消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

岸田政権は消費税廃止と一律の現金給付で「令和の所得倍増」を達成すべき

現金給付の対象を18歳以下に限定するのは実質的な「独身税」だ

 2021年10月4日に発足した岸田政権は経済政策として「令和の所得倍増計画」を掲げている。所得倍増計画とは、1960年に池田勇人政権が閣議決定した経済対策の基本計画である。池田政権は減税や公共投資の拡大、社会保障の充実といった財政出動で当初の目標だった10年よりはるかに早い7年で国民一人当たりの所得を2倍の水準に引き上げることに成功している。

 しかし、内閣府が2021年12月8日に発表した同年7~9月期のGDP成長率は物価の変動を除いた実質が年率マイナス3.6%、物価の変動を含めた名目が年率マイナス4.1%と厳しい結果になった。家計最終消費支出(帰属家賃を除く)も実質が年率マイナス6.4%、名目が年率マイナス5.2%と東京五輪を開催したにも関わらず個人消費が落ち込んでしまったのだ。

 

 また、萩生田光一経産大臣は10月5日に「なかなか令和の時代に所得を倍増するのは非現実的な部分もあると思う」と発言し、山際大志郎経済再生担当大臣も10月14日に「令和版所得倍増は所得が2倍になるという意味ではない」との認識を示した。だが、1997~2021年にかけての名目GDPの伸び率は日本が1.02倍なのに対し、デンマークは2.16倍、イギリスは2.35倍、スウェーデンは2.59倍、アメリカは2.67倍、カナダは2.78倍にものぼっている(図20を参照)。

 分配面から見たGDPは「雇用者所得」も構成要素の一つに含まれるため、名目GDPが24年間で2倍以上に増加したということは十分に所得倍増を達成したと言えるのだ。萩生田氏のように「令和の時代に所得を倍増するのは無理」と政治家が経済成長を諦めて自虐的な発言をするのは、憲法13条の幸福追求権にも違反しているのではないだろうか。

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 1997年以降に日本の名目GDPが増加しなくなったのは、小泉政権以降の自民党が緊縮財政を続けてデフレ不況を長期化させてきたことが原因の一つだと指摘されている。図21では2001年を100とする「主要先進国の政府支出の推移」を示したが、これを見ると日本は先進国の中で最も政府支出を増やしていない国だと言える。ちなみに、名目GDPの推移が1997年から始まって政府支出の推移が2001年から始まっているのは、アメリカが政府支出の推移を2001年以降しか公表していないためである。

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 更に、岸田政権は2021年12月14日に新たな経済対策で18歳以下を対象にした10万円の現金給付を決定した。公明党山口那津男代表は「コロナの影響で2020年に不登校や自殺をした子供の数が過去最多となった。食費や通信費もかさんでいる。そうした子供たちを社会全体で応援していくメッセージを届ける必要がある」と述べている。だが、現金給付の対象を18歳以下に限定すれば、お金がなくて結婚できないワーキングプアの独身者は救われないだろう。

 岸田政権が独身の貧困層に対して全く補償しないのは、厳しく言えば「子育てしていない人は国家に貢献していない」という意識が存在するからではないだろうか。実際に、2018年5月には自民党加藤寛治氏が「女性に必ず3人以上子供を産み育てていただきたい」「結婚しなければ子供が生まれず人様の税金で老人ホームに行くことになる」と発言し、2017年11月には山東昭子氏が「子供を4人以上産んだ女性を厚労省で表彰することを検討してはどうか」と発言している。

 旧ソ連ではかつて「独身・無子税」として、子供がいない夫婦や独身男性に賃金の6%が掛けられていたこともあるが、今の日本でも独身の貧困層が10万円の現金給付を受けられないという点では実質的な「独身税」が導入されていると言っていいだろう。

 

 

男性の貧困層を救済して2045年までに名目GDP1200兆円を目指そう

 岸田政権が少子化対策として実施すべきなのは、子育て世帯に対する現金給付だけでなく男性の貧困層を救済することである。その理由として2021年11月24日に発表された民間給与実態統計調査の世代別年収が酷いことになっているからだ。

 もともと男性の年収は1997年以降に減少していたのだが、2019年から2020年にかけての年齢階層別平均給与を見ると15~19歳が14.3万円、20~24歳が1.3万円、25~29歳が9.3万円、30~34歳が11.7万円、35~39歳が11.3万円、40~44歳が11.2万円、45~49歳が8.1万円、50~54歳が23.0万円、55~59歳が18.3万円も年収が減ってしまった。この間、食料を含めた総合物価指数はプラスマイナス0%と横ばいなので、政府が消費税廃止などの景気対策を実施しないことによる国民の貧困化は既に表れていると言えるだろう(表2を参照)。

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 また、日本はコロナ不況だけでなくデフレーションが長引いていることで世代間の収入格差までもが深刻になっている。例えば、バブル期以前の1980年に大卒で入社した1957年度生まれの男性と、1985年に大卒で入社した1962年度の男性は22歳から42歳までの20年間で年収が2.5~3.1倍も増加していた。この世代であればまだ「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という高度経済成長期の家族モデルを形成することができたかもしれない。

 それに対し、バブル期以降の1990年に入社した1967年度生まれの男性、1995年に入社した1972年度生まれの男性、2000年に入社した1977年度生まれの男性は22歳から42歳までの20年間で年収が1.8~1.9倍程度しか増加していない。この世代に入ると運良く高収入になれた男性を除いて、夫の所得だけで妻子を養うことは非常に難しいだろう(図22を参照)。

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 更に、安倍政権の成果としてよく挙げられる雇用環境の改善についても失業率と就業者数の内訳を見ると非常に問題があるように思う。安倍元首相は2021年12月7日に行われた財政政策検討本部で「雇用を守り抜くことにおいて今失業率は2.8%。先進国の中でも、最もしっかりと守っているといえるだろう。今まで積極的な財政出動を行い、その成果でもある」と自画自賛した。つまり、安倍氏の頭の中では在任中に消費税率を2段階も引き上げたにも関わらず、自分は十分な財政出動を実施したことになっているようだ。

 しかし、2020年の年代別失業率は65歳以上の女性が1.1%程度なのに対し、15~19歳の男性は5.7%にものぼっている。高齢女性と若年男性の失業率には5倍以上の差が存在するため、安倍政権が若者の雇用環境を大幅に改善させたとは言い難い。

 

 2012~2020年の就業者数についても性別で見ると女性が310万人増加したのに対し、男性は87万人程度(女性の28.1%)の増加に留まっていて女性ほど雇用改善の恩恵を受けていないのだ。その上、男性の中でも2012~2020年にかけて65歳以上の就業者数は173万人増加しているのに対し、現役世代に当たる25~44歳の就業者数は合計で215万人も減少してしまった。

 2012年以降の就業者数の増加は、女性や高齢者が働かざるを得なくなったことで成り立っていると言っていいだろう。

 もし、岸田政権が本気で「令和の所得倍増」を目指すのであれば消費税を廃止し、インフレ率を調整しながら既婚者も未婚者も関係なく、国民に一律の現金給付を行って戦後100年に当たる2045年までに名目GDPが1200兆円(2021年の2.22倍)に達するよう目標を立てるべきである。

 

 

<参考資料>

藤井聡 『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ社、2021年)

森永康平 『MMTが日本を救う』(宝島社、2020年)

 

国民経済計算 2021年7-9月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe213_2/gdemenuja.html

首相の「所得倍増」、萩生田経産相「令和には非現実的な部分も…」

https://www.asahi.com/articles/ASPB56GBBPB5ULFA00Q.html

山際大臣「所得倍増は所得が2倍になる意味でない」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000231964.html

「大人の所得で子ども分断すべきでない」公明・山口代表が一律10万円給付の意義強調

https://www.fnn.jp/articles/-/266691

独身税の何が悪いのかわからない」に反論相次ぐ

https://news.nifty.com/article/economy/business/12117-16780/

民間給与実態統計調査結果

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

財政破綻という神話」を打ち砕け!

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12714518319.html

労働力調査 長期時系列データ

https://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html

『Hanada 2020年3月号』でれいわ新選組の消費税廃止を批判した高橋洋一氏と坂井広志氏に反論する

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自民党を擁護するために主張をコロコロと変える高橋洋一

 2021年10月31日に実施される予定の衆院選で、私にとって最大の争点は消費税廃止を掲げるれいわ新選組山本太郎代表が国会に戻れるかどうかである。今回の衆院選で山本氏は小選挙区からではなく比例東京ブロックから出馬すると発表した。

 れいわ新選組の経済政策は非常に画期的だが、それと同時に数多くの批判を浴びてきたことも事実だろう。その中で最も疑問に感じたのは、自民党の熱烈な支持者が愛読する月刊誌「Hanada」の2020年3月号に掲載された高橋洋一氏(元内閣官房参与)の記事である。

 

 高橋氏はれいわ新選組を批判する記事の中で「山本氏は『行列ができるラーメン屋ですら消費税が払えない。これが今の日本の実態です』と言っているが、これは完全なミスリードである。消費税が払えないということは本来あり得ない。消費者からもらった消費税額から仕入れで払った分を差し引き、そのまま納付すればいいだけの話。どんぶり勘定だから消費税が払えないという事態になるのだ」と自己責任論を述べている。

 だが、国税庁によれば2020年度に発生した消費税の滞納税額は3456億円と、国税全体の滞納額(5916億円)における58.4%を占めている(図16を参照)。全国商工新聞が2018年8~9月に行った調査によれば、建設業(建設設計を含む)で「消費税を価格に転嫁できない」と答えた企業は消費税が8%だった当時の38.3%から、10%に増税された場合の54.8%まで大幅に増加している。消費税は法人税所得税と違って年間売上高が1000万円以上の場合、事業者が赤字でも納税しなければならず、滞納税額が減らないのは決して自己責任ではなくそれだけ消費税を価格に転嫁できない企業が多いからだろう。

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 また、高橋氏はマレーシアが2018年に消費税を廃止したことについて「世界の潮流は個別物品税ではなく一般消費税だ。マレーシアはいま想像を超える税収減に苦しんでいる」などと言っている。しかし、過去20年間の政府歳入の推移を見るとマレーシアは2001年の916.3億リンギットから2021年の3038.6億リンギットまで約3.32倍も増加しているのに対し、日本は2001年の154.1兆円から2021年の191.2兆円まで約1.24倍の増加に留まっている(図17を参照)。

 マレーシアが税収不足に苦しんでいるというのは全くの嘘であり、高橋氏はマレーシアの経済を批判する前に「日本がなぜ消費税を5%から10%に増税しても政府歳入がほとんど増加しないのか」についてもっと考察すべきではないだろうか。日本の歳入が増えないのは2001~2021年の20年間で名目GDPが全く増加していないからである。

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 更に、高橋氏は政府が補償して最低賃金を1500円に引き上げるれいわ新選組の政策について「最低賃金を上げ過ぎれば誰も雇用しなくなる」「急に引き上げると韓国経済の二の舞になる」と述べている。しかし、高橋氏が本当に最低賃金を引き上げることに反対なのであれば、菅義偉元首相やデービッド・アトキンソン氏の最低賃金引き上げ政策も批判しなければ筋が通らないだろう。

 高橋氏がれいわ新選組を批判して菅政権を全く批判しないのは、れいわ新選組最低賃金引き上げが国民の所得を底上げする政策なのに対して、菅政権の最低賃金引き上げは中小企業を淘汰することが目的になっていたからである。企業支援をほとんど行わずに最低賃金だけ引き上げる点においては、れいわ新選組より菅政権のほうがよっぽど韓国のやり方に近いだろう。

 

 また、高橋氏は「山本の主張する『消費税廃止の財源27兆円はこうすれば生み出せる』の試算をしたのが民商民主商工会)と深い関わりのある税理士だった。民商のホームページでは『小企業・家族経営の営業と暮らしを支え合う中小業者の団体』と説明しているが、この団体は実は日本共産党系の組織である」とも述べている。

 だが、私が毎年3月13日に民商が全国各地で開催している「重税反対全国統一行動」に参加したところ、当日は公共事業を推進する労働組合の方も来ていたのだ。日本共産党は学校や公営住宅などの老朽化対策は必要としつつもダムや高速道路などの大型公共事業には反対している。このことから民商の関係者全員が共産党の支持者というのは全くのデタラメだろう。

 

 高橋氏は文藝春秋の2020年2月号に山本太郎氏の論文「『消費税ゼロ』で日本は甦る」が掲載されたことについて「文藝春秋はいつから共産党の機関紙になったのか」と批判したが、文藝春秋は2021年9月号の中で自称保守派から高い評価を受けていた高市早苗氏が自民党総裁選に出馬する記事を掲載しており、山本氏の論文だけで共産党の機関紙扱いするのは無理があるだろう。仮に文藝春秋共産党の機関紙であるなら、自民党を熱烈に支持する論客が毎月金太郎飴のように登場し、貧困問題に対して自己責任論ばかり強要する「WiLL」や「Hanada」などの雑誌こそ経団連の機関紙と言えるのではないだろうか。

 

 2012~2018年に内閣官房参与を務めていた藤井聡氏は安倍政権に対して何度も消費税増税の中止を提言しており、結果として10%増税の時期が2015年10月から2019年10月まで4年間延期された。それに対し、2020~2021年に内閣官房参与を務めた高橋洋一氏は菅政権に対して一度も「消費税引き下げ」を提言しておらず、2021年5月には新型コロナウイルスの新規感染者を国際比較したグラフを用いて「日本はこの程度のさざ波。これで五輪中止とかいうと」「日本の緊急事態宣言といっても、欧米から見れば戒厳令でもなく屁みたいなものでないかな」と失言し、結果的に菅政権の足を引っ張っただけであった。

 

 高橋氏はHanadaの2020年3月号ではれいわ新選組の消費税廃止を批判したが、逆に2020年10月に物議を醸した日本学術会議の任命拒否問題では「思い出すのは東日本大震災後、民主党政権に採用された復興税。不況時の増税など古今東西、聞いたことがありません。当時、誰がこんなバカなことを言っているのかと思ったら日本学術会議だった」と述べている。つまり、高橋氏は「消費税増税に賛成していても反対していても自民党を批判する勢力は一切許さない」というのが本音ではないだろうか。

 山本太郎氏はこうした自民党を擁護するために主張をコロコロと変える自称経済学者に振り回されることなく、堂々と消費税廃止を掲げてほしいと思っている。

 

 

消費税廃止を否定するために人口減少衰退論を持ち出す坂井広志氏

 Hanadaの2020年3月号では高橋洋一氏だけでなく産経新聞政治部の坂井広志氏がれいわ新選組の政策を批判した記事も気になった。

 2012年に騒動となったお笑い芸人の母親が生活保護を利用していた問題で山本太郎氏が「家族だから面倒見なければならない?夫婦だから何とかしなければならない?同じ地域だからどうにかしなければならない?共助とか自助とか、そういうものに頼り切るような政治にどうして税金を取られなければならないんだ」と発言したのに対し、坂井氏は「もちろん親の面倒を見る余裕がない人はこの世の中に多数います。しかし、子供が親の面倒を見なくて何が家族でしょうか。社会を構成する基本的単位である家族の否定に直結しかねないこの考え方は、無秩序の社会を生み出しかねない点で危険としか言いようがありません」と述べている。

 

 だが、お笑い芸人の騒動についてフランス人記者のレジス・アルノー氏は「フランスの基準からすれば彼は当然のことをした。母親は失業して国に助けを求めた。息子は一生懸命働いて高い所得税を払っているのだから、政府の歳入の足しにさえなっている。息子がいくら成功していても母親はできる限り政府の寛大さに甘えるべきだ」と擁護した。

 日本社会ではどうも親と子の人格が一体として捉えられており、例えば芸能人の子供が覚せい剤や強姦などの犯罪を起こすと、必ずと言っていいほど社会的にも法的にも別人格の親が不祥事の責任を取って謹慎をするという慣例がある。実際に、お笑い芸人の謝罪も法的責任を認めたのではなく、テレビの醸成した世論の雰囲気に押された「道徳的責任」の圧力に抗しきれなくなっただけに過ぎない。

 

 また、坂井氏は「生活保護は最後の最後に頼るべきものです。生活保護を決めるための調査は厳格化しなければ国の財政は破綻しかねません」と言っているが、国債のうち日銀が保有する割合が2010年の8.0%から2021年の48.2%まで増加している状況でどうしたら日本が財政破綻するのだろうか。日銀が保有する国債について政府は返済や利払いを行う必要はないのだ。

 政府がもし生活保護の利用者数を減らしたい場合は、雇用の受け皿として公務員数を増やしたり、年金や失業保険など他の社会保障制度を充実させていったりするしかないだろう。図18では1985~2018年の「1世帯当たりの平均所得金額と生活保護利用者数の推移」を示したが、これを見ると平均所得金額は1995年の659.6万円から2018年の552.3万円まで23年間で100万円以上も減少した一方で、生活保護利用者数は1995年の88.2万人から2018年の209.7万人まで23年間で120万人以上も増加している。これだけ平均所得金額と生活保護利用者数が逆の相関を見せているのは、生活保護制度が事実上の「最初で最後のセーフティネットになっているからではないだろうか。

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 坂井氏はれいわ新選組が消費税廃止の代わりに「法人税累進課税化」を掲げていることに対して、「先進国の間で法人税の引き下げ競争が激しさを増しているのは言うまでもありません」とも述べているが、2021年10月にはOECD経済協力開発機構)が多国籍企業による租税逃れを防ぐ国際課税の新ルールについて、世界共通の法人税の最低税率を15%とすることを136ヵ国が最終合意したと発表している。

 1990年代から2000年代にかけて先進国の間で繰り返されてきた法人税の引き下げ競争が既に終焉を迎えていることを知らずに、坂井氏がれいわ新選組の政策を批判しているなら政治記者としてあまりにも勉強不足だろう。

 

 更に、坂井氏はマレーシアが消費税を廃止した後に個人消費が回復したことについて、「マレーシアのケースが日本にそのまま当てはまるかどうかは慎重に吟味する必要があります。高齢化大国・日本の平均年齢はおよそ47歳です。これに対し、マレーシアは28歳です。購買力に差が出てくるのは当然です」と典型的な人口減少衰退論を述べている。

 しかし、世界では日本より人口が減少している国はいくらでも存在し、2001~2021年の人口増加率はリトアニアがマイナス19.3%、ラトビアがマイナス19.1%、ウクライナがマイナス14.4%、ルーマニアがマイナス13.7%、ブルガリアがマイナス12.8%、ジョージアがマイナス8.2%、クロアチアがマイナス7.0%、アルバニアがマイナス6.2%、エストニアがマイナス4.3%なのに対し、日本はマイナス1.4%程度である。

 

 その一方で、2001~2021年の名目GDPの伸び率はウクライナが2450%、ルーマニアが1008%、ジョージアが839%、エストニアが432%、ラトビアが418%、ブルガリアが412%と人口が増加しているマレーシアの393%よりも経済成長しているのだ。諸外国と比べて日本だけ名目GDPが増えないのは人口が減少しているからではなく、政府の総支出を削減してきたのが原因だということは図19を見れば明らかだろう。

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 経済評論家の三橋貴明氏はこうした人口減少衰退論が国民に幅広く根付いてしまっていることについて、「太平洋戦争敗北後にGHQが主導した自虐史観を植え付けられた世代を中心に『日本のような国は衰退したほうがいい』という価値観が蔓延しているためではないのか。その種の価値観を持つ国民にとって『日本は人口減少によるデフレで衰退する』と想像をめぐらせることが気持ちいいのではないかと推測する」と述べている。

 「日本のような国は衰退したほうがいい」という価値観は、まさに高橋洋一氏と坂井広志氏のような消費税増税や移民大量受け入れなどの愚策を繰り返し、新自由主義政策で日本経済を弱体化させてきた安倍政権を熱烈に支持する自称保守派にこそ蔓延しているのではないだろうか。

 

 消費税廃止を掲げる山本太郎氏を国会に戻すことは、分厚い中間層を生み出してきた戦後の一億総中流社会を取り戻すためにどうしても必要なのだ。10月31日の衆院選は是非とも小選挙区では自民・公明・維新以外の候補者に投票し、比例代表ではれいわ新選組に投票してほしいと思っている。

 

 

<参考資料>

高橋洋一 「『消費税ゼロ』論文 『文藝春秋』二月号、メッタ斬り 山本太郎の正体」 『Hanada』(飛鳥新社、2020年3月号)

坂井広志 「山本太郎ファクトチェック」(同上)

竹中平蔵高橋洋一 「大震災後に『復興税』を説いたバカ」 『WiLL』(ワック、2020年12月号)

レジス・アルノー 「フランスではあり得ない生活保護バッシング」 『ニューズウィーク日本版』(CCCメディアハウス、2012年7月18日号)

古谷経衡 『女政治家の通信簿』(小学館、2018年)

三橋貴明 『日本「新」社会主義宣言』(徳間書店、2016年)

 

令和2年度租税滞納状況について

https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0021007-113.pdf

消費税10%で廃業を検討2桁も

https://zenshoren.or.jp/shoukai/chousa/181112-05/181112.html

マレーシアの歳入・歳出の推移

https://ecodb.net/country/MY/imf_ggrx.html

日本の歳入・歳出の推移

https://ecodb.net/country/JP/imf_ggrx.html

国民のための公共事業政策

https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/2019-bunya34.html

国債等の保有者別内訳(令和3年6月末)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

法人税OECD各国が最低税率15%で最終合意

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20211009-OYT1T50187/

デフレ不況が続いていて、自己責任論の強い日本で消費税は不向きな税制

消費税を引き下げたほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効

 2021年4月10日の日経新聞「大機小機」に「ポストコロナと『国民連帯税』」というタイトルのとんでもないコラムが掲載された。

 その内容は「新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)は、同時に進行していたデジタル社会の変革の流れと相まって、生活様式や考え方に大きな影響を与えた」とし、「最重要はコロナ禍で膨張した歳出の後始末である。東日本大震災時には国民が連帯し、所得税や住民税などの時限的付加税で復興費用を25年かけて賄う仕組みを作った。コロナ対策でも国民が連帯して政策を支える証しとして同様の仕組みを作り、後世代へのつけを避けるべきだ。『国民連帯税』として国民全員が応分の負担をするという考えがポストコロナの思想を育む」と復興増税を煽っているのだ。

 

 同記事では米国のバイデン政権が法人税率の大幅な引き上げを提案したことを紹介しているが、日本では震災後でも法人税の基本税率が2011年度の30.0%から2018年度の23.2%まで引き下げられている。コロナ増税として法人税が引き上げられる可能性はほとんどなく、結局のところ日経新聞は「国民連帯税として消費税を15~20%まで引き上げろ」と言いたいのだろう。

 だが、日本では2013年以降に日銀が金融緩和を行って民間銀行の国債を買い取り、国民に返す必要のある負債は急速に減少しつつある。2021年3月末現在、すでに日本国債の48.4%は政府の子会社である日銀が所有していて、このぶんは政府が返済や利払いを行う必要はないのだ(図9を参照)。2010年当時は国債のうち日銀が保有する割合は8.0%程度だったので、この10年間で日本の財政は急速に改善してきていると言えるだろう。

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 また、日経新聞が言う「後世代へのつけを残す」というのは政府の負債が増えることなのだろうが、国際的な財政再建の定義は政府の負債対GDP比率が減少することで名目GDPが増加すれば政府の負債が増えても財政健全化は達成できるのだ。例えば2021年1~3月期の名目GDPは544.4兆円だが、もし安倍政権が緊縮財政を行わず消費税が5%のままだったら日本経済はどうなっていただろうか。

 名目家計最終消費支出(持ち家の帰属家賃を除く)の推移を見ると、東日本大震災が発生した2011年1~3月期の225.6兆円から消費税が8%に増税される直前の2014年1~3月期の248.2兆円まで3年間で22.5兆円も増加した。2014年4月以降もこれと同じペースで消費の増加が続いていたら、2021年1~3月期の家計最終消費支出は300.8兆円にのぼっていたことが予想される。そうなると消費税が5%のままだったら、2021年1~3月期の名目GDPは68.5兆円も押し上げられて612.9兆円になっていただろう。

 安倍政権が目標に掲げていた「名目GDP600兆円」も増税がなければ達成されていたことになる(図10を参照)。

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 名目GDPが544.4兆円から612.9兆円に増加すれば当然のことながら「政府の負債対GDP比率」も減少する。財務省によれば2021年3月末時点で国債と借入金、政府短期証券を合計した政府の負債は1216.5兆円で対GDP比率は223.5%となっているが、もし消費税を増税せず名目GDPが612.9兆円だったら「政府の負債対GDP比率」は198.5%まで縮小したことになる。消費税を増税するどころか引き下げたほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効なのだ。

 

 

日本人の自己責任論は新型コロナウイルスでも浮き彫りになった

 私は橋本政権から20年以上もデフレ不況が続いていて、先進国の中で最も貧困問題に対して自己責任論が強い日本で消費税は不向きな税制なのではないかと考えている。例えば、米国のピュー・リサーチ・センターが2007年に行った調査によれば、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべきか?」の質問で「全くそう思う」と回答した人はスウェーデンが56%、イギリスが53%、ドイツが52%、フランスが49%、カナダが40%、韓国が30%、アメリカが28%なのに対し、日本はたったの15%程度である。

 また、2001~2021年の名目GDPの伸び率は韓国が2.83倍、アメリカが2.14倍、カナダが2.09倍、スウェーデンが2.08倍、イギリスが1.97倍、ドイツが1.63倍、フランスが1.57倍なのに対し、日本が1.05倍と先進国最低の水準である(図11を参照)。

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 アメリカ、韓国、カナダは「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が40%以下と比較的に自己責任論が強い一方で、2001~2021年の20年間で名目GDPが2倍以上も増加して健全に経済成長していると言える。それに対し、フランス、ドイツ、イギリスは2001~2021年の名目GDPが2倍未満と経済が低迷している一方で、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が50%近くもいて比較的に自己責任論が弱いと言えるだろう。

 更に、スウェーデンが高負担・高福祉社会で成り立っているのは2001~2021年の名目GDPが2倍以上も成長し、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が56%も存在していて共助や公助の精神が根付いているからではないだろうか。

 

 ピュー・リサーチ・センターの調査は既に14年前のものとなっているが、日本の自己責任論は2010年代に入ってから更に増幅している事実を知っている人は少ないだろう。例えば、ベネッセと朝日新聞が4~5年に一度実施している「学校教育に対する保護者の意識調査」によれば、豊かな家庭の子供ほどより良い教育を受けられる傾向があることについて、「当然だ」「やむを得ない」と回答した小中学生の保護者が2008年の43.9%から2018年の62.3%まで増加した。

 2008年から2018年にかけては、リーマンショック東日本大震災の発生など社会情勢が大きく変わり、不況や災害によって教育環境の変化を強いられる家庭が多かったことに加え、政府が社会保障の充実を掲げて消費税増税を強行したにも関わらず、教育格差を問題視する声はむしろ弱まっているのだ。

 

 更に、日本人の自己責任論は新型コロナウイルスでも改めて浮き彫りになったと言えるだろう。社会心理学者の三浦麻子氏などの研究グループが2021年3月に行った意識調査によれば、「新型コロナウイルスに感染する人は自業自得だと思う」という質問に対して「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)と答えた人の割合は、アメリカが5.5%、イギリスが2.5%、イタリアが3.0%、中国が3.5%なのに対し、日本は17.3%にものぼったことが明らかになった。

 逆に「全くそう思わない」と答えた人の割合は、アメリカが50.4%、イギリスが71.0%、イタリアが63.5%、中国が64.7%なのに対し、日本は22.3%程度と他国に比べて著しく低くなっている(図12を参照)。

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国会議員や官僚に危機感を抱かせることが消費税の廃止にもつながる

 日本人の自己責任論がここまで増幅したのは、間違いなくSNS上での誹謗中傷が背景に存在するだろう。私は2005年頃からインターネットで政治について調べているが、SNS上での誹謗中傷が過激化した明確なターニングポイントは2010年にあると思っている。

 2010年は政治的にも変化の大きかった年で、まず6月9日に自民党が熱烈な支持者を集めた「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC)を発足させている。民主党菅直人首相が6月14日に麻生~鳩山政権が廃止したプライマリーバランス黒字化目標を復活させ、大阪維新の会橋下徹代表は7月6日に「市役所は税金をむさぼり食うシロアリ」と暴言を吐いたことが問題になった。

 当時、2ちゃんねるでは「公務員は自殺しろ」「貧困は自己責任だ」といった差別的な書き込みを多く見かけるようになっていたが、その背景には緊縮財政を強化する政治的な動きがあったことは間違いないだろう。

 

 また、SNS上の自己責任論が増幅した原因の一つに、ポータルサイトを運営する企業側が新自由主義を推奨している部分もあるのではないかと思っている。例えば、2021年7月1日にNPOほっとプラス理事の藤田孝典氏がYahoo!ニュースとの契約を解除されたことを報告した。藤田氏は新型コロナウイルス景気対策として国民に毎月10万円を配る一律給付金を提唱していて、最近では積極財政を推進する衆議院議員の安藤裕氏や経済学者の井上智洋氏との対談も行っている。

 藤田氏がYahoo!との契約を解除された理由は、主に記事を発信する際にパソナ会長の竹中平蔵氏に対する批判を削除するように求められたことだと説明している。私は2010年頃からYahoo!ニュースのコメント欄を見ているが、共通しているのは極めて新自由主義的な書き込みが上位に来ていて自民党日本維新の会の支持者が非常に多いことである。特に、2020年11月に実施された大阪市廃止の住民投票では不自然に賛成派の書き込みが集中していた。

 

 SNS上で新自由主義的な書き込みが集まりやすいのは、炎上マーケティングに代表されるように過激な内容が却って注目されるということも多いからだろう。田中辰雄氏と浜屋敏氏が2017年8月に行ったアンケート調査によれば、「ネットで実りある議論をするのは難しいと思うか」という質問で「はい」と答えた人が47%、「どちらでもない」と答えた人が33%にのぼっていたのに対し、「いいえ」と答えた人はわずか7%しかいなかった。

 更に、2019年5月に行った追加調査(対象者1万6900人)では、憲法9条改正の是非について「強く賛成」が7.1%、「強く反対」が14.0%、「どちらでもない」が33.3%だった。それに対し、SNS上で政治的な発信を積極的にしている人に限った調査(対象者6311人)では「強く賛成」が26.8%、「強く反対」が17.8%、「どちらでもない」が18.7%と、一般の調査と比べて憲法9条改正に賛成する人は3倍以上も増加し、どちらでもない人は半分程度に減少している(図13を参照)。

 SNS上では「戦争反対、憲法を守ろう」という理想論より「人権を無視し、憲法を破棄し、戦争できる国を作る」という力強い言葉のほうが注目を集めやすいようだ。

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 2010年代に入ってから増幅してきた自己責任論に対抗するためには、まず身近な家族や友人と政治について会話する機会を増やすことから始めるのが良いと考えている。社会問題について積極的に話し合いをすれば、たまには他人と意見が衝突するときもあると思うが、SNS上で顔の見えない相手と意見をぶつけて喧嘩するよりはよっぽど有意義な議論になるだろう。

 日本人の多くが政治経済に関心を持って、国会議員や官僚に危機感を抱かせることが将来的な消費税の廃止にもつながると思っている。

 

 

<参考資料>

三橋貴明 『世界でいちばん!日本経済の実力』(海竜社、2011年)

薬師院仁志ポピュリズム 世界を覆い尽くす「魔物」の正体』(新潮社、2017年)

田中辰雄、浜屋敏 『ネットは社会を分断しない』(KADOKAWA、2019年)

津田大介香山リカ安田浩一 他 『安倍政権のネット戦略』(創出版、2013年)

 

国債等の保有者別内訳(令和3年3月末)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

国民経済計算 2021年1-3月期 2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe211_2/gdemenuja.html

国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和3年3月末現在)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202103.html

Pew Global Attitudes Report October 4, 2007(18、95ページ)

http://www.pewresearch.org/wp-content/uploads/sites/2/2007/10/Pew-Global-Attitudes-Report-October-4-2007-REVISED-UPDATED-5-27-14.pdf

学校教育に対する保護者の意識調査

https://berd.benesse.jp/up_images/research/Hogosya_2018_web_all.pdf

大阪大学大学院人間科学研究科三浦研究室

http://team1mile.com/asarinlab/

首相、基礎的収支「20年度までに黒字化」

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS14031_U0A610C1MM8000/

みなさんに大事なお知らせがあります

https://www.youtube.com/watch?v=R0RvmwVX_JY

消費税廃止と現金給付を実現するために政治経済に関心を持とう

富裕層増税とデフレ期の国債発行で消費税廃止は可能

 2021年7月6日、麻生財務大臣は2020年度の国の税収が新型コロナウイルスの影響で受けながらも60.8兆円と過去最高になったことについて、「いずれにしても景気としては悪い方向ではない」と楽観的な認識を示した。しかし、2020年度の実質GDP成長率がマイナス4.6%と戦後最悪の年に税収が過去最高になったのは、国民の立場から見れば景気が悪化しているのに取られる税金が増えたということに過ぎない。

 

 また、財務省によれば2021年度の一般会計税収は所得税法人税が伸び悩む影響によって57.4兆円に減少する見込みで、今後はコロナ不況の影響で税収が大きく落ち込む可能性が高いだろう。一般会計税収の推移を見るとバブル期の1991年度は所得税が26.7兆円、法人税が16.6兆円、消費税が5.0兆円だったのに対し、2021年度は所得税が18.7兆円、法人税が9.0兆円、消費税が20.3兆円と所得税収と法人税収が減少して消費税収が大幅に増加したことがわかる(図4を参照)。

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 税金とは一般的に景気が過熱気味ならば国民の可処分所得を取り上げるために徴税を増やし、景気が悪化しているならば徴税を控えて国民の可処分所得を増やす安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)が存在する。逆に言えば、景気の変動に対して税収が安定している消費税は不況でも失業者や赤字企業から容赦なく取り立てる欠点を持っているのだ。もし今後、所得税収と法人税収が大幅に減少したら麻生氏は「税収を確保するために消費税を15~20%まで増税しろ」と言ってくるかもしれない。

 

 だが、法人税の基本税率は消費税が導入された1989年度の40.0%から2019年度の23.2%まで減税した一方で、企業の経常利益は1989年度の38.9兆円から2019年度の71.4兆円まで1.84倍も増加している。もし、2019年度の経常利益に1989年当時の税率が適用された場合、単純比較で法人税収は34.9兆円にものぼっていたことが予想され、これは2019年度の法人税収である10.8兆円より24.1兆円も多かったことになる(図5を参照)。

 更に、所得税は税収が最も多かった1991年当時、課税所得が2000万円を超えれば50%の最高税率が適用された一方で、2019年現在は課税所得が4000万円以上でやっと45%の最高税率が適用されるまでに変化してきた。年収1000万円以上の高所得者は1991年の200.2万人から2019年の256.1万人まで1.28倍も増加しているが、もし2019年の高所得者に1991年当時の税率が適用された場合、単純比較で所得税収は34.2兆円にのぼっていたことが予想され、これは2019年の所得税収である19.2兆円より15.0兆円も多かったことになる(図6を参照)。

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 今後はコロナの影響で景気が悪化して所得税収と法人税収が減少する可能性が高いが、そのときは日銀が目標に定めている年率2%のインフレ目標に達するまで国債を発行して財源を捻出すれば良い。日本では2020年度に持続化給付金や特別定額給付金などの景気対策を実施して国債発行額が前年度から70兆円以上も増加したが、消費者物価指数の中で最も重要なコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)は2021年6月に対前年比マイナス0.3%とインフレは全く発生していない。国債を躊躇なく発行すれば、それによって歳出が短期的に増加することがあったとしても財政出動による経済効果で成長率が上がり、自然増収が毎年どんどん増えていくのである。

 所得税法人税の税率を1980年代の水準に戻してデフレ期の国債発行を認めれば、消費税を廃止しても社会保障費を捻出するのは可能だろう。

 

 

コロナ以前でも8割以上が景気回復を実感していない

 コロナ不況の今では過去の話になってしまったが、そもそも日本経済はコロナ以前であっても景気回復を実感する人はほとんどいなかったのではないだろうか。例えば、自民党の支持者が愛読している産経新聞が2019年3月に行った調査でも「景気回復の実感がある」と答えた人は9.8%程度だったのに対し、「実感はない」と答えた人は83.7%にのぼっている。これに対して菅政権の熱烈な支持者は「アベノミクスの影響で民間企業の平均年収が増加した」と反論することが多く、確かに国税庁のデータを見ると平均年収は2012年の408.0万円から2019年の436.4万円まで上昇していることがわかる。

 しかし、民間企業の平均年収が増加するかどうかは年収1000万円以上の高所得者の数と相関関係が強く、年収1000万円以上は2012年の172.3万人から2019年までの7年間で83.8万人も増加している。つまり、高所得者の増加が全体の平均年収を押し上げた形になっているようだ(図7を参照)。

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 高所得者の増加は一見良いことのように感じるが、日本人の所得が二極化すればするほどコロナ不況を自己責任で見捨てる著名人の発言が相次いでいるのが気になるところである。例えば、2021年6月26日放送の「朝まで生テレビ!」では、国際政治学者の三浦瑠麗氏が「私の子供なんかiPad持っているし、私の時代になかったテクノロジーをたくさん使えるようになっているので、何か凄い貧しくなったなっていう感覚をガツンと感じる時代にはまだなっていないと思うんですよ」と発言し、日本はMMT(現代貨幣理論)に基づいた積極財政を行うべきではないと主張した。

 

 だが、年収200万円以下の貧困層は1979年の1195.1万人から1991年の710.5万人まで減少していたが、その後はどんどん増加していって2019年には1200.0万人にのぼっている。1979年と2019年の貧困層はちょうど同じくらいの数だが、この間食料を含めた総合物価指数は1979~2019年の40年間で47.3%も上昇しているため、今の貧困層は昭和50年代の貧困層よりも苦しい生活を強いられているのが現実なのだ(図8を参照)。

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 また、コロナの感染拡大から1年半が経っても未だに「みんなが我慢すればコロナを乗り越えられる」といった根性論を思わせる発言をする著名人が多いことにも疑問を感じる。例えば、8月7日から2年ぶりに開催される予定だった野外音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』が7月7日に茨城県医師会などの要請で開催中止が決定され、出演予定だったミュージシャンから批判が相次いだ。これに対して、俳優の谷原章介氏は「大事なことは、敵は別に政府でも誰か反対している人でもなくてコロナっていうウイルスなわけですから、苛立ちを人にぶつけてもあまりいいことないかなって思います」と発言した。

 しかし、日本でコロナの感染者を80万人以上も増やしたのは安倍政権が国賓で来日する予定だった習近平に配慮して2020年3月まで中国人の入国禁止を決断できなかったり、2021年に入ってから3回も緊急事態宣言を繰り返しているにも関わらず菅政権が一度も特別定額給付金の再支給を実施しなかったりすることの責任も大きいのではないだろうか。

 

 麻生太郎氏や三浦瑠麗氏、谷原章介氏のように「税収が過去最高だから景気は悪くない」「日本人は貧しくなっていない」「苛立ちを人にぶつけても良くない」と政府の責任を放棄させる発言を行う著名人を許さず、消費税廃止や現金給付などの景気対策を実現させるためには、国民の多くが政治経済に関心を持って2021年10月までに実施が予定されている衆院選で自民・公明・維新以外の積極財政を推進する政党に投票するしかないと思っている。

 

 

<参考資料>

国民殺しの麻生太郎財務大臣

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12684978187.html

一般会計税収の推移

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf

法人企業統計調査(令和元年度年次別調査)の結果

https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r1.pdf

民間給与実態統計調査結果

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

消費者物価指数(CPI)結果

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

景気回復が「実感できない」理由を考えてみた

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00012/

朝生で露呈した三浦瑠麗の無知(池戸万作)

https://www.youtube.com/watch?v=SaIPyQMfK50

谷原章介「いらだちを人にぶつけても、あまりいいことない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/4030afcc353114d42ea87ba2fca2668078117054

オウム真理教よりも統一教会のほうが悪質な宗教である

※この記事は2018年9月20日に更新されました。

 

国際勝共連合は反共を装った「隠れ共産主義」の団体

 7月6日と26日に麻原彰晃をはじめとするオウム真理教の元幹部13人の死刑が執行された。私は麻原の死刑について否定しないが、果たして日本人にとって凶悪なカルト宗教はオウム真理教だけなのだろうかとも思う。

 

 例えば、自民党岸信介の時代から韓国の統一教会国際勝共連合、世界平和統一家庭連合)と親密な関係を築いてきた。

 岸信介の孫の安倍首相も2006年5月、統一教会の関連団体「天宙平和連合」に祝電を送っていたことが明らかになっており、国際勝共連合が発行している雑誌『世界思想』の2013年3月号と9月号では「強靭な国・日本」「救国ロードマップ」というタイトルで、勇ましい安倍首相の写真が表紙を飾っている。それはまるで、2012年9月に死去した教祖の文鮮明の後継者として安倍首相を指名しているかのような気味の悪さを感じてしまう(写真を参照)。

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 また、国際勝共連合は消費税増税、TPP協定、原発再稼働、共謀罪テロ等準備罪)、特定秘密保護法、日本版NSC集団的自衛権、安保法制、緊急事態条項、憲法の家族条項、小中学校の道徳教科化など安倍政権の様々な政策を熱烈に支持し、2016年1月には安倍首相を応援して自民党改憲案を推進する学生団体の「UNITE」を結成した。

 この他にも、長年の悲願だった共謀罪の制定について2017年4月のコラムで「先ほどロンドンの国会周辺でテロ事件が発生したようにテロ対策は焦眉の急だ。2020年の東京五輪に向けてテロ対策の強化が急がれる。同法案は今国会で必ず成立させねばならない」と高く評価している。

 

 しかし、先祖の因縁や霊障を取り除くためと言って信者に朝鮮人参茶や大理石壺などを高価で売りつける霊感商法や、女性信者を騙して見ず知らずの外国人と結婚させる合同結婚式など、今まで散々共謀罪に該当するような犯罪行為を繰り返してきた統一教会共謀罪の制定を推進するのは何とも皮肉な話である。

 共謀罪の真の狙いは、自民党統一教会に批判的な人々を取り締まることにあるのだろうか。

 

 更に、自民党議員の加藤寛治氏が今年5月10日に「女性に必ず3人以上子供を産み育てていただきたい」「結婚しなければ子供が生まれず人様の税金で老人ホームに行くことになる」と発言して問題になったが、国際勝共連合はこれに関しても「少子化が深刻な日本の50年後、100年後を考えたら極めて真っ当な正論である」「結婚しなくてもシングルで子供を持てるというフェミニスト社会保障だけ手厚くやれば良いと言うが、それではますます他人様の税金の投入が必要になるだけだ」と擁護している。

 だが、加藤氏の「結婚しなければ人様の税金で老人ホームに行くことになる」という発言は明らかにデタラメである。老人ホームのほとんどは有料であって、国が無償で提供しているわけではないからだ。加藤氏の発言には「政府が国民を養ってやっているのだから、子供を産んで国に貢献しろ」という統治意識が強く感じられる。

 

 こうした女性に出産を強要する発想は、実は国際勝共連合が忌み嫌っているはずの共産主義と非常に相性が良いことをご存知だろうか。有名な例は、独裁政権として知られるルーマニア共産党のニコラエ・チャウシェスク(1918~1989年)である(写真を参照)。

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 チャウシェスクは、ルーマニア出生率の低さを由々しき問題だと考えて1966年から女性の人工妊娠中絶を法律で禁止し、離婚にも大きな制約を設け5人以上の子供を産んだ女性を公的に優遇したが、ヨーロッパの中で最も貧しい部類に入るルーマニアでは大家族を養うことができず、育児放棄によって孤児院に引き取られる子供やエイズに感染する子供が急増するという問題が発生した。

 こうした極端な人口増加策で生まれた孤児たちは「チャウシェスクの落とし子」と呼ばれ、ストリートチルドレン化するなど後々までルーマニアの深刻な社会問題となっている。

 

 つまり、歴史的に見れば女性に出産を強要していたのは共産党であって、ニコラエ・チャウシェスクと同様の主張をする国際勝共連合は反共を装った「隠れ共産主義」の団体ではないだろうか。国際勝共連合が実際は共産主義の団体であることは、既に一水会鈴木邦男氏が1985年2月に寄稿した『朝日ジャーナル』の論文で指摘している。

 

 しかし、自民党議員の間では加藤氏だけでなく、山東昭子氏が「子供を4人以上産んだ女性を厚労省で表彰することを検討してはどうか」と発言したり、二階俊博氏が「この頃、子供を産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と発言したり、杉田水脈氏が「LGBTは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と発言するなど、日本の出生率が低下したのを結婚しない若者やLGBTのせいにし、女性に出産を強要する共産主義的なイデオロギーが蔓延しつつある。

 

 

少子化の改善には消費税引き下げと財政出動しかない

 日本で少子化が進んだのは、所得税減税や国営企業の民営化、消費税導入、労働者派遣法の施行など中曽根政権以降の小さな政府というデフレ促進策によって名目GDP成長率が下がり、子育て世代の収入が激減したからではないだろうか。

 1980年代はまだインフレの時代だったので小さな政府を進めても経済に悪影響を与えることは少なかったが、1990年代のバブル崩壊後にデフレ不況が深刻化する中で消費税増税や歳出削減を断行してしまったのは問題だった。厚労省国民生活基礎調査によれば、児童のいる世帯の平均所得金額は消費税が3%だった最後の年である1996年の781.6万円から2016年の739.8万円まで約42万円も下落している。

 

 児童のいる世帯の所得が大幅に減ったのは、『消費税増税が少子高齢化を加速させる』でも指摘したように子育て世代に当たる30代後半~40代前半の男性の平均年収が1997~2016年の19年間に70万円以上も減少し、夫が妻子を養える経済状況ではなくなったことが最大の原因だと言えるだろう。

 

 また、過去60年間(1957~2017年)の「名目GDP成長率と出生数の推移」には強い相関関係が見られ、最後に出生数が100万人を超えた2015年も名目GDP成長率が2.5%(平成17年基準)と比較的高い数字を示している(図66を参照)。

 政府が本当に少子化を改善させたいのならば、消費税引き下げと財政出動によって子育て世代の所得を増やし、年間の名目GDP成長率が5%を超えるような経済状況を3年以上続けるべきである。

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 だが、国際勝共連合少子化とデフレ不況の関係をどうしても認めたくないように見受けられる。

 『世界思想』の2013年3月号では、男女共同参画社会に関する世論調査の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する割合が2009年の41.3%から2012年の51.6%まで増加したことについて、女性の貧困や若者の労働環境の過酷さが原因だとする村松泰子氏、山田昌弘氏、開沼博氏の主張に反論し、「結婚と出産に経済的な関わりがあることは否定できないが、子供に寄り添いたい親の心情をことさら無視するのは家族軽視やジェンダーフリー思想の表れである」と述べている。

 

 しかし、2012年以降の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する割合の推移を見ていくと2014年は44.6%、2016年は40.6%と徐々に減少していることがわかる。2012年の調査で一時的に賛成派の割合が高まったのは、夫が妻子を養う高度経済成長期の家族モデルに回帰したのではなく、東日本大震災の影響で将来に不安を感じる女性や若者が増加したからではないだろうか。

 

 更に、『世界思想』の2018年6月号では戦後の歴代内閣をA~Eの5段階で格付けしていたが、これにも強い疑問を感じる(表11を参照)。

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 岸と安倍はもともと勝共連合と蜜月関係を築いていたので高い評価を受けるのは仕方ないが、法人税増税や公共事業の拡大、高齢者医療の無償化、公務員給与の引き上げなど大きな政府オイルショック後の安定成長に貢献した田中角栄が何故、C評価なのだろうか?

 田中角栄が首相だった時代(1972~74年)は、それこそ安定した収入を得た団塊世代が次々に結婚して第二次ベビーブームが発生していたにも関わらずである。

 

 そもそも、政府が公共事業を拡大すれば国民経済計算の「公的固定資本形成」が増加し、社会保障を充実させれば「政府最終消費支出」が増加して名目GDPも増え、国の経済成長にもつながるのだ。長引くデフレ不況においても小さな政府ばかり信奉する国際勝共連合は、そうした経済的な知識を一切持っていないのかと呆れてしまう。

 

 オウム真理教は1990年に「真理党」として衆院選に出馬したが、全員落選して供託金も没収され政界進出に失敗している。その一方で統一教会は長年、自民党新自由主義的な政策や家族の助け合い義務の強化を要求し、安倍政権の6年間で彼らの悲願が次々に実現されつつある状況だ。

 麻原彰晃は63歳で死刑となり一連のオウム事件についてある程度の償いをしたと言えるが、文鮮明は92歳までのうのうと生きて霊感商法合同結婚式の被害について全く責任を取っていない。その点では、オウム真理教より統一教会のほうがもっと悪質な宗教なのかもしれない。

 今後、もし安倍政権がスパイ防止法の制定を推進してきたら、野党議員は「犯罪集団の統一教会が1980年代からスパイ防止法の成立に関わってきたこと」を明確に提示して断固反対すべきだろう。

 

 

<参考資料>

櫻井義秀 『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』(新潮社、2009年)

山口広、滝本太郎紀藤正樹 『Q&A宗教トラブル110番』(民事法研究会、2015年)

ジョン・D・スターマン 『システム思考 複雑な問題の解決技法』(小田理一郎・枝廣淳子 訳著、東洋経済新報社、2009年)

国際勝共連合 「特集 強靭な国・日本 安倍政権の歴史的使命」 『世界思想』(世界思想出版、2013年3月号)

同上 「特集 歴代内閣を格付けする 安倍政権を戦後政治に位置づける試み」 『世界思想』(世界思想出版、2018年6月号)

 

死刑確定囚13人、全員執行 オウム真理教事件

https://www.asahi.com/articles/ASL787HXWL78UTIL01K.html

安倍首相と統一教会=家庭連合の関係がわかる8つの出来事

http://poligion.wpblog.jp/archives/5522

街頭デモで安倍政権を応援 旧統一教会系の国際勝共連合が支援する大学生集団「UNITE」の正体

https://dot.asahi.com/wa/2016062900245.html

「テロ準備罪法案」の成立を期せ

http://www.ifvoc.org/monthly/2017_04.html

「3人産んで」で人口急激社会への処方箋

http://www.ifvoc.org/news/shiso-np180601/

ニコラエ・チャウシェスク 堕胎と離婚の禁止

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%AF

勝共連合統一教会)と愛国詐欺

http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-234.html

「子無し税」で炎上中に山東昭子「4人以上産んだら表彰」発言の時代錯誤

http://bunshun.jp/articles/-/5081

自民・二階俊博幹事長「子供を産まない方が幸せだと勝手なこと考える人がいる」

https://www.sankei.com/politics/news/180626/plt1806260029-n1.html

LGBT“生産性”発言で大炎上 自民党杉田水脈の“脈々”と続く問題発言まとめ

http://bunshun.jp/articles/-/8326

平成29年 国民生活基礎調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa17/dl/03.pdf

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という意識の変化

http://honkawa2.sakura.ne.jp/2410.html

「若者が自民党を支持している」のカラクリ

※この記事は2017年12月29日に更新されました。

 

自民党支持の割合は若者も高齢者も変わらない

 2017年10月22日に行われた衆院選では、自民党が公示前と変わらず284議席を維持して勝利した。野党では立憲民主党議席を40名増やして勝利した一方で、希望の党議席を7名減らして惨敗している。

 私が最近の選挙で疑問に思っているのは、若年層ほど自民党支持者が多いという傾向があることだ。例えば、朝日新聞出口調査によれば比例投票先で自民党に投票した人は、18~19歳が46%、20代が47%、30代が39%、40代が34%、50代が31%、60代が29%、70歳以上が35%だった(写真を参照)。

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 だが、私の住んでいる群馬県内で小渕優子氏などのポスターを貼っているのは高齢者が多く、いまいち「自民党を支持する若者」の姿が見えてこないように思う。

 その上、人気ブログランキングの「安倍内閣を支持しますか?」という調査では、「支持しない」と答えた回答者の中で30代以下は35.0%だった一方で、「支持する」と答えた回答者の中で30代以下は14.5%に過ぎない。

 安倍政権を熱烈に支持するネット右翼の溜まり場でもある2ちゃんねるYahoo!ニュースのコメント欄も、30~40代の中年男性が多く利用しているという調査もある。ネット上で政治的な書き込みを行うのは、若者ではなく中高年層に多いのが実情のようだ。

 

 更に、前述のような出口調査はあくまでも選挙へ行った人のみが対象になっていて、棄権者まで含めた割合というわけではない。

 今回の選挙の年代別投票率を見ると、18~19歳が40.49%、20代が33.82%、30代が44.62%、40代が53.54%、50代が63.32%、60代が71.88%、70歳以上が63.75%で、この投票率に前述の「自民党に投票した人の割合」を重ねると全世代で16~22%となっており、若者も高齢者もほとんど変わらない(図46を参照)。

 この結果から見えてくるのは、むしろ「自民党は幅広い世代から支持されている」という事実ではないだろうか。

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EU離脱に反対するイギリスの若者との共通点

 また、読売新聞社早稲田大学現代政治経済研究所が2017年7~8月に共同で行った調査によれば、40代以下は自民党日本維新の会を「リベラル」な政党だと捉えており、共産党公明党を「保守的」な政党だと捉えているという。

 一般的に、安倍首相は憲法改正北朝鮮拉致問題の解決に積極的な姿勢から「保守政治家」のイメージを持っている人も多いかもしれない。だが、実際には海外のスピーチで「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」「国を開くことが私の中に流れる一貫した哲学でした」と地球市民的な発言をし、国民生活を破壊しかねない自由貿易協定のTPPを「国家百年の計」などと言って推進している。

 

 このことから、私はむしろ安倍首相が保守ではなく左翼的な部分も兼ね備えていると思えてならない。若年層に自民党支持者が多いことについて、2ちゃんねるツイッターなどでは「ネットで情報を得た若い世代が保守化している」という期待を寄せた書き込みが多く見られるが、実際にはイギリスのEU離脱で若者ほど残留派の割合が高かったのと同じ構図ではないだろうか。

 

 EU欧州連合)においては、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDP比で 60%を超えないことを条件とした「マーストリヒト条約」が定められ、それが付加価値税増税して財政破綻したギリシャなどEU各国の緊縮財政にも繋がっている。

 イギリスでも、2010年に就任した保守党のキャメロン政権が、付加価値税増税や福祉予算と公務員給与の削減、大学授業料の大幅引き上げなど緊縮財政を断行した。これは、消費税10%への増税プライマリーバランス黒字化目標に加え、介護報酬や診療報酬、生活保護を引き下げた安倍政権と通じる部分が多い。

 

 マスメディアではイギリスがEUを離脱した理由について、どうしても移民問題と関連付けようとしているが、残留派の顔だったキャメロン政権の緊縮財政に対する反発も大きかったのではないだろうか(ブレイディみかこ『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』 光文社、2017年)。

 

 しかし、EU離脱を問う国民投票を年代別に見ると、離脱派は18~24歳が27%、25~34歳が38%、35~44歳が48%、45~54歳が56%、55~64歳が57%、65歳以上が60%と高齢者ほど割合が高くなっていることがわかる(写真を参照)。

 若者もキャメロン政権の緊縮財政の影響を受けているはずなのだが、あまり事態を深刻に受け止めていないようだ。

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若者が景気回復の恩恵を受けているとは言い難い

 高橋洋一氏などアベノミクスを評価する経済学者は「大卒の就職状況が改善して、若者が安倍政権を支持している」と述べ、茂木敏充経財相も安倍政権になってから「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57ヵ月)を超える景気回復の長さになった可能性が高い」との認識を示している。

 だが、数字が良いのは日経平均株価と有効求人倍率だけであって、名目GDPの増加率は高度成長期(1965~70年)が2.23倍、バブル景気(1986~91年)が1.35倍なのに対し、安倍政権(2012~17年)では1.11倍程度に過ぎない。個人消費の増加率も、高度成長期が1.94倍、バブル景気が1.32倍なのに対し、安倍政権では1.04倍程度である(図47を参照)。

 そもそも、個人消費は消費税を増税した2014年4月以降に著しく落ち込んでおり、茂木経財相が主張するような「いざなぎ超えの景気回復」には程遠いのが現実だろう。

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 更に、下記の写真はJAL日本航空)の1986年の入社式と2017年の入社式を比較したものである。バブルの頃は1986年の写真のようなカラフルなリクルートスーツで就職活動をする方も多かったのに対し、現在ではどの企業でもリクルートスーツは黒と統一されている。

 いくら有効求人倍率が回復しても、自由な服装で就職活動を行えるくらい企業や学生に余裕が生まれなければ「バブル景気が再来した」とは言えないのではないだろうか。

 

JALの1986年の入社式

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JALの2017年の入社式

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 それに、1960年代の高度成長期には佐藤栄作内閣が長期政権を続けていた一方で、地方では東京都の美濃部知事をはじめとして全国に革新自治体が次々と出現し、バブル景気の1980年代後半にはリクルート事件や消費税導入の反発もあって、土井たか子氏のブームなど社会党が強かった時代でもある。好景気だからといって、必ずしも若者が政権与党を支持するわけではないのだ。

 もし、今の10~20代が日経平均株価と有効求人倍率の上昇だけで安倍政権を支持しているなら、それは低成長や劣悪な雇用環境に甘んじていると批判されても仕方ないだろう。

 

 

野党は反緊縮的な政策で無党派層を取り込め

 私には弟がいるが、2016年の参院選で投票に行ったかその弟に聞いたところ行っていないという。投票に行かない理由は「今の自分の生活に不満を感じていないから」だと話していた。つまり、古市憲寿氏が『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社、2011年)で指摘しているような「日本がいくらデフレ不況に苦しめられていても、若者の多くは身近な友人たちと流行を分かち合っていて幸せだから政治に関心を持ちにくい」ということだろう。

 こうした政治的な関心があまり高くなく、現状に不満を抱いていない若者に「選挙へ行け」と促した場合、「野党のことはよくわからないから、とりあえず自民党に投票しておこう」と考える可能性が高い。自民党を支持する若者は、特定の政治思想を持っていないリベラルなサイレントマジョリティー層でもあるのだ。

 

 しかし、自分自身もそうであるように、現状に不満を抱いていない若者の多くは親世代の収入が良いという条件が存在する。逆に言えば、政府の教育支出がOECD加盟国の中で最低の日本では、所得の低い家庭に生まれた子供ほど恵まれた生活が送りにくいということでもある。

 

 立憲民主党の枝野代表は、自民党支持の若者をどう取り込むか質問された際に、「自民党を支持している有権者をひっくり返すのではなく、今回の選挙で投票に行かなかった人に次の選挙で立憲民主党に投票してもらう」と発言した。これは全く正しい戦略だと思っている。

 今の野党には森友・加計問題で安倍政権を追及するだけでなく、消費税引き下げや公共事業の拡大、子ども手当の復活、最低賃金の引き上げなど反緊縮的な政策をどんどん掲げて無党派層の支持を取り込むしかないだろう。

 

 

<参考資料>

時事トピックス:2017年衆院選における年代別比例投票先

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/j025.html

10代46%・20代47%、自民へ 衆院選朝日新聞社出口調査

https://www.asahi.com/articles/DA3S13205016.html

安倍内閣を支持しますか?(人気ブログランキング投票)

http://blog.with2.net/vote/v/?m=va&id=185582

「Yahoo!ニュース」のコメント欄、投稿者は男性が80%以上、40代が突出

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/03/news124.html

第48回衆議院議員総選挙最高裁判所裁判官国民審査

http://www.soumu.go.jp/senkyo/48sansokuhou/

20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている

https://www.businessinsider.jp/post-106486

若者が高齢層に怒り心頭「ベビーブーム世代の判断ミスだ」

http://www.sankei.com/world/news/160626/wor1606260036-n1.html

JAL入社式から見える時代の変化

http://blog.goo.ne.jp/bongore789/e/0d74a5aaa63522616eff30cccb37ba74

自民支持の若者票をどう取り込む? 立憲民主党・枝野代表を直撃!

http://wpb.shueisha.co.jp/2017/11/06/94313/

2017年2月28日発売「消費税の歴史と問題点を読み解く」

消費税収の86%が法人税減税に消えている」など、2017年2月までの当ブログの記事をまとめ、大幅に加筆した新書が同年2月28日に発売されました。

興味を持っていただいた方は、書店やAmazon等で購入してもらえると有り難いです。

 

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目次

第1章 消費税の歴史(近代史から橋本内閣まで)

第2章 消費税の歴史(小泉内閣から安倍内閣まで)

第3章 増税グローバリズムのここがおかしい!

第4章 世界の消費税、軽減税率、所得税の負担率

第5章 消費税は社会保障に使われていない

 

内容紹介

 消費税は身近な税金である。しかし国税のなかで消費税は滞納金が多く、増税をしていくにつれて滞納額が増加するという問題点はあまり知られていない。また、消費税引き下げの議論はない一方で、法人税減税は行われている。

 本書では、消費税の導入から増税が繰り返される日本の歴史、欧米諸国との比較、消費税増税についての問題点を明らかにする。消費税に関して改めて整理し、増税後、国民の生活にどのように影響していくのか考察していく。

 

著者 大谷 英暉  ISBN 978-4-344-91106-2

新書186ページ 価格880円

 

 

消費税の歴史と問題点を読み解く

http://www.gentosha-book.com/products/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/

 

Amazonへのリンク

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