増税しないと財政破綻する」という財務省プロパガンダと同じだろう。

 そもそも、安積氏は都債15兆円の発行をバラマキ扱いしているが、緊縮財政を続けてデフレ不況を長期化させてきたのがこの20年間の日本である。公共事業でも社会保障でも、「バラマキ」という言葉を使う人を絶対に信用してはいけないと思う。

 

 最近では国民民主党玉木雄一郎代表が次の衆院選に向けて、「消費税減税で野党はまとまって戦うべきだ」と主張し、野党共闘には反緊縮的な政策が必要だと提言している。玉木氏はドイツに続いてイギリスが付加価値税の引き下げを発表したことを受けて、「消費税を5%に減税するだけでなく、半年間0%なども検討したい」とツイッターで述べた。そのため、須藤元気氏は立憲民主党を離党した後に、国民民主党の玉木氏や馬淵澄夫氏など増税反対派の議員と山本太郎氏を国政に戻すよう選挙協力するのはどうだろうか。

 自民党の安藤裕氏や国民民主党の玉木氏、そして須藤氏と与党からも野党からも消費税引き下げを求める声が上がれば、安倍政権にとって「次の衆院選までに消費税を5%に戻さないと政権を失う恐れがある」と危機感を抱かせるきっかけになるかもしれない。消費税増税に賛成する自民党立憲民主党の幹部に逆らって、反緊縮を掲げる安藤氏と須藤氏を今後も応援していきたいと思う。

 

 

<参考資料>

責任政党の姿ではない

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12607131546.html

国民経済計算 2020年1-3月期1次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2020/qe201/gdemenuja.html

国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和2年3月末現在)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202003.html

外食を50%割引、付加価値税は5%に減税

https://www.bbc.com/japanese/53344151

民間給与実態統計調査結果

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

都知事選、一番目立つ山本太郎でも「大旋風」を起こせない理由

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73601?page=5

国債等の保有者別内訳(令和2年3月末速報)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

国民・玉木氏「消費減税を旗印に」 合流ハードル高める

https://mainichi.jp/articles/20200717/k00/00m/010/263000c