消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

三橋貴明氏とひろゆき氏の対談から見る特別定額給付金の必要性

国民全体に占めるパチンコ参加人口の割合は7.1%に過ぎない

 経済評論家の三橋貴明氏と2ちゃんねる開設者の西村博之ひろゆき)氏との対談がYoutubeで話題になっている。2021年5月29日に公開されてから9月18日までに動画の再生回数は130万回を超えている。

 

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 対談の内容は国民全員に毎月10万円の現金給付を続ける特別定額給付金について三橋氏は賛成の立場、ひろゆき氏は反対の立場から意見を述べている。

 2人の対談で最も疑問に思ったのは三橋氏が「例えばベーシックインカムでも社会保障でも一人10万円を配ったら確実に消費が増える。そうすると消費のために生産している方々が収入を得て経済が成長する。これが何か問題なんですか?」と質問したのに対し、ひろゆき氏は「今の場合って正しくお金をみんなが使えてるっていう前提だと思うんですけど。じゃあ、もらった金額の半分を全員パチンコに使ったらどうですか?」と反論している部分だった。ひろゆき氏はどうやら日本国民全員がパチンコに依存していると勘違いしているようだ。

 

 しかし、レジャー白書によればパチンコの参加人口は1995年の2900万人から2019年の890万人まで24年間で3分の1以下に減少し、貸玉料の売上も2005年の34.9兆円をピークに2019年の20.0兆円まで減っている(図14を参照)。2019年の日本の総人口は1億2617万人なので、国民全体に占めるパチンコ参加人口の割合は7.1%に過ぎない。「国民に10万円を支給するとその半分はパチンコに消える」というひろゆき氏の主張はあまりにも大げさ過ぎることがわかるだろう。

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 また、三橋氏が「現金給付の他にコロナで失われた企業の粗利益に対して政府は補償すべきだ」と言ったのに対し、ひろゆき氏は「企業がお金をもらってキャバクラの接待費に使われたらどうするんだ」「キャバクラの収入が増えてもキャバ嬢がパチンコに使うだけ」と揚げ足を取っていたのが滑稽だった。総務省の社会生活基本調査(2016年)によればパチンコを利用する男性は14.0%なのに対し、女性は3.2%程度である。女性のパチンコ利用率が男性の4分の1以下であることから、キャバ嬢の収入がパチンコに使われるというケースはほとんど存在しないのではないだろうか。

 

 更に、気になったのはひろゆき氏が「国民が現金を受け取ったらパチンコに使われて北朝鮮に送金される」などと暴論を述べていることだった。しかし、そもそも北朝鮮に流れている可能性があるパチンコの資金は昔と比べて大幅に減少している事実を知っている人は少ないのではないだろうか。

 

 溝口敦氏の「パチンコ 『30兆円の闇』」(小学館、2009年)によれば、韓国在日機関の情報筋は「合法、非合法のお金を含め、在日同胞が北朝鮮に送金した額は1990年前後が最高で、年間4億ドルと推計しています。当時、日本円にして約600億円。1994年7月に金日成が死亡し、日本のバブル経済が完全にはじけると1995年の送金額は1億ドル(120億円)に激減する。その後も減少は止まらず2000年には5000万ドル弱(60億円)へと半減し、2004年には3000万ドル(36億円)前後に減ったと推測しています」と述べている。

 また、在特会初代会長の桜井誠氏は作家の百田尚樹氏との対談の中で「2003年に国会で報告された形ではパチンコ業界から約700億円が違法に北朝鮮に流れている」と発言した。汚いヘイトスピーチで日本人の愛国心を貶めている団体の情報に信憑性があるとは思えないが、それでも在日を批判する側の主張ですら18年前で止まった状態なのだ。

 

 ひろゆき氏は2020年4月の特別定額給付金で、三橋氏が「自民党の政治家に取材したところ一律に現金給付を行ったほうが政策は早く進むと言っていた」と発言したのに対して、「高齢者に配りたいというヨコシマな目的があるのを違うレトリックで説明されて納得してしまっているのは問題だ」と揚げ足を取っているが、在特会や5ちゃんねるの情報を鵜呑みにして「パチンコのお金が北朝鮮に流れる」と信じてしまっているのも問題である。

 もし、パチンコの売上が1円でも北朝鮮に流れるのが嫌なら、北朝鮮と繋がっていることが疑われる銀行口座を停止すればいい。ひろゆき氏はとにかく5ちゃんねるで受けるためにパチンコや北朝鮮を持ち出して現金給付を否定したいだけだろう。三橋氏はよく「ネトウヨ系の経済評論家」と批判されることが多いが、私はむしろネトウヨに媚びているのはひろゆき氏のほうではないかと思っている。

 

 

特別定額給付金は国の経済を発展させるために実施すべき

 また、パチンコの問題以外にもひろゆき氏の主張でまだ納得のいかない箇所が数多く存在する。その一つに三橋氏が「粗利補償によって従業員が失業しなかった。その場合は確実に政府がお金を支出して国民の所得拡大に貢献していますよね」と発言したのに対し、ひろゆき氏は「僕は産業として不必要なものが潰れて従業員が失業保険をもらうほうが社会にとって良いと思う」と反論したことである。ひろゆき氏は残念ながら日本の失業保険が社会保障として全く機能していない事実を知らないようだ。

 

 失業保険を受給できる失業者の割合は年々減ってきていて1970年代には約7割が受けられていたが、ここ数年は2割程度にまで下がっている。しかも、その2割の人のうち多くが自己都合退職扱いになっており、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事の稲葉剛氏が労働相談を行っている団体に話を聞いたところ、本来なら会社都合なのに自己都合退職にさせられている場合が多いという。自己都合退職は失業保険が出るにしても2か月後となるので、その間の生活が困窮せざるを得ない状況だろう。また、運良く会社都合退職になった場合でも20代で勤務年数が5年未満なら失業保険はたったの90日しかもらえないという(表1を参照)。

 日本の20代の死因第一位が自殺なのも、若者向けのセーフティネットが脆弱なことが原因の一つではないだろうか。

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 更に、三橋氏が「逆にひろゆき氏にとって必要じゃない産業って何ですか?」と質問したのに対し、ひろゆき氏は「例えばハンコ産業とか」と無愛想に答えているのを見て国家にとって何が必要な産業なのか全く定義できていないと感じた。

 2021年4月には自民党平井卓也デジタル改革相が東京五輪向けに国が開発したオリパラアプリの事業費削減をめぐり、共同事業体に参加していたNECに対して「死んでも発注しない」「今回の五輪でぐちぐち言ったら完全に干す」と暴言を吐いたことが問題になった。NECは家電製品だけでなく、「ミサイル防衛」や「国際的テロ・ゲリラ対策」などの防衛関連事業にも貢献している非常に保守的な企業である。結局のところ、ひろゆき氏のように「国家に必要のない産業を切り捨てろ」という意識では政府に批判的な企業から排除されるのは明白だろう。

 

 ひろゆき氏は「年金をもらって暮らしている人って別にコロナ禍であっても収入は減っていないんですよ。なので年金を受け取っている高齢者に特別定額給付金を払う必要はないじゃないですか」とも言っている。この発言には「今の高齢者は恵まれている」という先入観が存在するが、そもそも高齢者の多くは本当に特別定額給付金を受け取る必要がないほど金持ちなのだろうか。

 図15では「全世帯と高齢者世帯の所得金額階級分布」を示したが、これを見ると年収500万円以上は高齢者世帯より全世帯のほうが多いのに対して、年収400万円未満は全世帯より高齢者世帯のほうが多い。つまり、現役世代よりも高齢者のほうが貧困層は多いのだ。

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 菅首相は2021年9月3日に自民党総裁選での再選を断念して辞任する意向を表明し、9月9日の記者会見では「私自身が内閣総理大臣に就任して1年が経ちますが、この間まさに新型コロナとの闘いに明け暮れた日々でした」と発言した。しかし、菅政権の最大の失敗はコロナ不況に対する財政出動を一貫して否定したことではないだろうか。もし、消費税を5%に減税して特別定額給付金を再支給していれば、内閣支持率が急落して辞任に追い込まれることもなかったと思われる。

 

 ひろゆき氏は国民全員に毎月10万円の現金給付を続けることについて「社会保障の目的でやるなら良いけど、国の経済を発展させるためにやるのは間違っている」と発言しているが、彼は「経済成長が人間の心を貧しくする」とでも思っているのだろうか。

 例えば2021年4~6月期の名目GDPは544.4兆円だが、日経NEEDSのデータによれば2021年10~12月期から毎月10万円の現金給付を始めると2023年7~9月期にはもう名目GDPが640兆円に達することが予想される。特別定額給付金社会保障だけでなく、国の経済を発展させるために実施する必要があるのだ。

 

 

<参考資料>

稲葉剛 『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版、2016年)

日向咲嗣 『第9版 失業保険150%トコトン活用術』(同文舘出版、2020年)

井上智洋、小野盛司 『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(扶桑社、2021年)

 

パチンコホールの売上、参加人口、活動回数

https://www.nichiyukyo.or.jp/gyoukaiDB/m6.php

男性772.4万人、女性188.0万人…パチンコの利用実情をさぐる

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20171130-00078568

桜井誠百田尚樹の対談

https://ameblo.jp/manknown/entry-12623530591.html

「徹底的に干す」「脅しておいて」平井大臣、幹部に指示

https://www.asahi.com/articles/ASP6B73PZP67TIPE01M.html

防衛・航空システム事業

https://www.nas.co.jp/product/defense.html

2019年 国民生活基礎調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/06.pdf

「主役」退場で自民党総裁選どうなる 岸田文雄氏を軸に展開か

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202109030000318.html

新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0909kaiken.html

国民経済計算 2021年4-6月期 2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe212_2/gdemenuja.html

デフレ不況が続いていて、自己責任論の強い日本で消費税は不向きな税制

消費税を引き下げたほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効

 2021年4月10日の日経新聞「大機小機」に「ポストコロナと『国民連帯税』」というタイトルのとんでもないコラムが掲載された。

 その内容は「新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)は、同時に進行していたデジタル社会の変革の流れと相まって、生活様式や考え方に大きな影響を与えた」とし、「最重要はコロナ禍で膨張した歳出の後始末である。東日本大震災時には国民が連帯し、所得税や住民税などの時限的付加税で復興費用を25年かけて賄う仕組みを作った。コロナ対策でも国民が連帯して政策を支える証しとして同様の仕組みを作り、後世代へのつけを避けるべきだ。『国民連帯税』として国民全員が応分の負担をするという考えがポストコロナの思想を育む」と復興増税を煽っているのだ。

 

 同記事では米国のバイデン政権が法人税率の大幅な引き上げを提案したことを紹介しているが、日本では震災後でも法人税の基本税率が2011年度の30.0%から2018年度の23.2%まで引き下げられている。コロナ増税として法人税が引き上げられる可能性はほとんどなく、結局のところ日経新聞は「国民連帯税として消費税を15~20%まで引き上げろ」と言いたいのだろう。

 だが、日本では2013年以降に日銀が金融緩和を行って民間銀行の国債を買い取り、国民に返す必要のある負債は急速に減少しつつある。2021年3月末現在、すでに日本国債の48.4%は政府の子会社である日銀が所有していて、このぶんは政府が返済や利払いを行う必要はないのだ(図9を参照)。2010年当時は国債のうち日銀が保有する割合は8.0%程度だったので、この10年間で日本の財政は急速に改善してきていると言えるだろう。

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 また、日経新聞が言う「後世代へのつけを残す」というのは政府の負債が増えることなのだろうが、国際的な財政再建の定義は政府の負債対GDP比率が減少することで名目GDPが増加すれば政府の負債が増えても財政健全化は達成できるのだ。例えば2021年1~3月期の名目GDPは544.4兆円だが、もし安倍政権が緊縮財政を行わず消費税が5%のままだったら日本経済はどうなっていただろうか。

 名目家計最終消費支出(持ち家の帰属家賃を除く)の推移を見ると、東日本大震災が発生した2011年1~3月期の225.6兆円から消費税が8%に増税される直前の2014年1~3月期の248.2兆円まで3年間で22.5兆円も増加した。2014年4月以降もこれと同じペースで消費の増加が続いていたら、2021年1~3月期の家計最終消費支出は300.8兆円にのぼっていたことが予想される。そうなると消費税が5%のままだったら、2021年1~3月期の名目GDPは68.5兆円も押し上げられて612.9兆円になっていただろう。

 安倍政権が目標に掲げていた「名目GDP600兆円」も増税がなければ達成されていたことになる(図10を参照)。

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 名目GDPが544.4兆円から612.9兆円に増加すれば当然のことながら「政府の負債対GDP比率」も減少する。財務省によれば2021年3月末時点で国債と借入金、政府短期証券を合計した政府の負債は1216.5兆円で対GDP比率は223.5%となっているが、もし消費税を増税せず名目GDPが612.9兆円だったら「政府の負債対GDP比率」は198.5%まで縮小したことになる。消費税を増税するどころか引き下げたほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効なのだ。

 

 

日本人の自己責任論は新型コロナウイルスでも浮き彫りになった

 私は橋本政権から20年以上もデフレ不況が続いていて、先進国の中で最も貧困問題に対して自己責任論が強い日本で消費税は不向きな税制なのではないかと考えている。例えば、米国のピュー・リサーチ・センターが2007年に行った調査によれば、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべきか?」の質問で「全くそう思う」と回答した人はスウェーデンが56%、イギリスが53%、ドイツが52%、フランスが49%、カナダが40%、韓国が30%、アメリカが28%なのに対し、日本はたったの15%程度である。

 また、2001~2021年の名目GDPの伸び率は韓国が2.83倍、アメリカが2.14倍、カナダが2.09倍、スウェーデンが2.08倍、イギリスが1.97倍、ドイツが1.63倍、フランスが1.57倍なのに対し、日本が1.05倍と先進国最低の水準である(図11を参照)。

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 アメリカ、韓国、カナダは「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が40%以下と比較的に自己責任論が強い一方で、2001~2021年の20年間で名目GDPが2倍以上も増加して健全に経済成長していると言える。それに対し、フランス、ドイツ、イギリスは2001~2021年の名目GDPが2倍未満と経済が低迷している一方で、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が50%近くもいて比較的に自己責任論が弱いと言えるだろう。

 更に、スウェーデンが高負担・高福祉社会で成り立っているのは2001~2021年の名目GDPが2倍以上も成長し、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が56%も存在していて共助や公助の精神が根付いているからではないだろうか。

 

 ピュー・リサーチ・センターの調査は既に14年前のものとなっているが、日本の自己責任論は2010年代に入ってから更に増幅している事実を知っている人は少ないだろう。例えば、ベネッセと朝日新聞が4~5年に一度実施している「学校教育に対する保護者の意識調査」によれば、豊かな家庭の子供ほどより良い教育を受けられる傾向があることについて、「当然だ」「やむを得ない」と回答した小中学生の保護者が2008年の43.9%から2018年の62.3%まで増加した。

 2008年から2018年にかけては、リーマンショック東日本大震災の発生など社会情勢が大きく変わり、不況や災害によって教育環境の変化を強いられる家庭が多かったことに加え、政府が社会保障の充実を掲げて消費税増税を強行したにも関わらず、教育格差を問題視する声はむしろ弱まっているのだ。

 

 更に、日本人の自己責任論は新型コロナウイルスでも改めて浮き彫りになったと言えるだろう。社会心理学者の三浦麻子氏などの研究グループが2021年3月に行った意識調査によれば、「新型コロナウイルスに感染する人は自業自得だと思う」という質問に対して「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)と答えた人の割合は、アメリカが5.5%、イギリスが2.5%、イタリアが3.0%、中国が3.5%なのに対し、日本は17.3%にものぼったことが明らかになった。

 逆に「全くそう思わない」と答えた人の割合は、アメリカが50.4%、イギリスが71.0%、イタリアが63.5%、中国が64.7%なのに対し、日本は22.3%程度と他国に比べて著しく低くなっている(図12を参照)。

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国会議員や官僚に危機感を抱かせることが消費税の廃止にもつながる

 日本人の自己責任論がここまで増幅したのは、間違いなくSNS上での誹謗中傷が背景に存在するだろう。私は2005年頃からインターネットで政治について調べているが、SNS上での誹謗中傷が過激化した明確なターニングポイントは2010年にあると思っている。

 2010年は政治的にも変化の大きかった年で、まず6月9日に自民党が熱烈な支持者を集めた「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC)を発足させている。民主党菅直人首相が6月14日に麻生~鳩山政権が廃止したプライマリーバランス黒字化目標を復活させ、大阪維新の会橋下徹代表は7月6日に「市役所は税金をむさぼり食うシロアリ」と暴言を吐いたことが問題になった。

 当時、2ちゃんねるでは「公務員は自殺しろ」「貧困は自己責任だ」といった差別的な書き込みを多く見かけるようになっていたが、その背景には緊縮財政を強化する政治的な動きがあったことは間違いないだろう。

 

 また、SNS上の自己責任論が増幅した原因の一つに、ポータルサイトを運営する企業側が新自由主義を推奨している部分もあるのではないかと思っている。例えば、2021年7月1日にNPOほっとプラス理事の藤田孝典氏がYahoo!ニュースとの契約を解除されたことを報告した。藤田氏は新型コロナウイルス景気対策として国民に毎月10万円を配る一律給付金を提唱していて、最近では積極財政を推進する衆議院議員の安藤裕氏や経済学者の井上智洋氏との対談も行っている。

 藤田氏がYahoo!との契約を解除された理由は、主に記事を発信する際にパソナ会長の竹中平蔵氏に対する批判を削除するように求められたことだと説明している。私は2010年頃からYahoo!ニュースのコメント欄を見ているが、共通しているのは極めて新自由主義的な書き込みが上位に来ていて自民党日本維新の会の支持者が非常に多いことである。特に、2020年11月に実施された大阪市廃止の住民投票では不自然に賛成派の書き込みが集中していた。

 

 SNS上で新自由主義的な書き込みが集まりやすいのは、炎上マーケティングに代表されるように過激な内容が却って注目されるということも多いからだろう。田中辰雄氏と浜屋敏氏が2017年8月に行ったアンケート調査によれば、「ネットで実りある議論をするのは難しいと思うか」という質問で「はい」と答えた人が47%、「どちらでもない」と答えた人が33%にのぼっていたのに対し、「いいえ」と答えた人はわずか7%しかいなかった。

 更に、2019年5月に行った追加調査(対象者1万6900人)では、憲法9条改正の是非について「強く賛成」が7.1%、「強く反対」が14.0%、「どちらでもない」が33.3%だった。それに対し、SNS上で政治的な発信を積極的にしている人に限った調査(対象者6311人)では「強く賛成」が26.8%、「強く反対」が17.8%、「どちらでもない」が18.7%と、一般の調査と比べて憲法9条改正に賛成する人は3倍以上も増加し、どちらでもない人は半分程度に減少している(図13を参照)。

 SNS上では「戦争反対、憲法を守ろう」という理想論より「人権を無視し、憲法を破棄し、戦争できる国を作る」という力強い言葉のほうが注目を集めやすいようだ。

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 2010年代に入ってから増幅してきた自己責任論に対抗するためには、まず身近な家族や友人と政治について会話する機会を増やすことから始めるのが良いと考えている。社会問題について積極的に話し合いをすれば、たまには他人と意見が衝突するときもあると思うが、SNS上で顔の見えない相手と意見をぶつけて喧嘩するよりはよっぽど有意義な議論になるだろう。

 日本人の多くが政治経済に関心を持って、国会議員や官僚に危機感を抱かせることが将来的な消費税の廃止にもつながると思っている。

 

 

<参考資料>

三橋貴明 『世界でいちばん!日本経済の実力』(海竜社、2011年)

薬師院仁志ポピュリズム 世界を覆い尽くす「魔物」の正体』(新潮社、2017年)

田中辰雄、浜屋敏 『ネットは社会を分断しない』(KADOKAWA、2019年)

津田大介香山リカ安田浩一 他 『安倍政権のネット戦略』(創出版、2013年)

 

国債等の保有者別内訳(令和3年3月末)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

国民経済計算 2021年1-3月期 2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe211_2/gdemenuja.html

国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和3年3月末現在)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202103.html

Pew Global Attitudes Report October 4, 2007(18、95ページ)

http://www.pewresearch.org/wp-content/uploads/sites/2/2007/10/Pew-Global-Attitudes-Report-October-4-2007-REVISED-UPDATED-5-27-14.pdf

学校教育に対する保護者の意識調査

https://berd.benesse.jp/up_images/research/Hogosya_2018_web_all.pdf

大阪大学大学院人間科学研究科三浦研究室

http://team1mile.com/asarinlab/

首相、基礎的収支「20年度までに黒字化」

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS14031_U0A610C1MM8000/

みなさんに大事なお知らせがあります

https://www.youtube.com/watch?v=R0RvmwVX_JY

消費税廃止と現金給付を実現するために政治経済に関心を持とう

富裕層増税とデフレ期の国債発行で消費税廃止は可能

 2021年7月6日、麻生財務大臣は2020年度の国の税収が新型コロナウイルスの影響で受けながらも60.8兆円と過去最高になったことについて、「いずれにしても景気としては悪い方向ではない」と楽観的な認識を示した。しかし、2020年度の実質GDP成長率がマイナス4.6%と戦後最悪の年に税収が過去最高になったのは、国民の立場から見れば景気が悪化しているのに取られる税金が増えたということに過ぎない。

 

 また、財務省によれば2021年度の一般会計税収は所得税法人税が伸び悩む影響によって57.4兆円に減少する見込みで、今後はコロナ不況の影響で税収が大きく落ち込む可能性が高いだろう。一般会計税収の推移を見るとバブル期の1991年度は所得税が26.7兆円、法人税が16.6兆円、消費税が5.0兆円だったのに対し、2021年度は所得税が18.7兆円、法人税が9.0兆円、消費税が20.3兆円と所得税収と法人税収が減少して消費税収が大幅に増加したことがわかる(図4を参照)。

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 税金とは一般的に景気が過熱気味ならば国民の可処分所得を取り上げるために徴税を増やし、景気が悪化しているならば徴税を控えて国民の可処分所得を増やす安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)が存在する。逆に言えば、景気の変動に対して税収が安定している消費税は不況でも失業者や赤字企業から容赦なく取り立てる欠点を持っているのだ。もし今後、所得税収と法人税収が大幅に減少したら麻生氏は「税収を確保するために消費税を15~20%まで増税しろ」と言ってくるかもしれない。

 

 だが、法人税の基本税率は消費税が導入された1989年度の40.0%から2019年度の23.2%まで減税した一方で、企業の経常利益は1989年度の38.9兆円から2019年度の71.4兆円まで1.84倍も増加している。もし、2019年度の経常利益に1989年当時の税率が適用された場合、単純比較で法人税収は34.9兆円にものぼっていたことが予想され、これは2019年度の法人税収である10.8兆円より24.1兆円も多かったことになる(図5を参照)。

 更に、所得税は税収が最も多かった1991年当時、課税所得が2000万円を超えれば50%の最高税率が適用された一方で、2019年現在は課税所得が4000万円以上でやっと45%の最高税率が適用されるまでに変化してきた。年収1000万円以上の高所得者は1991年の200.2万人から2019年の256.1万人まで1.28倍も増加しているが、もし2019年の高所得者に1991年当時の税率が適用された場合、単純比較で所得税収は34.2兆円にのぼっていたことが予想され、これは2019年の所得税収である19.2兆円より15.0兆円も多かったことになる(図6を参照)。

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 今後はコロナの影響で景気が悪化して所得税収と法人税収が減少する可能性が高いが、そのときは日銀が目標に定めている年率2%のインフレ目標に達するまで国債を発行して財源を捻出すれば良い。日本では2020年度に持続化給付金や特別定額給付金などの景気対策を実施して国債発行額が前年度から70兆円以上も増加したが、消費者物価指数の中で最も重要なコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)は2021年6月に対前年比マイナス0.3%とインフレは全く発生していない。国債を躊躇なく発行すれば、それによって歳出が短期的に増加することがあったとしても財政出動による経済効果で成長率が上がり、自然増収が毎年どんどん増えていくのである。

 所得税法人税の税率を1980年代の水準に戻してデフレ期の国債発行を認めれば、消費税を廃止しても社会保障費を捻出するのは可能だろう。

 

 

コロナ以前でも8割以上が景気回復を実感していない

 コロナ不況の今では過去の話になってしまったが、そもそも日本経済はコロナ以前であっても景気回復を実感する人はほとんどいなかったのではないだろうか。例えば、自民党の支持者が愛読している産経新聞が2019年3月に行った調査でも「景気回復の実感がある」と答えた人は9.8%程度だったのに対し、「実感はない」と答えた人は83.7%にのぼっている。これに対して菅政権の熱烈な支持者は「アベノミクスの影響で民間企業の平均年収が増加した」と反論することが多く、確かに国税庁のデータを見ると平均年収は2012年の408.0万円から2019年の436.4万円まで上昇していることがわかる。

 しかし、民間企業の平均年収が増加するかどうかは年収1000万円以上の高所得者の数と相関関係が強く、年収1000万円以上は2012年の172.3万人から2019年までの7年間で83.8万人も増加している。つまり、高所得者の増加が全体の平均年収を押し上げた形になっているようだ(図7を参照)。

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 高所得者の増加は一見良いことのように感じるが、日本人の所得が二極化すればするほどコロナ不況を自己責任で見捨てる著名人の発言が相次いでいるのが気になるところである。例えば、2021年6月26日放送の「朝まで生テレビ!」では、国際政治学者の三浦瑠麗氏が「私の子供なんかiPad持っているし、私の時代になかったテクノロジーをたくさん使えるようになっているので、何か凄い貧しくなったなっていう感覚をガツンと感じる時代にはまだなっていないと思うんですよ」と発言し、日本はMMT(現代貨幣理論)に基づいた積極財政を行うべきではないと主張した。

 

 だが、年収200万円以下の貧困層は1979年の1195.1万人から1991年の710.5万人まで減少していたが、その後はどんどん増加していって2019年には1200.0万人にのぼっている。1979年と2019年の貧困層はちょうど同じくらいの数だが、この間食料を含めた総合物価指数は1979~2019年の40年間で47.3%も上昇しているため、今の貧困層は昭和50年代の貧困層よりも苦しい生活を強いられているのが現実なのだ(図8を参照)。

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 また、コロナの感染拡大から1年半が経っても未だに「みんなが我慢すればコロナを乗り越えられる」といった根性論を思わせる発言をする著名人が多いことにも疑問を感じる。例えば、8月7日から2年ぶりに開催される予定だった野外音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』が7月7日に茨城県医師会などの要請で開催中止が決定され、出演予定だったミュージシャンから批判が相次いだ。これに対して、俳優の谷原章介氏は「大事なことは、敵は別に政府でも誰か反対している人でもなくてコロナっていうウイルスなわけですから、苛立ちを人にぶつけてもあまりいいことないかなって思います」と発言した。

 しかし、日本でコロナの感染者を80万人以上も増やしたのは安倍政権が国賓で来日する予定だった習近平に配慮して2020年3月まで中国人の入国禁止を決断できなかったり、2021年に入ってから3回も緊急事態宣言を繰り返しているにも関わらず菅政権が一度も特別定額給付金の再支給を実施しなかったりすることの責任も大きいのではないだろうか。

 

 麻生太郎氏や三浦瑠麗氏、谷原章介氏のように「税収が過去最高だから景気は悪くない」「日本人は貧しくなっていない」「苛立ちを人にぶつけても良くない」と政府の責任を放棄させる発言を行う著名人を許さず、消費税廃止や現金給付などの景気対策を実現させるためには、国民の多くが政治経済に関心を持って2021年10月までに実施が予定されている衆院選で自民・公明・維新以外の積極財政を推進する政党に投票するしかないと思っている。

 

 

<参考資料>

国民殺しの麻生太郎財務大臣

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12684978187.html

一般会計税収の推移

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf

法人企業統計調査(令和元年度年次別調査)の結果

https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r1.pdf

民間給与実態統計調査結果

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

消費者物価指数(CPI)結果

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

景気回復が「実感できない」理由を考えてみた

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00012/

朝生で露呈した三浦瑠麗の無知(池戸万作)

https://www.youtube.com/watch?v=SaIPyQMfK50

谷原章介「いらだちを人にぶつけても、あまりいいことない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/4030afcc353114d42ea87ba2fca2668078117054

消費税5%減税と現金給付がコロナ危機から日本経済を救う

増税とコロナは関東大震災クラスの経済的損失をもたらした

 内閣府が6月8日に発表した2020年度のGDP成長率は物価の変動を除いた実質がマイナス4.6%、物価の変動を含めた名目がマイナス3.9%の落ち込みだった。特に実質GDP成長率はリーマンショックだった2008年度のマイナス3.6%を超える下落幅で、消費税10%増税個人消費が疲弊していたところに新型コロナウイルスが追い討ちをかけたのが明らかだろう(図1を参照)。

 財務省は数年前まで明治時代以降のGDPの長期時系列データを公表していて現在は削除されてしまったようだが、私のExcelに保存してあった数字を確認すると関東大震災が発生した1923年の実質GDP成長率もマイナス4.6%となっている。つまり、増税とコロナは10万人以上が犠牲になった関東大震災クラスの経済的損失をもたらしたことになる。

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 国民経済計算では5年ごとに基準となる年を変更してGDPを公表しているが、平成17年基準の名目GDPは消費税を5%に増税した1997年の523.2兆円が過去最高で2020年は500.3兆円である。また、国際基準の研究開発費とは関係ない「その他」の部分を大幅に加算したと言われている平成27年基準の名目GDPも消費税を10%に増税した2019年の559.8兆円をピークに2020年の538.6兆円まで落ち込んでいる(図2を参照)。

 政府は今後、消費税引き下げや毎月の現金給付など大規模な景気対策を打ち出さない限り、コロナ収束後もデフレ不況が続いて平成27年基準の名目GDPは永遠に2019年の水準を超えない可能性が高いだろう。

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 もともと日本経済は2019年に入ってから米中貿易摩擦を発端とした世界経済不安の影響で落ち込みが見られるようになっていて、藤井聡氏や松尾匡氏など反緊縮の経済学者がこれ以上景気を冷え込ませないために消費税10%増税の中止を提案していた。しかし、当時の安倍政権は聞く耳を持たず予定通り10月に増税を強行した結果、2019年10~12月期の名目GDP成長率は年率マイナス4.6%と前回8%に引き上げた2014年4~6月期の年率プラス0.9%と比較しても大幅に悪化してしまったのである。

 そして、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化して名目GDP成長率は1~3月期が年率マイナス2.2%、4~6月期が年率マイナス27.7%と3期連続でマイナス成長が続いていたのは周知の通りである。

 

 しかし、1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月に政府は国民全員に一律10万円を支給する特別定額給付金の実施を決定し、7~9月期の名目GDP成長率は年率プラス24.1%まで回復する。特に、名目GDPの内訳を見ると民間企業設備投資が年率マイナス7.2%、民間住宅投資が年率マイナス18.6%の落ち込みだった一方で、個人消費を表す家計最終消費支出(帰属家賃を除く)は年率プラス27.8%と大幅に増加した。

 2020年7~9月期の名目GDPを下支えしたのは国民の個人消費であって、10万円の特別定額給付金はコロナ後の景気対策として一定の成果を上げたのではないだろうか。

 

 麻生財務相は「10万円を給付しても貯金に回っただけ」と発言しているが、これもデータを見れば嘘だということがわかる。例えば、総務省の家計調査によれば二人以上の世帯における食料の支出は1回目の緊急事態宣言が発令された後の2020年5月が7万8272円、6月が7万7246円、7月が7万9290円と3ヵ月の累計で23万4808円となっている。つまり、2人世帯が合計20万円を受け取ったとしても3ヵ月経てば食費で全て消えてしまうのだ。

 

 2021年には東京で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、政府は1月8日から3月21日まで2回目の緊急事態宣言を発令していた。その影響で2020年10~12月期に年率プラス10.1%と好調だった名目GDP成長率は、2021年1~3月期に年率マイナス5.1%まで落ち込んでいる。日本経済は2020年後半に回復の兆しを見せていたが、今年に入ってから消費税引き下げや特別定額給付金の再支給など景気対策を伴わない緊急事態宣言で再び不況に戻ってしまったのが実情だろう。

 

 

現金給付を行えば2022年には名目GDPが640兆円にも達する

 それにも関わらず、菅政権はコロナに便乗して消費税を15~20%まで引き上げようとしている。2021年1月18日、菅首相は施政方針演説で「今後は右肩上がりの高度経済成長の時代と違って、少子高齢化と人口減少が進み、経済はデフレとなる。その中で国民に負担をお願いする政策も必要になる。その必要性を国民に説明し、理解してもらわなければならない」と発言した。政府はコロナ前まで散々「アベノミクスで景気が回復した」と自画自賛していたくせに、コロナで景気が悪化すると政策の失敗を認めることなく日本社会の構造のせいにするのは無責任だろう。

 

 その上、日本は2007年から高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)が21%を超える「超高齢社会」に入って人口の減少が始まったが、個人消費東日本大震災が発生した2011年3月から消費税が8%に増税される直前の2014年3月まで3年間で約15%も増加している(図3を参照)。

 もし、安倍政権が消費税増税を中止して税率が5%のままだったら2014年4月以降も個人消費が増加を続けてコロナによる経済の落ち込みは今ほど酷くなかった可能性が高いだろう。日本経済が成長していないのは少子高齢化ではなく、消費税増税をはじめとする政府の緊縮財政が原因である。

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 アメリカではコロナ危機が深刻になった2020年3月にまず1人最大1200ドル(約12.8万円)の支給を決定し、2020年12月には最大600ドル(約6.4万円)、2021年3月には最大1400ドル(約15万円)と3回の合計で最大3200ドル(約34.2万円)の大規模な現金給付を実施している。その影響で2021年1~3月の実質GDP成長率は年率プラス6.4%と2020年7~9月期から3期連続でプラス成長が続き、2021年4月の消費者物価上昇率も前年同月比プラス4.2%と急速に景気回復の兆しを見せている。アメリカは1980年代から小さな政府を推進してきたが、コロナ危機の影響で経済政策が転換しつつあるようだ。

 

 それに対し、日本では2020年度に持続化給付金や特別定額給付金などの景気対策を実施して国債発行額が前年度の36.6兆円から112.6兆円まで増加したが、2020年度の消費者物価上昇率は対前年比マイナス0.2%とインフレは全く発生していない。「現金給付を繰り返し実施するとハイパーインフレになる」と脅す経済学者もいるが、実際にはれいわ新選組の舩後靖彦議員が参議院調査情報担当室を通して行った試算によれば、国民全員に毎月10万円を給付したとしても物価上昇率は1年目で1.22%、2年目で1.44%、3年目で1.81%、4年目で1.75%と日銀が目標に定めている年率2%のインフレには達しないという。

 

 逆に、国民全員に一律の現金給付を行うメリットは大きい。日本経済復活の会の小野盛司氏はコロナ以前の経済状況を名目550兆円だとすると、国民に配る金額によってその後の経済が回復するスピードも変わってくると指摘している。例えば、何も配らなかった場合は3年が経ってもコロナ以前の経済規模には戻らないが、年間40万円を配った場合は1年ほど、年間80万円を配った場合は半年ほどでコロナ以前の水準に戻り、年間120万円を配った場合は名目GDPが急速に伸びていって2022年にはもう640兆円に達することが予想される(画像を参照)。

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生活困窮世帯に限定した現金給付は景気対策にならない

 深刻なコロナ危機であるにも関わらず、日本政府は何故これほどまで消費税引き下げや現金の再給付を頑なに拒否し続けるのだろうか。それには、まず2020年4月の緊急事態宣言で10万円の特別定額給付金が支給された本当の理由について振り返っておく必要があるだろう。

 2020年3月31日に自民党政務調査会が政府に提出した提言には、「消費税5%減税分に相当する約10兆円を上回る給付措置を、現金支給を中心に全体として実現すること」と書かれている。当時は自民党の安藤裕議員が代表を務める「日本の未来を考える勉強会」がコロナの景気対策として消費税を5%に減税する案を提言していた。つまり、自民党政調が決めた10万円給付というのは安藤議員に対して「現金給付でその分を国民に還元するから消費税引き下げをあきらめなさい」というメッセージでもあるのだ。

 

 2021年3月21日に2回目の緊急事態宣言が解除された後もコロナの感染拡大は収束せず、4月25日には東京、大阪、京都、兵庫を対象に5月11日まで特別措置法に基づく緊急事態宣言を再び発令した。しかし、「短期集中型」と言われた3回目の緊急事態宣言はまず5月31日までに延長され、5月28日には更に6月20日まで延長することを決定した。2021年に入ってから既に5ヵ月半が経過したが、そのうちの約4ヵ月間は緊急事態宣言が発令されていることになる。

 

 だが、5月14日には経済財政諮問会議の民間議員が国と地方の基礎的財政収支プライマリーバランス)を2025年度までに黒字化するとの従来目標を堅持すべきだと提言し、自民党財政再建推進本部も新型コロナウイルス対策のための財政出動を重視しつつ、コロナ収束後を見据えて来年度以降3年間の歳出削減目標の策定を求めている。

 

 その結果、3回目の緊急事態宣言では生活困窮世帯に限定して3ヵ月間で最大30万円を給付する合計約500億円のみの支援金を決定した。また、政府はまん延防止等重点措置で午後8時までの営業時間の短縮要請に応じた飲食店に対し、中小企業には売上高に応じて1店舗当たり日額4~10万円、大企業の店舗へは売上高の減少額に応じて最大日額20万円の協力金を支給している。

 しかし、2021年1~3月に実施した2回目の緊急事態宣言における時短協力金の支給率は兵庫が9割にのぼる一方で、東京や大阪、京都は4~5割程度と地域間格差が顕著に表れているようだ。

 

 ベーシックインカムを推進する経済学者の井上智洋氏は「シングルマザーや生活が苦しい学生などピンポイントで困っている人だけを救済すると、政府が想定しているような困っている人以外は救済されないことになる」と指摘している。例えば、生活に困っている一人暮らしのフリーターはシフトが入っていない状態にされているためコロナによる休業手当てを貰えない場合も非常に多い。その上、現金給付に所得制限を設けると対象になる国民と対象にならない国民が分断することにもなりかねないだろう。

 

 私は深刻なコロナ危機から日本経済を救うためにまず消費税を5%に減税し、日銀が定めている年率2%のインフレ目標に達するまで国民全員に毎月10万円の現金給付を続けることが最も適切な景気対策だと思っている。

 

 

<参考資料>

松尾匡 『左翼の逆襲 社会破壊に屈しないための経済学』(講談社、2020年)

井上智洋、小野盛司 『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(扶桑社、2021年)

森永卓郎 『なぜ日本経済は後手に回るのか』(KADOKAWA、2020年)

 

国民経済計算 2021年1-3月期 2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe211_2/gdemenuja.html

家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)

https://www.stat.go.jp/data/kakei/longtime/index.html

3回の「緊急事態宣言」違いは? 「期間・地域・対策」を比較

https://news.yahoo.co.jp/articles/d846179297733caaf4293f11619c3d2e6053a1a4

第二百四回国会における菅内閣総理大臣施政方針演説

https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0118shoshinhyomei.html

米、1人15万円を月内追加給付 200兆円対策を上院可決

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN064Z30W1A300C2000000/

GDP プラス6.4% 3期連続で改善

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210429/k10013005491000.html

消費者物価「市場予想超え」4.2%上昇でも、アメリカは金融政策「正常化」に動かないと言える理由

https://www.businessinsider.jp/post-234707

戦後の国債管理政策の推移

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou01.pdf

<野党は減税でまとまれ>れいわ新選組 下関でゲリラ街宣 熱気帯びる意見交換

http://www.asyura2.com/20/senkyo275/msg/894.html

緊急経済対策第3弾への提言~未曾有の国難「命を守り、生活を守る」ために~

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/200009_1.pdf

25年度黒字化目標、苦肉の「堅持」 諮問会議で確認

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA13BKK0T10C21A5000000/

来年度以降3年間の歳出改革目標策定を 自民・財政再建本部提言案判明

https://www.sankei.com/politics/news/210512/plt2105120034-n1.html

困窮世帯へ最大30万円の給付金 政府が新たな支援策

https://www.asahi.com/articles/ASP5X6G7ZP5XUTFL00N.html

政府、百貨店などに日額20万円 休業要請、テナントは2万円

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021042300969&g=eco

支援金すら速やかに配れない後進国

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12670196379.html

消費税は国税の中で最も滞納の割合が多い

※この記事は2019年9月14日に更新されました。

 

国税滞納のうち57.3%が消費税で占められている

 消費税が10%に増税されるまで残り2週間余りとなってしまったが、今こそ「消費税は国税の中で最も滞納の割合が多い」という事実について知るべきではないだろうか。「消費税になぜ滞納金が発生するのか?」については、消費税という税制の仕組みを理解する必要がある。

 私たちが買い物をするとき、レジでお金を支払っているため、消費税を納めているのは消費者だと思っている方も多いだろう。だが、これは大きな誤解で、実際に消費税を納める義務があるのは事業者だ。事業者は、決算や確定申告の際に、一定の計算による消費税額を国などに納付する義務があり、そこで消費税を販売価格に上乗せ(転嫁)することが認められている。

 

 しかし、販売価格に上乗せされた消費税を、モノを買うときに消費者が負担するのは事業者が値引きしていない場合で、中小・零細企業の中には少しでも商品を安く売るために、消費税を価格に転嫁できないこともあり、結果的に自腹を切って納税する例が少なくない。その影響もあって消費税は国税の中で最も滞納額が大きく、2018年度に発生した消費税の滞納税額は3521億円と、国税全体の滞納額(6143億円)における57.3%を占めている。

  消費税は法人税所得税と違って、年間売上高が1000万円以上の場合、事業者が赤字でも納税しなければならず、滞納税額が減らないのはそれだけ消費税を納められない企業が多いからである。消費税は事業者が預かる「間接税」ではなく、事業者が納める「直接税」と言ったほうが正しいだろう。

 

 国税の新規発生滞納税額は1992年度の1兆8903億円をピークに減少しているが、これは主に所得税法人税相続税の滞納が減ったからで、消費税だけは依然として滞納額が多いのだ(図85~86を参照)。ちなみに、図85を見ると「消費税の滞納額も1998年から減少しているのでは?」と思うかもしれないが、国税全体に占める滞納額の割合は1990年度の11.1%から2018年度の57.3%まで増加している。

 更に、消費税の滞納額は1996年から98年度、2013年から15年度へと税率が引き上げられた時期に増えており、2019~20年度は10%増税の影響で消費税を納められない事業者が増加するのは明白である。

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消費税という税制に欠陥があるから滞納が発生する

 だが、国税庁は消費税の滞納が増えているのを問題視するどころか、「自営業者=脱税」のイメージを作ることに必死だ。

 例えば、少し古いが1999年11月25日には前年の1998年に消費税の新規発生滞納税額が過去最多になったことを受けて、「消費税は消費者からの預り金的な性格を有する税であるという趣旨の広報活動を更に徹底する必要がある」という通知を出している。税金の問題に関心を持っている方なら、一度は「消費税は消費者からの預り金」という言葉を聞いたことがあるだろう。

 国税庁が子ども向けに広報活動を行っている税の学習コーナーでも、『消費税を通して私たちも納税している』という明らかな間違いを教えている。前述の通り、消費税を納税するのは消費者ではなく事業者であって、子どもたちが『消費税を通して私たちも納税している』という誤解を持つことは、逆に言えば「消費税を納められない事業者は悪質業者」と偏見を助長することにもつながりかねない。

 

 国税庁だけでなくマスコミでも、2001年5月18日の産経新聞で「消費税は私たち庶民が少しでも日本の社会が住みよい、安定した姿になりますようにとの願いから必死に納めているものです。その義務を果たさず、納税すべきお金を他に使うのは最も悪質な脱税行為と言っても過言ではありません。どうして新聞はもっと大きく報道して国民に詳しく知らせないのですか? 政治を先頭に消費税滞納の根絶方法を早急に確立することが急務だと思います」と読者から怒りの声を掲載し、「自営業者=脱税」のイメージを作るキャンペーンを展開している。

 

 2008年4月16日の衆議院財務金融委員会でも、民主党下条みつ議員が滞納された国税の徴収を急げとの趣旨で「釈迦に説法ですけれども、源泉所得税とか消費税というのはいわば中小零細事業主の一時預り金でございますよね。税金を払うのにも、目の前に来ることを先に優先して、お客さんが払った消費税や従業員から取った源泉部分を国に払わない。まず手前の自分のところで処理してしまう。この結果、こういう滞納連鎖が起きていると私は思います」と税金滞納者をけん制した。

 

 国会では消費税引き上げについて「増税したら景気が悪くなる」という反対意見はあっても、「滞納金が多いから」という反対意見は聞いたことがない。最近ではやっと山本太郎元議員が演説の中で国税滞納の約6割が消費税で占められていることを指摘してくれたが、もし政治家の方々が「消費税は国税の中で最も滞納税額が多い」という事実を知らずに増税するかどうかの議論を行っているとしたら、あまりにも勉強不足ではないだろうか。

 

 この他にも、国税庁は過去にタレントを起用したポスターで消費税の滞納者を非難したこともあるが、そもそも消費税の滞納額が国税全体の半数以上を占めているのは、どの事業者も売上に対して一律の額が徴収される「消費税」という税制に欠陥があるからだろう。

 消費税増税を批判する際は、景気の問題だけでなく滞納の問題についても取り上げていく必要があると感じる。

 

 

地方の消費税を安くして「地方創生」を実現しよう

 安倍政権が進める経済政策の一つに地方創生がある。地方創生とは、東京一極集中を是正して地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的にしている。

 2014年には、元岩手県知事の増田寛也氏が「何も対策を取らなければ、2040年までに全国896の自治体が消滅してしまう可能性がある」というレポートをまとめた『地方消滅―東京一極集中が招く人口急減』(中央公論新社)がベストセラーになった。

 その一方で、政府が進めている地方創生は必要なインフラ整備を放棄し、「各地方は自助努力せよ。成功しているところは地方交付税を厚くし、上手くいかないところは自己責任」と、各地域の競争を煽っているだけなのではないかという批判も存在する。

 

 しかし、私が注目しているのは「地方ほど消費税を滞納する割合が高い」という問題だ。各地域の国税局別に滞納額の割合(2017年度)を見ると東京が1.60%なのに対し、金沢が2.01%、広島が2.29%、名古屋が2.37%、大阪が2.41%、高松が2.63%、関東信越が3.01%、仙台が3.47%、福岡が3.52%、札幌が3.53%、熊本が3.67%、沖縄が3.76%と地方ほど割合が高くなることがわかるだろう(表12を参照)。

 消費税10%増税は政府が進めている地方創生にも大きく反する愚策なのである。

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 地方のほうが消費税を滞納する割合が多いのは、東京などの都市部よりも経済的なハンデが大きいことが原因だろう。例えば、雇用者に占める非正規雇用の割合(2017年)は東京都が32.6%なのに対し、滞納の割合が最も多い沖縄県では41.3%だ。都道府県別の平均年収(2018年)も東京都が622万2900円なのに対し、沖縄県は369万4800円(東京都の59.4%)と宮崎県の365万5300円(58.7%)に次いで少ない。子どもの貧困率(2012年)も東京都が10.3%なのに対し、沖縄県は37.5%となっている。

 

 更に、沖縄は全国の米軍専用基地のうち74%を負担してもらっている問題を忘れてはならない。だが、「沖縄の経済は米軍基地に依存している」というのも事実ではなく、県民総所得に占める基地関連収入の割合はアメリカ統治下だった1965年の30.4%から2015年の5.3%まで低下している。今後、沖縄が米軍基地に依存しない経済を築くためには、県民総所得を拡大させてこの比率を更に引き下げる必要があるだろう。

 そのためにも政府は消費税率を都道府県別にわけて、東京都は5%、沖縄県は0%、それ以外の地域は3%とすべきだと思っている。地方の消費税が東京より安くなれば、各地域の税負担が減って本当の地方創生が実現するのではないだろうか。

 

 

<参考資料>

小澤善哉 『図解 ひとめでわかる消費税のしくみ』(東洋経済新報社、2013年)

醍醐聰 『消費増税の大罪 会計学者が明かす財源の代案』(柏書房、2012年)

行政監察情報 『滞納防止策の改善求める 消費税滞納額増で国税庁に意見表示』(官庁通信社、1999年)

斎藤貴男 『消費税のカラクリ』(講談社、2010年)

大久保潤、篠原章 『沖縄の不都合な真実』(新潮社、2015年)

 

国税庁 統計情報

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/index.htm

平成30年度租税滞納状況について

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2019/sozei_taino/index.htm

暮らしを支える税を学ぼう

https://www.youtube.com/watch?v=AM8Um27CW4Y

砂漠で金を稼げと言うのか?「地方を見捨てた」山本幸三地方創生大臣

http://www.mag2.com/p/money/274082/2

平成29年就業構造基本調査 主要統計表(都道府県)

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200532&tstat=000001107875&tclass1=000001116995

平成30年賃金構造基本統計調査 都道府県別

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001113395&tclass2=000001113397&tclass3=000001113406

子育て貧困世帯 20年で倍 39都道府県で10%以上

https://mainichi.jp/articles/20160218/k00/00m/040/108000c

米軍基地と沖縄経済について

https://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/kikaku/yokuaru-beigunkichiandokinawakeizai.html

オウム真理教よりも統一教会のほうが悪質な宗教である

※この記事は2018年9月20日に更新されました。

 

国際勝共連合は反共を装った「隠れ共産主義」の団体

 7月6日と26日に麻原彰晃をはじめとするオウム真理教の元幹部13人の死刑が執行された。私は麻原の死刑について否定しないが、果たして日本人にとって凶悪なカルト宗教はオウム真理教だけなのだろうかとも思う。

 

 例えば、自民党岸信介の時代から韓国の統一教会国際勝共連合、世界平和統一家庭連合)と親密な関係を築いてきた。

 岸信介の孫の安倍首相も2006年5月、統一教会の関連団体「天宙平和連合」に祝電を送っていたことが明らかになっており、国際勝共連合が発行している雑誌『世界思想』の2013年3月号と9月号では「強靭な国・日本」「救国ロードマップ」というタイトルで、勇ましい安倍首相の写真が表紙を飾っている。それはまるで、2012年9月に死去した教祖の文鮮明の後継者として安倍首相を指名しているかのような気味の悪さを感じてしまう(写真を参照)。

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 また、国際勝共連合は消費税増税、TPP協定、原発再稼働、共謀罪テロ等準備罪)、特定秘密保護法、日本版NSC集団的自衛権、安保法制、緊急事態条項、憲法の家族条項、小中学校の道徳教科化など安倍政権の様々な政策を熱烈に支持し、2016年1月には安倍首相を応援して自民党改憲案を推進する学生団体の「UNITE」を結成した。

 この他にも、長年の悲願だった共謀罪の制定について2017年4月のコラムで「先ほどロンドンの国会周辺でテロ事件が発生したようにテロ対策は焦眉の急だ。2020年の東京五輪に向けてテロ対策の強化が急がれる。同法案は今国会で必ず成立させねばならない」と高く評価している。

 

 しかし、先祖の因縁や霊障を取り除くためと言って信者に朝鮮人参茶や大理石壺などを高価で売りつける霊感商法や、女性信者を騙して見ず知らずの外国人と結婚させる合同結婚式など、今まで散々共謀罪に該当するような犯罪行為を繰り返してきた統一教会共謀罪の制定を推進するのは何とも皮肉な話である。

 共謀罪の真の狙いは、自民党統一教会に批判的な人々を取り締まることにあるのだろうか。

 

 更に、自民党議員の加藤寛治氏が今年5月10日に「女性に必ず3人以上子供を産み育てていただきたい」「結婚しなければ子供が生まれず人様の税金で老人ホームに行くことになる」と発言して問題になったが、国際勝共連合はこれに関しても「少子化が深刻な日本の50年後、100年後を考えたら極めて真っ当な正論である」「結婚しなくてもシングルで子供を持てるというフェミニスト社会保障だけ手厚くやれば良いと言うが、それではますます他人様の税金の投入が必要になるだけだ」と擁護している。

 だが、加藤氏の「結婚しなければ人様の税金で老人ホームに行くことになる」という発言は明らかにデタラメである。老人ホームのほとんどは有料であって、国が無償で提供しているわけではないからだ。加藤氏の発言には「政府が国民を養ってやっているのだから、子供を産んで国に貢献しろ」という統治意識が強く感じられる。

 

 こうした女性に出産を強要する発想は、実は国際勝共連合が忌み嫌っているはずの共産主義と非常に相性が良いことをご存知だろうか。有名な例は、独裁政権として知られるルーマニア共産党のニコラエ・チャウシェスク(1918~1989年)である(写真を参照)。

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 チャウシェスクは、ルーマニア出生率の低さを由々しき問題だと考えて1966年から女性の人工妊娠中絶を法律で禁止し、離婚にも大きな制約を設け5人以上の子供を産んだ女性を公的に優遇したが、ヨーロッパの中で最も貧しい部類に入るルーマニアでは大家族を養うことができず、育児放棄によって孤児院に引き取られる子供やエイズに感染する子供が急増するという問題が発生した。

 こうした極端な人口増加策で生まれた孤児たちは「チャウシェスクの落とし子」と呼ばれ、ストリートチルドレン化するなど後々までルーマニアの深刻な社会問題となっている。

 

 つまり、歴史的に見れば女性に出産を強要していたのは共産党であって、ニコラエ・チャウシェスクと同様の主張をする国際勝共連合は反共を装った「隠れ共産主義」の団体ではないだろうか。国際勝共連合が実際は共産主義の団体であることは、既に一水会鈴木邦男氏が1985年2月に寄稿した『朝日ジャーナル』の論文で指摘している。

 

 しかし、自民党議員の間では加藤氏だけでなく、山東昭子氏が「子供を4人以上産んだ女性を厚労省で表彰することを検討してはどうか」と発言したり、二階俊博氏が「この頃、子供を産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と発言したり、杉田水脈氏が「LGBTは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」と発言するなど、日本の出生率が低下したのを結婚しない若者やLGBTのせいにし、女性に出産を強要する共産主義的なイデオロギーが蔓延しつつある。

 

 

少子化の改善には消費税引き下げと財政出動しかない

 日本で少子化が進んだのは、所得税減税や国営企業の民営化、消費税導入、労働者派遣法の施行など中曽根政権以降の小さな政府というデフレ促進策によって名目GDP成長率が下がり、子育て世代の収入が激減したからではないだろうか。

 1980年代はまだインフレの時代だったので小さな政府を進めても経済に悪影響を与えることは少なかったが、1990年代のバブル崩壊後にデフレ不況が深刻化する中で消費税増税や歳出削減を断行してしまったのは問題だった。厚労省国民生活基礎調査によれば、児童のいる世帯の平均所得金額は消費税が3%だった最後の年である1996年の781.6万円から2016年の739.8万円まで約42万円も下落している。

 

 児童のいる世帯の所得が大幅に減ったのは、『消費税増税が少子高齢化を加速させる』でも指摘したように子育て世代に当たる30代後半~40代前半の男性の平均年収が1997~2016年の19年間に70万円以上も減少し、夫が妻子を養える経済状況ではなくなったことが最大の原因だと言えるだろう。

 

 また、過去60年間(1957~2017年)の「名目GDP成長率と出生数の推移」には強い相関関係が見られ、最後に出生数が100万人を超えた2015年も名目GDP成長率が2.5%(平成17年基準)と比較的高い数字を示している(図66を参照)。

 政府が本当に少子化を改善させたいのならば、消費税引き下げと財政出動によって子育て世代の所得を増やし、年間の名目GDP成長率が5%を超えるような経済状況を3年以上続けるべきである。

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 だが、国際勝共連合少子化とデフレ不況の関係をどうしても認めたくないように見受けられる。

 『世界思想』の2013年3月号では、男女共同参画社会に関する世論調査の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する割合が2009年の41.3%から2012年の51.6%まで増加したことについて、女性の貧困や若者の労働環境の過酷さが原因だとする村松泰子氏、山田昌弘氏、開沼博氏の主張に反論し、「結婚と出産に経済的な関わりがあることは否定できないが、子供に寄り添いたい親の心情をことさら無視するのは家族軽視やジェンダーフリー思想の表れである」と述べている。

 

 しかし、2012年以降の「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する割合の推移を見ていくと2014年は44.6%、2016年は40.6%と徐々に減少していることがわかる。2012年の調査で一時的に賛成派の割合が高まったのは、夫が妻子を養う高度経済成長期の家族モデルに回帰したのではなく、東日本大震災の影響で将来に不安を感じる女性や若者が増加したからではないだろうか。

 

 更に、『世界思想』の2018年6月号では戦後の歴代内閣をA~Eの5段階で格付けしていたが、これにも強い疑問を感じる(表11を参照)。

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 岸と安倍はもともと勝共連合と蜜月関係を築いていたので高い評価を受けるのは仕方ないが、法人税増税や公共事業の拡大、高齢者医療の無償化、公務員給与の引き上げなど大きな政府オイルショック後の安定成長に貢献した田中角栄が何故、C評価なのだろうか?

 田中角栄が首相だった時代(1972~74年)は、それこそ安定した収入を得た団塊世代が次々に結婚して第二次ベビーブームが発生していたにも関わらずである。

 

 そもそも、政府が公共事業を拡大すれば国民経済計算の「公的固定資本形成」が増加し、社会保障を充実させれば「政府最終消費支出」が増加して名目GDPも増え、国の経済成長にもつながるのだ。長引くデフレ不況においても小さな政府ばかり信奉する国際勝共連合は、そうした経済的な知識を一切持っていないのかと呆れてしまう。

 

 オウム真理教は1990年に「真理党」として衆院選に出馬したが、全員落選して供託金も没収され政界進出に失敗している。その一方で統一教会は長年、自民党新自由主義的な政策や家族の助け合い義務の強化を要求し、安倍政権の6年間で彼らの悲願が次々に実現されつつある状況だ。

 麻原彰晃は63歳で死刑となり一連のオウム事件についてある程度の償いをしたと言えるが、文鮮明は92歳までのうのうと生きて霊感商法合同結婚式の被害について全く責任を取っていない。その点では、オウム真理教より統一教会のほうがもっと悪質な宗教なのかもしれない。

 今後、もし安倍政権がスパイ防止法の制定を推進してきたら、野党議員は「犯罪集団の統一教会が1980年代からスパイ防止法の成立に関わってきたこと」を明確に提示して断固反対すべきだろう。

 

 

<参考資料>

櫻井義秀 『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』(新潮社、2009年)

山口広、滝本太郎紀藤正樹 『Q&A宗教トラブル110番』(民事法研究会、2015年)

ジョン・D・スターマン 『システム思考 複雑な問題の解決技法』(小田理一郎・枝廣淳子 訳著、東洋経済新報社、2009年)

国際勝共連合 「特集 強靭な国・日本 安倍政権の歴史的使命」 『世界思想』(世界思想出版、2013年3月号)

同上 「特集 歴代内閣を格付けする 安倍政権を戦後政治に位置づける試み」 『世界思想』(世界思想出版、2018年6月号)

 

死刑確定囚13人、全員執行 オウム真理教事件

https://www.asahi.com/articles/ASL787HXWL78UTIL01K.html

安倍首相と統一教会=家庭連合の関係がわかる8つの出来事

http://poligion.wpblog.jp/archives/5522

街頭デモで安倍政権を応援 旧統一教会系の国際勝共連合が支援する大学生集団「UNITE」の正体

https://dot.asahi.com/wa/2016062900245.html

「テロ準備罪法案」の成立を期せ

http://www.ifvoc.org/monthly/2017_04.html

「3人産んで」で人口急激社会への処方箋

http://www.ifvoc.org/news/shiso-np180601/

ニコラエ・チャウシェスク 堕胎と離婚の禁止

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%82%AF

勝共連合統一教会)と愛国詐欺

http://wondrousjapanforever.blog.fc2.com/blog-entry-234.html

「子無し税」で炎上中に山東昭子「4人以上産んだら表彰」発言の時代錯誤

http://bunshun.jp/articles/-/5081

自民・二階俊博幹事長「子供を産まない方が幸せだと勝手なこと考える人がいる」

https://www.sankei.com/politics/news/180626/plt1806260029-n1.html

LGBT“生産性”発言で大炎上 自民党杉田水脈の“脈々”と続く問題発言まとめ

http://bunshun.jp/articles/-/8326

平成29年 国民生活基礎調査の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa17/dl/03.pdf

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という意識の変化

http://honkawa2.sakura.ne.jp/2410.html

2017年2月28日発売「消費税の歴史と問題点を読み解く」

消費税収の86%が法人税減税に消えている」など、2017年2月までの当ブログの記事をまとめ、大幅に加筆した新書が同年2月28日に発売されました。

興味を持っていただいた方は、書店やAmazon等で購入してもらえると有り難いです。

 

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目次

第1章 消費税の歴史(近代史から橋本内閣まで)

第2章 消費税の歴史(小泉内閣から安倍内閣まで)

第3章 増税グローバリズムのここがおかしい!

第4章 世界の消費税、軽減税率、所得税の負担率

第5章 消費税は社会保障に使われていない

 

内容紹介

 消費税は身近な税金である。しかし国税のなかで消費税は滞納金が多く、増税をしていくにつれて滞納額が増加するという問題点はあまり知られていない。また、消費税引き下げの議論はない一方で、法人税減税は行われている。

 本書では、消費税の導入から増税が繰り返される日本の歴史、欧米諸国との比較、消費税増税についての問題点を明らかにする。消費税に関して改めて整理し、増税後、国民の生活にどのように影響していくのか考察していく。

 

著者 大谷 英暉  ISBN 978-4-344-91106-2

新書186ページ 価格880円

 

 

消費税の歴史と問題点を読み解く

http://www.gentosha-book.com/products/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/

 

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