消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

消費税3%減税と公務員増加で名目GDP700兆円を目指そう

消費税が3%なら名目GDPは700兆円を超えていた

 内閣府が5月18日に発表したGDP速報値によれば、物価変動の影響を含めた2020年1~3月期の名目GDP成長率は年率マイナス3.1%の落ち込みだった。個別の項目を見ると、民間最終消費支出が年率マイナス3.6%、家計最終消費支出(帰属家賃を除く)が年率マイナス4.8%、民間企業設備投資が年率マイナス3.8%、民間住宅投資が年率マイナス16.9%と個人消費より住宅投資の下落が大きい結果となった。

 しかし、2019年10~12月期の名目GDP成長率は年率マイナス6.0%、家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は年率マイナス11.4%だったので、新型コロナウイルスよりも消費税増税の影響のほうが大きかったと言うこともできるだろう。

 

 安倍政権は2015年9月24日に「アベノミクス新三本の矢」を発表し、希望を生み出す強い経済として2020年までに名目GDPを600兆円にする目標を掲げた。だが、日本経済研究センターによれば2020年度の名目GDP成長率はマイナス7.3%に落ち込むと予想していて、この目標が達成されることはないと思われる。そもそも日本の名目GDPは90年代後半以降の自民党が緊縮財政を行わず、消費税が3%のままだったら今頃700兆円を超えていた可能性が高いことは経済学者もなかなか指摘しないのではないだろうか。

 日本経済はバブル崩壊と言われていた90年代半ばまで着実に成長していて、1989~1996年度の家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は年平均で7兆1528億円も増加していた。2019年度の家計最終消費支出は245.9兆円だが、もし消費税が3%のままで家計消費が毎年7兆1528億円も増加したら2019年度は403.7兆円にのぼっていたことが予想される。そうなると2019年度の名目GDPは552.1兆円だが、消費税が3%のままだったらGDPは157.8兆円も押し上げられて709.9兆円になっていただろう(図39を参照)。

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 また、「消費税増税後の景気悪化から逃げ続ける安倍政権」の記事でも説明した通り、安倍政権ではGDPの算出方法を平成17年基準から平成23年基準に変更した際に、研究開発費とは関係ない「その他」の部分を大幅に加算したことが問題になっている。平成23年基準で2019年の名目GDPは553.7兆円と安倍政権以前に過去最高だった1997年の534.1兆円を超えているが、平成17年基準では520.5兆円とまだ1997年の523.2兆円を超えていない(図40を参照)。

 安倍政権は名目GDPを33兆円もかさ上げした以上、GDPの目標値を600兆円から630兆円に再設定すべきではないだろうか。

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 最近では「先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは起こらない」「インフレ率を調整しながら、財政赤字を拡大して経済を成長させていく」という考え方をMMT(現代貨幣理論)と呼ぶが、もし2000年代までにMMTの考え方が一般化していたら消費税10%増税はなく、デフレ不況が20年以上続くこともなかっただろう。MMTの考え方は全く正しいが、消費税増税が決定されてから台頭するのでは「時すでに遅し」というのが現実である。

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化してから早くも3ヵ月が経とうとしているが、安倍政権は未だに消費税引き下げを決断できずにいる。政府が消費税引き下げを決定しないのであれば野党が言うしかない。野党は消費税を3%に減税して、2030年までに名目GDPを700兆円にする独自の経済目標を発表すべきではないだろうか。安藤裕氏や玉木雄一郎氏のような消費税減税に言及する国会議員がもっと増えることを願うばかりである。

 

 

公務員人件費を増やせば名目GDPも増加する

 2019年5月に設立した新政党の「オリーブの木」の代表を務める黒川敦彦氏がれいわ新選組の公務員を増やす政策を痛烈に批判した動画が今年2月に話題になった。黒川氏は2017年の衆院選で無所属として出馬した際に山本太郎氏と共闘しており、私も2018年4月に上野で行われた政治イベントで彼と会ったことがある。安倍政権を鋭く批判していた頃の黒川氏を知っているからこそ、「オリーブの木」の最近の動画を見ていて変節ぶりが非常に残念に思う。

 黒川氏は「世界と比べて日本の公務員給与が異常に高いのにこれ以上公務員を増やすとか正気か?」と述べているが、問題にすべきなのは公務員の給与が高いことではなく1997年以降に民間企業の平均年収が減少してきていることだろう。また、黒川氏は「国民の平均所得が440.7万円なのに対し、東京都の公務員は752.6万円、国家公務員は911.1万円、地方公務員は881.8万円」とデータを示しているが、正しいのは「国民の平均所得」だけで後の公務員給与は少し調べれば嘘であることがわかる。

 

 人事院の公務員白書によれば、2018年の国家公務員の平均月収は41万7230円なのでこれに12を掛けると500万6760円、管理職を除く行政職員の期末・勤勉手当は136万2600円なので合計636万9360円と黒川氏が示したデータより100万円以上も少ない。その上、バブル期の1989年には国家公務員の平均年収(458.3万円)よりも民間企業に勤める男性の平均年収(492.8万円)のほうが多かった。

 この間、資本金10億円以上の大企業の内部留保は1989年の99兆円から2018年の369兆円まで3.7倍も増加していて、公務員と民間企業の「官民格差」が広がったのは公務員の給与を決める人事院勧告のせいではなく、デフレ不況が長期化して企業が内部留保をため込んでいるからである(図41を参照)。高校生や大学生の就職希望先ランキングで常に「国家公務員」と「地方公務員」が上位に来ているのも、民間企業が内部留保を活用して賃上げすることをせず、業績が悪化すれば整理解雇やコスト削減を行うことばかり必死になっているからこそ、安定した公務員が人気なのではないか。

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 更に、政府が公務員数を増やして失業者や低所得者を雇えば、GDPの構成要素の一つである「政府最終消費支出」が増加して国の経済成長にも繋がる。政府最終消費支出とは、医療費・介護費の政府負担分や公務員給与の支払いなどを表した額である。国民経済計算を見ると、名目GDPに占める政府最終消費支出の割合はリーマンショック東日本大震災が発生した2008~2011年の時期に増えていて、デフレ不況のときは公務員人件費が景気の下支えをしているのだ(図42を参照)。

 公務員・公的部門職員の人件費(2014年)は高負担・高福祉のデンマークで16.6%、フィンランドで14.2%、小さな政府を志向するアメリカで9.9%、イギリスで9.4%なのに対し、日本は6.0%とOECD加盟国の中でも最低である。特に今後は新型コロナウイルスの影響で大量の失業者が生まれると予想され、日本が景気対策として公務員人件費を増やす余地はまだまだあるだろう。

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コロナ増税という緊縮の流れを作ってはいけない

 元大阪府知事橋下徹氏は4月21日に自身のツイッターで、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の10万円一律給付について「給料がびた一文減らない国会議員、地方議員、公務員は受け取り禁止となぜルール化しないのか」と訴え、その上で「それでも受け取ったら詐欺にあたる、懲戒処分になると宣言すればいいだけなのに」と政府の方針に疑問を呈した。これに呼応するかのように、菅官房長官は自身が給付金を受け取るかどうかを問われた際に「常識的には申請をしないと思う」と述べている。しかし、菅氏が給付金を受け取られないと、そのぶん財政支出や消費が減って国民の所得も増えなくなる。国民が所得減少に苦しんでいる以上、申請しない、あるいは預金するという選択肢は政治家の場合、あり得ないのではないだろうか。

 また、広島県の湯崎知事は休業した事業者に支給する支援金の財源に、国から県の職員に給付される10万円の活用を検討していることを明らかにしたが、これは明確な私有財産権の侵害だろう。地方公務員は総職員数が2005年の304.2万人から2016年の273.7万人まで11年間で30.5万人減少したのに対し、臨時・非常勤の職員数は2005年の45.6万人から2016年の64.3万人まで11年間で18.7万人も増加している(図43を参照)。広島県知事はこうした不安定な働き方を強いられている非正規公務員の給付金までも奪おうとするのだろうか。地方交付税の総額は2000年の21.4兆円から2019年の16.2兆円まで減少していて、休業補償を行うなら職員の給付金を活用するのではなく政府に地方交付税の増額を求めるべきだろう(図44を参照)。

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 更に、地方自治体が「身を切る改革」というスローガンのもとで公務員の給与を削減すると、他の自治体にも同調圧力が及んで最終的に「コロナ増税」という緊縮の流れが出来上がってしまうかもしれない。実際に、2011年の東日本大震災のときも復興財源を捻出するために2012~13年度に手当を含めた公務員給与が平均7.8%削減され、「社会保障と税の一体改革」として消費税増税法人税減税が同時に実施されたのである。

 前述の橋下徹氏は報道番組などで「国が財政破綻する覚悟で休業補償を行うべき」と事実に基づかない発言を繰り返していることから、新型コロナウイルスが収束した後に消費税増税や公務員給与の削減を煽ってくることは確実だろう。だが、すでに日本国債の46.8%は政府の子会社である日銀が所有していて、このぶんは政府が返済や利払いを行う必要はなく2010年代以降に日本の財政は急速に健全化しているのだ。政府が新型コロナウイルス対策として休業補償を行ったとしても、後で増税や歳出削減などを通して返済する必要は全くないのである。

 むしろ、日本が本当にデフレを脱却するためには消費税引き下げと公務員人件費の拡大を同時に実施すべきだろう。

 

 

<参考資料>

明石順平 『アベノミクスによろしく』(集英社インターナショナル、2017年)

藤井聡MMTによる令和「新」経済論 現代貨幣理論の真実』(晶文社、2019年)

三橋貴明 『世界でいちばん!日本経済の実力』(海竜社、2011年)

全労連・労働総研編 『2019年国民春闘白書・データブック』(学習の友社、2018年)

 

国民経済計算 2020年1-3月期1次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2020/qe201/gdemenuja.html

アベノミクス「新3本の矢」を読み解く

https://www.nikkei.com/article/DGXZZO92034300U5A920C1000000/

徐々に経済再開も、20年度マイナス7%成長

https://www.jcer.or.jp/economic-forecast/20200518-2.html

公務員の給与が高い。解説と改革案。

https://www.youtube.com/watch?v=wrSOyOUx1ig

平成30年度 公務員給与の実態調査

https://www.jinji.go.jp/hakusho/h30/1-3-03-1-3.html

国家公務員のボーナスを知る(2018年)

https://kyuuryou.com/w37-2018.html

2年間で9兆円増えた内部留保 法人企業統計より

https://blog.goo.ne.jp/saitamajitiken/e/8000dbb09afad1d324ccc60eb999fc00

大企業現金・預金66.6兆円 バブル期超え過去最高

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-09-25/2019092501_02_1.html

橋下徹氏の10万円給付「公務員は受け取り禁止」提案

https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_200019157/

ピンハネ税により、現金給付は実は9万円

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12591463740.html

地方公共団体の総職員数の推移

https://www.soumu.go.jp/main_content/000608426.pdf

地方公務員の臨時・非常勤職員調査結果

https://www.soumu.go.jp/main_content/000476494.pdf

地方交付税等総額(当初)の推移

https://www.soumu.go.jp/main_content/000671432.pdf

橋下徹氏の財政破綻発言!】国民の命or財政破綻

https://www.youtube.com/watch?v=MxfvjV-JNhw

国債等の保有者別内訳(令和元年12月末速報)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

戦後最も左寄りの安倍政権を未だに擁護する自称保守派

緊急事態条項と安倍4選に警戒しなければならない

 新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて、自民党内で憲法に緊急事態条項を創設すべきだという議論が出ている。もともと緊急事態条項の創設は、2012年4月に発表された自民党改憲案の98条で「内閣総理大臣は我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは法律の定めるところにより、閣議にかけて緊急事態の宣言を発することができる」と定めているもので、自民党は「東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを憲法上明確に規定しました」と説明している。

 しかし、安倍政権が緊急事態条項を創設したい理由は災害対応と別の部分にあるのではないかと思えてならない。自民党改憲案99条の4項では「緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところによりその宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる」と定めており、半永久的に政権を維持できる可能性があるからだ。

 

 その上、自民党の総裁任期についても更に延長されるのではないかという懸念もある。もともと自民党総裁の任期は2016年10月に「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長されたが、そのときに任期を区切らず多選制限を撤廃する無制限論まで出たという。また、麻生財務大臣文藝春秋の2020年1月号のインタビューで「安倍首相は憲法改正をやるなら、総裁4選を辞さない覚悟が求められる」と発言したことが波紋を呼んだ。麻生氏は2019年12月10日の記者会見でも「憲法改正を推進していた岸信介は次の池田勇人がやってくれると思っていたが、池田さんは総理になった途端、経済を優先して憲法改正を取り下げてしまった。安倍首相はその二の舞になってほしくない」と発言している。

 だが、総理大臣が改憲より経済を優先することの何が悪いのだろうかと思う。岸信介氏が首相を務めていた1957~1960年の名目GDP成長率は年平均14.2%だったのに対し、池田勇人氏が首相を務めていた1961~1964年の名目GDP成長率は年平均16.5%へと上昇している。池田政権は所得倍増計画を打ち出して高度経済成長を加速させたのだが、それを「憲法改正を取り下げた」と否定するのはさすがプライマリーバランス黒字化目標のために消費税を10%まで引き上げた麻生氏らしいなと皮肉の一つも言いたくなってしまう。

 また麻生氏だけでなく、甘利税調会長も2019年11月に「安倍首相の任期が来たから皆さんさよならで済むのか。他国からちょっと待ってよ、シンゾーがいなくなったらどうなんだという声が出たときにどうするか」と発言し、二階幹事長も2020年3月に「安倍首相は政策もしっかり持っており、国際的にも信用がある。今は続投させることが大事ではないか」と発言している。自民党内からこれだけ安倍首相の総裁4選を支持する声が続出しているのは、将来的に消費税を15~20%まで増税する際に首相が変わると引き上げ時期が延期されてしまうのではないかという懸念が存在するからではないだろうか。

 

 特に、安倍政権では在任中に消費税率を2段階も引き上げたことにより経済成長率が著しく落ち込んでいる。インフレを除いた実質GDP成長率は民主党政権(2009年10-12月期~2012年10-12月期)の時代に年率平均1.68%だったのに対し、安倍政権(2013年1-3月期~2019年10-12月期)では年率平均0.94%まで下落した(図37を参照)。2019年の参院選では自民党が9議席も減らして勝利したとは言えない結果になっているにも関わらず、党内で安倍政権の退陣論が浮上しないのは自民党そのものが弱体化して「私が総理大臣をやりたい」という意欲のある政治家が一人もいないからだろう。

 京都大学教授の藤井聡氏は表現者クライテリオン2019年11月号の中で「今は誰が総理になっても状況が悪化してしまうから、政権を1年交代にするくらいがちょうどいいんじゃないか」と述べている。だが、今の日本に必要なのは首相の任期をどうするかといった議論よりも、安藤裕氏や山本太郎氏など消費税廃止を掲げて、改憲より経済成長を優先する人物を総理大臣にすることだと思う。

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自称保守派は安倍首相を個人崇拝する共産主義者

 更に、安倍政権が戦後最悪の内閣になりつつあるというのに、「正論」「WiLL」「Hanada」などに執筆している自称保守派は未だに安倍首相を擁護することに躍起になっている。例えば、自称保守派は長年憲法9条の改正に賛成してきたが、最近では安倍政権の改憲なら何でも良いと思っているようだ。

 憲法改正を推進しているのは決して安倍首相だけでなく、民主党政権にも鳩山元首相や野田元首相など改憲派の議員は多く存在したが、当時の自称保守派は政権を自民党に戻すことに必死で憲法改正についてはほとんど言及していなかった。つまり、彼らは安倍首相以外の改憲は絶対に認めず、今の野党に対しては「指一本、憲法には触れさせない」というのが本音ではないだろうか。

 

 保守論壇の大御所と崇められていた上智大学名誉教授の渡部昇一氏は阪神淡路大震災東日本大震災のときに首相が村山富市氏や菅直人氏だったことを「左翼政権への怒り」だと表現していたが、ならば2020年の新型コロナウイルスでも消費税増税や移民受け入れ、国営事業の民営化など村山政権や菅政権以上に急進的な改革を進める安倍首相に対して「“極左”政権への怒り」だと表現する保守言論人が一人くらい現れても良いはずだ。

 しかし、安倍政権の熱烈な支持者として知られる評論家の小川榮太郎氏はHanadaの2020年5月号で『安倍総理の判断でイベント自粛と休校要請という「先手」を打ったことで、EU諸国のような感染の急拡大は起こらず、結果として市民生活の制限も緩やかなレベルに留まっている』と相変わらず政権を擁護する記事を出している。

 だが、実際には安倍政権が国賓で来日する予定だった習近平に配慮して、3月5日まで中国人の入国禁止を決断できなかったから日本で1万6000人以上も感染者が増加したのではないだろうか。小川氏をはじめとする自称保守派は普段、中国政府を叩いているくせに安倍政権がインバウンドに依存して2019年に中国人観光客を959万人も呼び込んだことは全く批判しないようだ。

 

 それどころか自称保守派は安倍政権を批判する意見に対して「中国共産党工作員だ」と陰謀論を唱えることに必死になっている。安倍政権が手下である黒川弘務・東京高検検事長検事総長に据えるため、後付けで定年延長を合法化しようと企む「検察庁法改正案」についても政治評論家の加藤清隆氏は「どう考えても150万とか200万とか(の抗議するハッシュタグのツイート数)が事実ならば、裏で糸を引いている奴がいるのだろう。もしかしたら、中国とつながっているかも知れない。そういう怖さを今ひしひしと感じている。中国はなりふり構わず、日本を取りに来ている。呼応する日本人がいかに多いか」と暴論を述べている。

 安倍首相は「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」と地球市民的な発言を繰り返して外国人労働者を大量に受け入れ、大学の入学時期まで中国人留学生に合わせて9月に変えようとしているにも関わらず、自称保守派にとっては安倍政権が中国と戦っているように感じるみたいだ。

 

 この他にも2014年に私がツイッター入管法改正に反対していたら、安倍政権を熱烈に支持する経済評論家の上念司氏から「移民受け入れ反対の背後には中国共産党がいる」「東南アジアの国々に日本ファンが増えると中国共産党が困る」と陰謀論を述べられた。しかし、1993年の29万8646人から2014年の5万9061人へと減少していた不法残留者数は入管法が改正されてから増加し、2020年には8万2892人にものぼっている(図38を参照)。安倍政権の移民受け入れ政策は明らかに失敗だったにも関わらず、上念氏は未だに「移民に反対する奴は中国共産党工作員」とでも言うのだろうか。「WiLL」や「Hanada」などに執筆している自称保守派は、結局のところ安倍首相を個人崇拝する共産主義者なのではないかと思ってしまう。私は安倍政権以上に、それを熱烈に支持する人々こそ許せないのである。

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<参考資料>

梓澤和幸、澤藤統一郎、岩上安身 『前夜 日本国憲法自民党改憲案を読み解く』(現代書館、2013年)

山本太郎雨宮処凛 『僕にもできた! 国会議員』(筑摩書房、2019年)

中島岳志藤井聡、柴山桂太、浜崎洋介、川端祐一郎 「特集座談会 安倍晋三「器」論 それは如何なる器なのか?」 『表現者クライテリオン』(啓文社書房、2019年11月号)

古市憲寿 『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社、2011年)

 

緊急事態条項改憲 危機に便乗した議論許されぬ

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-04-16/2020041601_05_1.html

自民党が党総裁任期の議論スタート 延長に異論出ず、無期限論も

https://www.sankei.com/politics/news/160920/plt1609200036-n1.html

麻生太郎副総理79歳が「安倍4選の可能性」に初めて言及

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191209-00018094-bunshun-pol

麻生氏「安倍4選」に言及ノーカット

https://www.youtube.com/watch?v=zLrl1rHzyGk

四半期別GDP速報 昭和30年1-3月期~平成13年1-3月期

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2001/qe011/gdemenuja.html

安倍総理の総裁任期 甘利氏「4期目もあり得る」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000168934.html

自民二階氏 安倍首相の4期目に期待示す

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/32433.html

国民経済計算 2019年10-12月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194_2/gdemenuja.html

コロナ感染拡大も安倍応援団の“極右”は別世界!

https://lite-ra.com/2020/04/post-5383.html

国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

安倍応援団が「#検察庁法改正案に抗議します」に「中国の陰謀」「テレビ局が黒幕」とトンデモバッシング!

https://lite-ra.com/2020/05/post-5418.html

本邦における不法残留者数について(令和2年1月1日現在)

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00004.html

消費税に反対する自民党議員とコロナ増税の布石を打つ著名人

日本国民を貧困化させる安倍政権を批判すべき

 アメリカ商務省は4月29日、2020年1~3月期の実質GDP成長率が年率マイナス4.8%に落ち込んだと発表した。アメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためにロックダウン(都市封鎖)を実施しており、経済活動が制限されたことが響いた結果となっている。

 しかし、それ以上に深刻なのが日本経済であり、消費税10%増税の影響を受けた2019年10~12月期の実質GDP成長率は年率マイナス7.1%の落ち込みである。アメリカの2020年1~3月期と比較すると、コロナウイルスよりも消費税増税の影響のほうがより深刻だということがわかる。

 

 OECDの調査でもアメリカの2020年1~3月期の実質GDP成長率がマイナス1.22%程度なのに対し、日本の2019年10~12月期の実質GDP成長率はマイナス1.81%となっている(図36を参照)。更に、今年7月からは消費者に最大5%が還元される補助金事業のキャッシュレス還元が終了して「再増税」となり、コンビニやAmazonなどの売上が減少して個人消費が落ち込みコロナウイルスからの復興も遅れる可能性が高いだろう。

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 そこで重要になってくるのが消費税の廃止や引き下げを求める自民党議員の存在である。3月30日、安藤裕議員が代表を務める「日本の未来を考える勉強会」と青山繁晴議員が代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」が共同で記者会見を行った。安藤氏は「これまで消費税を5%に減税すべきだと主張してきたが、新型コロナウイルスによる事態を受け、今年6月から一気に0%にして徹底的に国民の生活を支えるという強いメッセージを出すべきだ」と述べており、消費税廃止の他にも休業補償や粗利補償を提言している。粗利補償とは、売上から商品などの仕入原価を差し引いた残りの利益を補償する景気対策である。

 安藤氏が本当に消費税廃止や粗利補償を実現したいと思うのであれば、是非とも2021年の自民党総裁選に出馬すべきだろう。

 

 その一方で、青山氏は「税率を5%に戻すべきだが、消費税そのものの存在意義は否定しない」と述べ、「安倍首相も将来的な消費減税を全部否定されているとは思わない」「私たちは抵抗勢力ではなく、消費税について柔軟な考えを持っている安倍首相の背中を押すという減税勢力」と中途半端な発言に終始していて、つまり「消費税増税には反対だが、安倍首相の支持はやめない」という立場なのだろう。

 しかし、安倍首相は2012年6月のメールマガジンで「名目成長率が3%、実質成長率が2%を目指すというデフレ脱却の条件が満たされなければ消費税増税を行わないことが重要」と発言していたにも関わらず、2019年の名目GDP成長率が1.2%、実質GDP成長率が0.7%とデフレ脱却の目標に届かないまま消費税10%増税を行ってしまった。青山氏が本当に消費税引き下げを提言するのであれば、公約に違反して増税を強行した安倍首相の辞任を求めて安藤氏を総理大臣にするくらいの覚悟を持つべきではないだろうか。

 

 消費税増税に反対する人なら一度は「何故、安倍首相は景気を悪化させる増税を二回も行ったのか?」と疑問に思ったことがあるだろう。だが、私はむしろ経済成長を否定して貧しい時代の日本を取り戻すためにこそ安倍首相は消費税増税を強行したのではないかと思えてならない。

 安倍首相の著書『美しい国へ』(文藝春秋、2006年)を読むと、昭和30年代を舞台にした映画「ALWAYS 三丁目の夕日」について「今の時代に忘れられがちな家族の情愛が世代を超えて見るものに訴えかけてきた」と高く評価している箇所に気付かれるだろう。しかし、昭和30年代は決して映画のように華やかではなく今よりはるかに殺人事件が多発していて学生運動エスカレートしていた時代である。

 青山氏をはじめとする安倍政権の支持者はよく「安倍さんは本当は消費税増税に反対している」「財務省の圧力によって増税反対が言い出せないだけなんだ」と言い訳するが、実際には昭和30年代のような日本中がまだ貧しかった時代を懐古しているからこそ、消費税増税や移民受け入れなど日本国民を貧困化させる愚策を次々と実行するのだろう。

 

 また、安倍政権を熱烈に支持する「保守ブログ」や「愛国ブログ」を見ると、必ずと言っていいほど『昔の日本人は誇り高かったが、今の日本人は情けない民族になってしまった』などと現代の日本を誹謗中傷する書き込みに溢れている。

 以前、私がツイッターで安倍政権の支持者に「消費税増税で景気を悪化させた安倍首相が辞任しないと日本経済が崩壊する」と言ったら、その人は「あなたと違って私は皇室の男系継承と国防に重きを置いている」と反論してきた。国防を重視する人が韓国の慰安婦に対して10億円も拠出して、北方領土までロシアに売り渡そうとする安倍政権を支持しているのは笑ってしまうが、どうも戦後日本が嫌いな勢力にとって「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」などと地球市民的な発言を繰り返し、消費税増税で国民を貧困化させる安倍首相が救世主に見えるのだろうなと思う。

 自民党内から消費税に批判的な意見が出てくるのは良い傾向だが、消費税を廃止するためには自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)のような「安倍首相のやることに何でも賛成している人々」に対しても積極的に批判していく必要があるだろう。

 

 

コロナ増税ではなく国債発行で財源を捻出しよう

 だが、消費税廃止を求める機運が高まっている一方で、最近では著名人から「コロナ増税」の布石を作ろうとする発言が相次いでいる。元国会議員でタレントの杉村太蔵氏は4月26日のサンデージャポンで「欧州は手厚い補償があるといった報道が見られますけど、例えばドイツなんか消費税19%ですね。イギリスも20%が消費税なんです。日頃、国民が負担しているんですね」と税率の違いを指摘し、まるで「手厚い補償を行うために日本の消費税をもっと引き上げろ」と言いたいようである。

 しかし、ドイツの軽減税率は7%と日本の8%よりも安く、今年7月からは臨時休業で大きな損害を被っている飲食業界に対して1年間、消費税を19%から7%に引き下げることを決定した。イギリスでも食料品が非課税で、「国税収入に占める消費税収の割合」は26.2%と日本の29.2%よりも安くなっている(表4を参照)。日本の消費税は国際的に見るとむしろ高いほうなのである。

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 また、「消費税を35%まで引き上げないと社会保障費を賄えない」と発言する池上彰氏は今回のコロナウイルスでも「現金の一律給付で増えるだろう国の借金を増税によって返さなければならない」と言っている。政治経済に関心が高くない人は池上氏の番組を通して、財務省プロパガンダを信じ込んでしまうのではないだろうか。

 だが、一般的に財務省が言う国の借金とは「政府の負債」のことで、国民が政府にお金を貸している立場なのである。その上、2013年以降は日銀が金融緩和を行って民間銀行の国債を買い取り、国民に返す必要のある負債は急速に減少しつつある。2019年12月現在、すでに日本国債の46.8%は政府の子会社である日銀が所有していて、このぶんは政府が返済や利払いを行う必要はないのだ。財務省は消費税を増税させる口実を作るために、「国の借金を増税して返さなければならない」という嘘を煽っているに過ぎないのである。

 

 更に、普段政治的なことを言わなくても、今回のコロナウイルスで休業補償や景気対策を求める声を暗に封じ込めるかのような発言をする著名人も存在する。

 シンガーソングライターの山下達郎氏は4月12日、パーソナリティを務めるラジオ番組でコロナウイルスについて「今、政治的対立を一時休戦して、いかにこのウイルスと戦うかを世界中のみんなで助け合って考えなければならないときです。何でも反対、何でも批判の政治的プロパガンダはお休みにしませんか?責任追及や糾弾はこのウイルスが収束してからいくらでもすればいいと思います」と発言したことが話題になった。しかし、ハーバード大学の研究チームはコロナウイルスを収束させるためには外出自粛などの措置を2022年まで継続する必要があると発表しており、それまで感染拡大が続いて消費税廃止などの景気対策を実施しなかったら日本は後進国に逆戻りすることが確実となるだろう。

 

 また、日本でこれだけ感染者が増加したのは安倍政権が国賓で来日する予定だった習近平に配慮して、3月5日まで中国人の入国禁止を決断できなかったからである。実際に日本よりも中国との距離が近い台湾では1月22日に武漢との団体旅行の往来を止め、2月6日には中国全土からの入国を禁止して感染者数は5月5日の時点で438人に留まっている。だが、大御所ミュージシャンの山下達郎氏がインバウンドに依存した日本政府の対応が遅れてコロナウイルスの感染者が増加した事実を知らないわけがないだろう。

 

 私は山下氏が「今は政府を批判するな」と発言した背景には、自民党内で消費税廃止を求める声が高まっていることも無関係ではないと思っている。消費税を廃止するとなるとその代わりの財源として「法人税増税」は経団連が反対するので、財務省所得税最高税率引き上げを求めてくる可能性が高い。そうなると山下氏のような著名人が猛反発してくることが予想される。

 特に山下氏は所得税の累進性が今よりはるかに高かった時代から活躍していて、1980年に「RIDE ON TIME」をヒットさせたときの最高税率所得税と住民税を合わせて93%にものぼっている。これだけ最高税率が高いと流行の移り変わりが激しいミュージシャンにとっては痛手だろう。

 

 しかし、今年1~3月期と4~6月期のGDPはマイナス成長になることが確実なので、しばらくの間は法人税所得税最高税率を引き上げなくても国債を発行して財源を捻出すれば良いのである。消費者物価指数の中で最も重要なコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)は2020年3月に前年比0.3%程度と、消費税増税の影響を含めても年率2%のインフレ目標には達しておらず、コロナウイルス景気対策として国債を発行することはまだまだ可能だろう。国債を躊躇なく発行すれば、それによって歳出が短期的に増加することがあったとしても財政出動による経済効果で成長率が上がり、自然増収が毎年どんどん増えていくのである。

 安倍政権は自民党の安藤裕議員やれいわ新選組山本太郎代表が提言している消費税廃止と真水100兆円の景気対策を実行すれば、日本経済は7~9月期からプラス成長して急速に回復していくだろう。

 

 

<参考資料>

アメリカ経済、第1四半期は4.8%縮小 2008年以来の落ち込み

https://www.bbc.com/japanese/52481978

国民経済計算 2019年10-12月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194_2/gdemenuja.html

OECD Quarterly GDP

https://data.oecd.org/gdp/quarterly-gdp.htm

【緊急】今こそ消費税大幅減税を!「減税勢力」総結集!

https://www.youtube.com/watch?v=pAOEZ-ntv9M

「6月に消費税0%」で令和の恐慌を防ぐ

https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200401/pol/00m/010/002000c

【緊急事態企画★クラブ編vol.2】#粗利補償

https://www.youtube.com/watch?v=_juDEcAsvMk

杉村太蔵、欧州並みの補償を求める声を一蹴

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200426-00010012-encount-ent

ドイツ、1兆円超のコロナ追加対策を発表

https://www.afpbb.com/articles/-/3280017

財政金融統計月報第806号(2019年6月号)

https://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou/g806/806.html

国債等の保有者別内訳(令和元年12月末速報)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

山下達郎、コロナめぐる言説に「冷静さと寛容さ」訴え

https://www.agara.co.jp/article/56527

新型コロナウイルス流行収束へ外出自粛 2022年まで継続必要

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200416-04160001-sph-soci

今さら!水際、中国全土を対象 習近平国賓来日延期と抱き合わせ

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20200306-00166399/

中国と密接な台湾は、なぜ感染者が50人規模にとどまっているのか?

https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/062200025/031200012/

消費者物価指数 時系列データ

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

亀井静香氏は消費税廃止を掲げて国政に復帰すべきだ

2001年、亀井氏が総理大臣に就任すべきだった

 私は基本的に山本太郎氏を応援しているが、ベテラン政治家の中で支持しているのが運輸大臣建設大臣国民新党代表などを歴任した亀井静香氏である。亀井氏は2017年に衆議院議員を引退してしまったが、現在でも保守の立場から消費税増税やTPPなどの新自由主義政策を批判していて、分厚い中間層を築き上げてきた古き良き時代の自民党を象徴する人物だと言えるだろう。

 

 亀井氏が最も総理大臣になれる可能性があったのは、森首相の辞任を受けて実施された2001年4月24日の自民党総裁選だろう。この総裁選では麻生太郎橋本龍太郎亀井静香小泉純一郎の4人が立候補し、当初は首相在任中に消費税を増税して景気を悪化させたことを謝罪した橋本氏が優勢だったが、最終的に小泉氏が当選した理由については森永卓郎著の『なぜ日本だけが成長できないのか』(角川新書、2018年)に詳しく書かれている。

 

 森永氏は2001年当時、テレビ朝日の報道番組「ニュースステーション」のコメンテーターを務めていて、総裁選の直前には同番組で候補者を一堂に集めて生放送の政策討論をしてもらうという企画を立てた。しかし、番組では亀井氏がこともあろうにニュースステーションの司会をしていた久米宏氏に対する批判から始めてしまい、それが小泉を除く3候補の間ではとても受けた。彼らはテレビ朝日のスタンスがいかに間違っていて、自民党が正しい政策を採っているかということで盛り上がってしまったのだ。その一方で、小泉氏は番組の最後に「こんなくだらない内輪もめばかりしているから、自民党はダメなんだ。自民党をぶっ壊す。構造改革だ!」と叫んだ。

 それから泡沫候補と呼ばれていた小泉氏の人気はうなぎのぼりとなり、総裁選でも地方票141票のうち123票を獲得する圧倒的な勝利を手にしている。内閣支持率も森政権の末期だった2001年4月の7%から小泉政権が始まった同年5月の81%まで大幅に上昇した。

 

 だが、小泉首相のスローガンだった「痛みを伴う改革」とは、結局のところ低所得者に痛みを強いるだけで終わったと言えるだろう。正規雇用数は2001年の3640万人から2006年の3415万人まで225万人も減少したのに対し、非正規雇用数は2001年の1360万人から2006年の1678万人まで318万人も増加してしまった。

 民間企業の平均年収も2001年の454万円から2006年の435万円まで19万円減少したのに対し、年収200万円以下で働くワーキングプア層は2001年の862万人から2006年の1023万人まで161万人も増加している。図33では1984年から2018年にかけての正規雇用数とワーキングプア層の推移を示した。

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 小さな政府で財政再建を目指す小泉政権は、1998年度にピークの14.9兆円だった公共事業関係費を2001年度の11.4兆円から2006年度の7.8兆円まで削減した。それにも関わらず、俗に「国の借金」と言われる国債や借入金、政府短期証券を合わせた政府の負債は2001年の582.5兆円から2006年の832.3兆円へと約250兆円も増加し、名目GDPは2001年の523.0兆円から2006年の526.9兆円まで約4兆円しか増加しなかったため、「政府の負債残高対GDP比率」が大幅に増加して小さな政府による財政再建は失敗に終わったと言えるだろう。

 

 更に、2005年の衆院選では亀井氏など郵政民営化に反対する議員を「抵抗勢力」と呼び、自民党から排除したことも問題になった。亀井氏は同選挙で刺客として送り込まれた堀江貴文氏について「彼は優秀な青年なんだろうが、今の時代の風潮に染まり楽して儲けようとした典型だ。まさに現代社会が産んだ申し子と言えるね」と述べている。堀江氏は後に「ベーシックインカムを導入する代わりに消費税を20%まで引き上げろ」と発言し、貧困問題について自己責任論を強要する発言を繰り返していることから、亀井氏が自身の実力と経験を生かして堀江氏を落選させたことは大きかったのではないだろうか。

 もし、2001年の総裁選で小泉氏の代わりに積極財政を推進する亀井氏が総理大臣になっていたら、名目GDPや民間企業の平均年収が増加して日本経済はもっとマシな状況だったのではないかと思ってしまう。

 

 

自然と共存しながら公共事業を進めていく亀井氏

 また、私が亀井氏を支持する理由として保守の立場から原発に反対していることも大きい。亀井氏は著書『晋三よ! 国滅ぼしたもうことなかれ』(メディア・パル、2014年)の中で「脱原発は子供だってわかる理屈」として『原発はひとたび事故を起こすと、人の手ではどうしようもないことは福島の事故で実証済みだ。東日本大震災から3年半以上が過ぎたが、福島第一原発放射性物質を出し続け、海や山、川、大地を汚染している。半減期が何十年という放射性物質がまき散らされ、ただちに健康への被害がなくても癌や白血病などを将来的に発病させる危険性は高い』と述べている。

 この本から更に6年が経過して、東日本大震災福島第一原発事故が発生してから今年で9年となったが、震災の記憶が風化して国政選挙では原発の是非について全く議論されなくなってしまった。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月11日に予定していた政府主催の追悼式も中止されている。

 

 だが、震災から9年が経っても福島第一原発事故は決して収束などしておらず、原発の下請け労働者は現在でも被曝しながら大変危険な作業に従事している。2019年4月には、東京電力外国人労働者廃炉作業の続く福島第一原発の現場に受け入れる方針を明らかにしたことが問題にもなった。

 厚労省は日本語が不慣れな外国人労働者放射性物質の残る現場で働くことは労災事故につながりかねないとして受け入れ方針の見直しを促したが、そもそも原発の作業員に外国人がいることは今に始まった問題ではなく、1977年にも敦賀原発で約60名の黒人労働者が働かされていたことが国会でも追及されている。昔から原発外国人労働者が切っても切れない関係なのは、日本人だったら被曝の基準値を大幅に超える違法労働として問題になってしまうからだろう。

 

 更に、経産省は「経済のために原発の再稼働が必要だ」と言っているが、東日本大震災が発生した2011年にはアメリカでも景気が回復していたのに対し、日本では福島第一原発事故の影響で再びマイナス成長に戻っていて、原発は事故を起こせば日本経済にも大きな悪影響を与えてしまうのである。特に、県民経済計算を見ると2011年度の名目GDP成長率(平成17年基準)は岩手県がプラス1.7%、宮城県がマイナス2.7%なのに対し、福島県はマイナス9.9%と被災地の中でも落ち込みが大きいことがわかる(図34を参照)。

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 しかし、政府は福島第一原発事故の被災者に対して十分な補償を行ったと言えるだろうか?例えば、2017年3月には避難指示が出ていない区域から避難した「自主避難者」への住宅の無償提供が打ち切られている。自主避難者と聞くと、「自分で勝手に逃げただけでしょ」と思われるかもしれないが、実際には子供の被曝を心配して福島から避難した親御さんも多いのである。安倍政権は「社会保障を全世代型に変える」と言うなら、まずは原発事故避難者への支援をもっと充実させて、二度と悲惨な事故を起こさないよう日本全国の原発廃炉にしていくべきだろう。

 

 だが、震災後に脱原発を掲げた小泉純一郎氏をはじめとして、「原発に反対している者は公共事業にも反対している」とイメージを持っている人も多いのではないだろうか。逆に、国土強靭化を推進する経済評論家の三橋貴明氏や藤井聡氏などは原発賛成派でもある。

 しかしその点、亀井氏は『スーパーゼネコンを通すような大物の公共事業ではなく、小さなものでいいから地方の小さな建設会社が受注できるようなものに対して金を出せばいい』と述べ、電線の地中化や公園の緑地化などを推進しているのだ。自然と共存しながら公共事業を進めていく亀井氏は、首相在任中に緊縮財政を推進した小泉氏とは一線を画していると言えるだろう。

 

 

「日本のマハティール」となって消費税を廃止すべき

 だが、そんな亀井氏の中でもいくつか疑問に思う主張が存在する。例えば、『月刊日本2020年4月号』の中で新型コロナウイルスについて「安倍首相は全国の小中学校と高校、特別支援学校に臨時休校を要請したが、あの程度ではどうしようもない。学校を休校にするというなら、大学も休校にすればいい。場合によっては地下鉄だって止めればいい。そうすれば人の動きは一気になくなるよ。新幹線も止めればいい。『そんなことをすると生活が不便になる』と言う人がいるけども、昔の日本人は新幹線も飛行機もなく生活していたんだ。人類を滅ぼしかねないウイルスが襲ってきているときに、悠長なことは言っていられないんですよ」と発言した。

 

 しかし、私が心配しているのは過剰な自粛によって経済的に困窮する人が増加して、コロナウイルスが収束した後に日本経済が大きく衰退してしまう可能性である。確かに戦後復興期の日本は新幹線がなくても成り立っていたのかもしれないが、その一方で少年犯罪が非常に多くて未成年の殺人件数は2016年が54人(少年人口比10万人当たり0.47人)なのに対し、1951年は448人(少年人口比10万人当たり2.55人)にのぼっている。

 図35では1936年から2016年にかけての「1人当たりの実質GDP(米国ドル)と10万人当たりの未成年の殺人犯検挙人数」の推移を示したが、これを見ると1970年代以降に実質GDPが増加して治安も大幅に改善されていったことがわかる。コロナウイルスの感染拡大を防止するのと引き換えに、日本を後進国に戻すようなことがあってはならないのだ。高度経済成長期を過ごしてきた元警察官僚の亀井氏もその点については熟知しているだろう。

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 また、亀井氏は前述の『晋三よ! 国滅ぼしたもうことなかれ』の中で、20~30代の若い人たち無党派層が増えていることについて「小泉改革で日本をむちゃくちゃにしたことも無駄ではなかったと言えるな」と述べているが、2017年の衆院選では若年層ほど自民党に投票した割合が高いという調査もある。

 外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正についても、共同通信が2018年11月に行った調査によれば賛成の割合は60代以上が37.9%程度だったのに対し、40~50代は54.9%、30代以下は66.3%と若年層ほど高く、「左傾化した若者」が移民受け入れを推進する安倍政権を支持しているのが現実なのだ。保守もリベラルも新自由主義に反対する者は、「日本が不況から抜け出せないのは改革が足りないからだ」と勘違いした人がまだまだ多い状況をもっと憂慮すべきではないだろうか。

 

 最近では山本太郎氏だけでなく、自民党内でも安藤裕氏など消費税廃止を掲げる議員が増えてきた。だが、山本氏の政治経験はまだ6年(2013~2019年)、安藤氏の政治経験はまだ7年半(2012年~)なので総理大臣になるには早いという意見もあるだろう。そこで私は政治経験が38年(1979~2017年)の亀井氏を総理大臣にして、山本氏や安藤氏を厚労相財務相として入閣させることを提案したい。

 亀井氏は衆議院議員を引退してしまって年齢的に厳しいかもしれないが、2018年にはマレーシアで92歳のマハティール氏が消費税廃止を掲げて再び首相に就任した。日本でも82歳の森喜朗氏が東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長を務めており、日本維新の会片山虎之助氏は84歳で参議院議員を続けている。83歳の亀井氏も国会議員に復帰して消費税廃止に尽力することはまだ可能だろう。亀井氏は新自由主義に反対する保守の政治家として「日本のマハティール」になってほしいと思っている。

 

 

<参考資料>

堀江邦夫 『原発ジプシー 増補改訂版 ―被曝下請け労働者の記録』(現代書館、2011年)

雨宮処凛 『一億総貧困時代』(集英社インターナショナル、2017年)

亀井静香安倍総理、日本を死滅させるつもりか」 『月刊日本』(ケイアンドケイプレス、2020年4月号)

 

労働力調査 長期時系列データ

https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html

民間給与実態統計調査

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

公共事業関係費(政府全体)の推移

https://www.mlit.go.jp/page/content/001324440.pdf

過去の国債及び借入金並びに政府保証債務現在高

https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9850043/www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/data.htm

国民経済計算 2019年10-12月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194_2/gdemenuja.html

3・11追悼式 政府中止 被災3県でも中止・縮小相次ぐ

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202003/CK2020030702000157.html

福島原発の特定技能外国人就労「極めて慎重な検討」要請

https://www.asahi.com/articles/ASM5P6F9HM5PULFA020.html

県民経済計算(平成13年度~平成26年度)

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h26.html

令和元年版 犯罪白書

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/66/nfm/mokuji.html

少年犯罪データベース 少年による殺人統計

http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm

人口推計の結果の概要

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html

Maddison Project Database 2018

https://www.rug.nl/ggdc/historicaldevelopment/maddison/releases/maddison-project-database-2018

麻生財務大臣などコロナ不況を根性論で語る自称保守派に対する批判

定額給付金や消費税減税を否定する麻生財務大臣

 安倍首相は4月16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策として、国民1人当たり10万円の現金を一律給付するため、2020年度の補正予算案を組み替えることを決定した。しかし、この期に及んでも現金の一律給付に懐疑的なのが財務大臣麻生太郎氏である。彼は17日の記者会見で「手を上げた方に1人10万円ということになる」と述べ、申請に基づいて給付する自己申告制になるとの見方を示した。つまり、「愛国心のある人は給付を辞退しろ」と言いたいのだろう。

 

 また、麻生氏はリーマンショック後の2009年3月に実施した「定額給付金」(全国民に1万2000円、若年者と高齢者は2万円を配布)について、今年4月1日の参院決算委員会で「国民に受けなかった。二度と同じ失敗はしたくない」と否定する発言をしている。だが、国民経済計算によれば2009年4-6月期の実質GDP成長率は年率8.7%とリーマンショックの中でも高い数値を示していて、次にこの水準を超えたのは東日本大震災からの復興が始まった2011年7-9月期の年率10.3%である(図31を参照)。

 2009年4-6月期の実質GDPの内訳を見ると民間企業設備投資が年率マイナス11.8%、民間住宅投資がマイナス34.8%だったのに対し、家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は年率プラス5.0%にのぼっている。2009年4-6月期のGDPを下支えしたのは国民の個人消費であって、当時の定額給付金や休日高速道路料金の大幅引き下げなど矢継ぎ早な経済対策が一定の成果を上げたのではないだろうか。

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 麻生氏が言う「失敗だった」というのは2009年の衆院選自民党が大敗したことなのだろうが、それは定額給付金ではなくデフレ不況下に消費税増税行政改革などを断行しようとしたからである。1979年の大平内閣から消費税に関わった政権は必ず選挙で負けていて、最近でも2019年の参院選自民党は9議席も減らしている。麻生氏が現金の一律給付を否定するために首相時代の政策まで失敗だったと言い張るのは、彼自身が2009年当時より政治家として劣化してしまったからなのかもしれない。

 今回の現金給付はコロナウイルスの感染拡大を防止するための生活支援策であって、経済対策とは異なり国民に自粛を強制させるなら所得補償を行うのが当然のことである。

 

 更に、麻生氏は4月13日に感染拡大を受けた経済対策として消費税の減税を求める声があることについて「今の段階で消費税を引き下げることは考えていない」と述べ、2025年度までに国の収入と支出の釣り合い状態を表すプライマリーバランス基礎的財政収支、以下PB)を黒字化させる目標についても「今回、借入金が増えるのでPBが悪くなるが、この目標を放棄するという考えはない」と発言した。

 『今こそ知りたい「消費税増税と法人税減税」の関係』の記事でも書いた通り、1980年代以降の名目GDP成長率とPBは相関関係があることが確認され、コロナウイルスの影響で経済成長率が落ち込んだらPBを強引に改善させるために、今後消費税を15~20%まで引き上げる話が出てくるかもしれない。

 

 その上、麻生氏は「国の借金(政府の負債)を返していくという姿勢がなければ、マーケットでとたんに日本の国債が売りを浴びせられかねない」とも言ったが、消費税10%増税の時期が2015年10月から2019年10月に変更されても国債が暴落するような事態は発生しなかった。

 麻生氏は自民党幹事長時代の2008年8月に、国・地方を合わせた財政赤字に関して「800兆円の借金があって大変だという話が出回っているが、あれは総負債だ。総負債と、(資産を含めた)純負債を取り違えるかのごとき話は、不必要に世の中の不安をあおっている」と政府の負債は問題ないと発言しており、幹事長から財務大臣に出世して真逆の主張をするのは卑怯である。

 

 

安倍政権を擁護するために根性論を煽る自称保守派

 しかし、こうした経済の現状認識が全くできておらず、主張をどんどん変える麻生氏を必死で擁護しているのが高須克弥氏をはじめとする安倍政権の熱烈な支持者たちだ。高須氏は4月12日、コロナウイルスによる休業などで生活が困難になった人々が「国民全員に現金給付を」と声を上げ、安倍首相や麻生氏の私邸など高級住宅街を歩くデモを決行したことに対して、「みんなが一丸となって我慢しているときに、わがまま言って邪魔するのは非常に悪いことです」とツイッターで述べた。

 

 だが、高須氏は2019年1月の夕刊フジの記事で「消費税を50%くらいにして、それ以外の税は一切無しにすべき」と発言しており、積極財政を求める声を黙らせるために現金給付を求めるデモを非難したのではないかと思ってしまう。私は2012年から消費税増税反対のデモに参加しているが、いよいよ増税に反対すると安倍政権の支持者から「非国民」扱いされる時代が来てしまったようだ。

 麻生氏のような政治家や高須氏のような著名人が「国に頼らずコロナ不況を乗り越えろ」と根性論に基づく発言をしているのを見る度に、どうしても戦時中の「欲しがりません勝つまでは」「ぜいたくは敵だ!」といったスローガンを連想してしまう。

 

 また、今回のコロナウイルスでは自称保守の劣化も改めて浮き彫りにしたように感じる。例えば、産経新聞編集委員宮本雅史氏は若者が外出制限を守らずに行動し、他人に感染させるリスクを考えていないとして「義務を軽視、自分さえ良ければいいという間違った個人主義を注入し続けてきた戦後教育の末路を見る思いだ」と極論を述べている。

 しかし、クロス・マーケティングが3月27~29日にかけて「現在、どんな行動を実行できているか」と各年代の男女に聞いたところ、「商業施設への買い物」と答えた人が60代の男性で42.8%、女性で42.0%にのぼったのに対し、20代の男性で25.6%、女性で26.8%と高齢者よりも若者のほうが外出自粛に積極的な結果が出た。結局のところ、産経新聞コロナウイルスに便乗して根拠なく若者へのバッシングを煽りたいだけだろう。

 

 その上、宮本氏は国民に過剰な自粛を強制したら、経済的に困窮する人も多くなるという事実をわかって前述の発言をしているのか。家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は2014年1-3月期の247.7兆円から2019年10-12月期の231.5兆円まで5年半で16.2兆円も減少していて、個人消費コロナウイルス以前から著しく落ち込んでいるのだ(図32を参照)。これが更にゴールドマン・サックスの予想通り、実質GDPが25%も減少したら2020年4-6月期の家計最終消費支出は173.6兆円まで落ち込んで日本は後進国に逆戻りすることが確実となるだろう。

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 2011年の東日本大震災のときは元航空幕僚長田母神俊雄氏が「自粛が長期間続いてはどんどん景気が悪くなり、震災復興にさえ悪影響が出てくる」と発言し、政府が過剰な自粛を求めていたことを批判する動きもあった。だが、今回のコロナウイルスでは自称保守派が安倍政権を擁護するために根性論を煽り、仕事などでやむを得ず外出する人まで政府に協力しない非国民であるかのように誹謗中傷しているのが非常に残念である。

 日本がコロナウイルスから早期に復興するために政府はPB黒字化目標を破棄して消費税の廃止を決断し、イギリスが実施しているように休業要請に協力してくれた企業に対して従業員の給与を8割以上補償すべきだろう。

 

 

<参考資料>

上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』(光文社、2010年)

田母神俊雄 『ほんとうは強い日本』(PHP研究所、2011年)

 

首相、令和2年度補正予算案の組み換え指示

https://www.sankei.com/politics/news/200416/plt2004160032-n1.html

麻生氏「手あげたら10万円」 給付は自己申告との見方

https://www.asahi.com/articles/ASN4K4CF2N4KULFA00P.html

麻生氏「同じ失敗したくない」 現金給付、一律では実施せず

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040101191&g=eco

国民経済計算 2019年10-12月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194_2/gdemenuja.html

麻生財務相「消費税引き下げ 考えていない」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200413/k10012383901000.html

高須院長 安倍首相私邸付近での「金を出せ!」デモに怒り

https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12278-628322/

軽減税率なんて混乱のもとだよ 消費増税の問題点

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190108/soc1901080008-n1.html

【喝!日本】なぜ若者はコロナ感染に“無関心”?

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/200407/dom2004070003-n1.html

新型コロナで外出自粛でも「買い物・旅行」、60代が最も活発

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2004/03/news098.html

新型コロナの補償は英国を見習え!

https://www.youtube.com/watch?v=pNulzxJunhc

今こそ消費税を減税して政府のインバウンド依存を見直そう

この期に及んでも消費税引き下げに否定的な日本政府

 国際金融グループのゴールドマン・サックスは4月7日の安倍首相による緊急事態宣言を受けて、2020年4~6月期の実質GDP成長率が前期比年率マイナス25%と、データをさかのぼれる1955年以降で最大の落ち込みになるとの見方を示した。政府の緊急経済対策は事業規模が108.2兆円、財政支出が39.5兆円の規模となったが、ゴールドマン・サックスではGDPに直接計上される「真水」の部分は計14兆円程度と見積もっている。

 その一方で、関西大学新型コロナウイルスの影響でロックダウン(都市封鎖)が実施された場合、日本全体の損失額は2年間で約63兆円にのぼると分析していて、14兆円の真水の経済対策では国民の損失をカバーできないと言えるだろう。

 

 安倍首相は4月7日の記者会見で「この2ヵ月で私たちの暮らしは一変しました。楽しみにしていたライブが中止になった。友達との飲み会が取りやめになった。皆さんのこうした行動によって多くの命が確実に救われています」と発言したが、ライブや飲み会が中止になることで経済的な損失を被る人も多いという事実をわかって言っているのだろうか。国民に自粛を強制するのであれば、所得に関係なく休業補償を行うのが当然のことである。

 しかし、政府の緊急経済対策は残念ながら、所得に関係なく国民に一律の現金給付を行うというものではなかった。給付の対象となるのは世帯主の月収(2020年2~6月の任意の月)がコロナウイルス発生前と比べて半分以上に減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税の均等割非課税水準(単身世帯だと月収8.3万円以下)となる低所得者に限定されている。つまり、生活保護水準まで給与が減らないと補償の対象にならないということだろう。その上、現金給付に所得制限を設けると対象になる国民と対象にならない国民が分断することにもなりかねない。

 国の定める消費税が存在せず、自己責任社会のイメージが強いアメリカでも結婚している家庭では2019年の収入が2000万円以上じゃない限り現金給付の対象となり、コロナウイルスのせいで仕事をなくした人に対しては通常の失業手当に加えて600ドル(約6万5000円)が支給されるという。コロナウイルスに対する各国政府の補償を見ると、やはり日本は先進国の中で最悪の緊縮財政国家なんだなと思わざるを得ない。

 

 また、政府はこの期に及んでも消費税引き下げに否定的なのが呆れてしまう。日本経済はコロナウイルス発生前から深刻な不況に突入していて、2019年10~12月期の名目GDP成長率は年率マイナス5.8%と前回消費税を8%に増税した2014年4~6月期の年率プラス0.1%よりも悪化している。日本の鉱業・製造業の活動状況を表す鉱工業指数も2014年4月が前年比プラス1.9%だったのに対し、2019年10月は前年比マイナス7.0%まで落ち込んでしまった。卸売業と小売業を合わせた商業販売額も2014年4月が前年比マイナス3.4%だったのに対し、2019年10月は前年比マイナス8.7%に下落している。

 前回の増税より今回の増税のほうが明らかに経済への悪影響が大きかったにも関わらず、2020年2月まで月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」と楽観視して何も景気対策を取らないのは戦時中の「大本営発表」と変わらないのではないだろうか。

 

 その上、2018年度の国と地方を合わせた消費税収は22.3兆円だが、これを日本の総人口(1億2644万人)で割ると1人当たり年間17.6万円も消費税を支払っていることになる。日経新聞が2016年2月に公表したデータによれば、消費税が10%に増税されると「年収に占める消費税負担の割合」は年収1500万円以上の世帯では2.0%程度なのに対し、年収200万円未満の世帯では8.9%にものぼると予測している(図29を参照)。年収200万円未満と年収1500万円以上で消費税負担の割合が4倍以上も開いていることから、消費税引き下げは低所得者にとって現金給付と同じくらい経済効果が大きいだろう。

 もし、安倍政権がここで消費税引き下げを決断できなければ、将来的に日本は「2019~2020年の消費税10%増税新型コロナウイルスによって衰退途上国に入った」と言われるかもしれない。

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急速な移民受け入れ政策やインバウンド依存を見直すべき

 更に、日本で新型コロナウイルスの感染が拡大したのは安倍政権の急速な移民受け入れ政策やインバウンド依存にも原因があるのではないだろうか。

 2019年に在留外国人数が293.3万人、外国人労働者数が165.9万人となって共に過去最高を更新した。外国人数は特に安倍政権になってから急増していて、在留外国人は2012年の203.4万人から7年間で89.9万人、外国人労働者は2012年の68.2万人から7年間で97.6万人も増加している(図30を参照)。ちなみに、在日中国人は2012年の65.3万人から2019年の81.4万人まで7年間で16.1万人も増加した。

 安倍首相は海外のスピーチで「もはや国境は国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」「国を開くことが私の中に流れる一貫した哲学でした」「一定の条件を満たせば、世界最速級のスピードで永住権を獲得することができる国になります」と地球市民的な発言を繰り返しており、保守どころか戦後最も左寄りの政権と言っても過言ではないだろう。

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 しかし、日本の「自称保守派」は移民受け入れに賛成する人物が多いのが非常に残念である。例えば、元東京都知事石原慎太郎氏は「このまま人口が減少すれば国力の低下は必至です。労働力確保のためにも移民を積極的に受け入れるべきだ」と発言している。また、安倍政権を熱烈に支持している櫻井よしこ氏は「日本が政治難民や優秀な人材を受け入れることや、アジア諸国の人材を育成することも私は大賛成だ」と述べた上で、「外国から来た人にも皇室の歴史、それを支える宗教観や文化を受け入れてもらうことが必要」と発言している。つまり、低賃金や長時間労働に苦しんでいる外国人労働者にも日本社会への忠誠を強制させろと言いたいようである。

 

 更に、移民反対派の中でも全く的外れな批判に終始しているのが元警視庁刑事の坂東忠信氏だ。彼は企業が移民を受け入れざるを得なくなった理由について「ゆとり教育で心が折れやすい若者が増えた」と主張している。坂東氏は元刑事ということもあり、警察学校のようなブラック企業の研修に耐えられない人が悪いと言いたいようだ。だが、2012年12月には大阪市立桜宮高校でバスケ部のキャプテンだった生徒が顧問から過酷な体罰を受け自殺した事件も発生しており、体育会系の部活動では今でも根強くスパルタ教育が残っているのが現実だろう。

 その上、未成年の検挙人数は2003年の16万5973人から2018年の3万458人(少年人口比では10万人当たり1265.4人から269.6人)まで4分の1以下に減少していて、若者はどんどん優秀になってきている。企業が率先して外国人労働者を受け入れているのは、単に日本人の給与を上げたくないからではないだろうか。

 

 櫻井氏や坂東氏をはじめとする自称保守派は新型コロナウイルスを「武漢肺炎」などと呼んでいるが、こうした反中を煽る名称をあえて使うのは政府が2020年1月までインバウンドとして中国人観光客を大量に受け入れていた事実から目を逸らす目的もあるのかもしれない。

 実際に、中国人観光客は2012年の142.5万人から2019年の959.4万人まで7年間で800万人以上も増加し、安倍首相は在日中国大使館のホームページで「春節に際して、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、その土地ならではの日本らしさを感じて頂ければ幸いです」という春節祝辞を1月30日まで掲載していた。訪日外国人数を見ても2020年1月に日本へ入国した中国人は92万4800人と前年比22.6%増加となっており、安倍政権はコロナウイルスの感染拡大が深刻になる3月上旬まで中国人の入国禁止を決断できなかったようだ。

 しかし、この状況を批判しているのは経済評論家の三橋貴明氏くらいで、保守もリベラルも安倍政権のインバウンド依存に懸念を示さないのは異常だろう。コロナウイルスの収束後に日本経済を復興させるためには、外国人労働者や観光客の受け入れをやめて消費税引き下げと財政出動GDPの約6割を占める日本国民の消費を増やすしかないと思っている。

 

 

<参考資料>

田村秀男 「アベノミクスの失敗 貧乏神がささやく景気堅調の嘘」 『表現者クライテリオン』(啓文社書房、2020年3月号)

坂東忠信 『亡国の移民政策 ~外国人労働者受入れ拡大で日本が消える~』(啓文社書房、2018年)

 

日本の4-6月期GDP予想、マイナス25%に下方修正

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-08/Q8G3FGDWX2PU01?srnd=cojp-v2

新型コロナ、ロックダウンの経済的損失は約63兆円

https://resemom.jp/article/2020/04/06/55669.html

令和2年4月7日 安倍内閣総理大臣記者会見

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0407kaiken.html

安倍政権の緊縮執念と「事業規模」の欺瞞

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12587691526.html

自民議員まで怒り沸騰の「1世帯30万円給付」のハードルの高さ

https://www.j-cast.com/kaisha/2020/04/08383896.html

鉱工業指数 統計表一覧(データダウンロード)

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/b2015_result-2.html

商業動態統計速報 2020年2月分

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/pdf/202002S.pdf

平成26年(2014年) 商業動態統計年報

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/h26_2.html

月例経済報告 2020年2月

https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2020/0220getsurei/main.pdf

消費税と法人3税の減収額の推移

http://nam-students.blogspot.com/2018/11/2018111.html

人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)

http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2018np/pdf/gaiyou.pdf

年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は

https://vdata.nikkei.com/prj2/tax-annualIncome/

19年末の在留外国人数、最多の293万人

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57318840X20C20A3EA3000/

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html

労働力確保のため移民の積極的な受け入れをと石原慎太郎

https://www.news-postseven.com/archives/20140603_255518.html

「粗にして雑、移民国家の自民党案」

https://yoshiko-sakurai.jp/2008/09/04/752

櫻井よしこ氏 ヘイトスピーチは日本人の誇りの欠如が原因

https://www.news-postseven.com/archives/20140523_255470.html

国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

 

 

ーー追記ーー

 この記事を投稿した後、4月16日の午後に安倍首相が公明党の山口代表に今年度の補正予算案を組み替え、所得制限を設けずに現金10万円の一律給付を実現する考えを伝えました。

 ただし、コロナ対策の予算を増やすことに反対している財務省が現金の一律給付に抵抗を示してくることが予想されるため、今後も動向を注視していきたいと思います。

2017年2月28日発売「消費税の歴史と問題点を読み解く」

消費税収の86%が法人税減税に消えている」など、2017年2月までの当ブログの記事をまとめ、大幅に加筆した新書が同年2月28日に発売されました。

興味を持っていただいた方は、書店やAmazon等で購入してもらえると有り難いです。

 

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目次

第1章 消費税の歴史(近代史から橋本内閣まで)

第2章 消費税の歴史(小泉内閣から安倍内閣まで)

第3章 増税グローバリズムのここがおかしい!

第4章 世界の消費税、軽減税率、所得税の負担率

第5章 消費税は社会保障に使われていない

 

内容紹介

 消費税は身近な税金である。しかし国税のなかで消費税は滞納金が多く、増税をしていくにつれて滞納額が増加するという問題点はあまり知られていない。また、消費税引き下げの議論はない一方で、法人税減税は行われている。

 本書では、消費税の導入から増税が繰り返される日本の歴史、欧米諸国との比較、消費税増税についての問題点を明らかにする。消費税に関して改めて整理し、増税後、国民の生活にどのように影響していくのか考察していく。

 

著者 大谷 英暉  ISBN 978-4-344-91106-2

新書186ページ 価格880円

 

 

消費税の歴史と問題点を読み解く

http://www.gentosha-book.com/products/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/

 

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