消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

新型コロナウイルス対策のためにも消費税を5%に減税すべき

名目GDP成長率の落ち込みは8増税時よりも大きい

 2月17日に発表された2019年10-12月期のGDP速報(平成23年基準)によれば、物価の変動を除いた実質GDP成長率は年率マイナス6.3%だった。個別の項目を詳しく見ると落ち込みがもっと酷く、民間最終消費支出は年率マイナス11.0%、民間住宅投資は年率マイナス10.4%、民間企業設備投資は年率マイナス14.1%である。

 

 また、私が気になったのは「持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」が年率マイナス13.9%も落ち込んでしまったことだ。国民経済計算では個人消費について「民間最終消費支出」「家計最終消費支出」「除く持ち家の帰属家賃」の3つのデータを公表しているが、「家計最終消費支出」とは民間最終消費支出から私立学校、宗教団体、政党、福祉関係のNPOなど営利を目的とせず社会的サービスを提供している民間団体の消費を除いた額で、「除く持ち家の帰属家賃」とは家計最終消費支出から実際には家賃を支払っていない住宅(持ち家など)について、通常の借家と同様のサービスが生産され消費されるものとみなし、市場価格で評価した計算上の架空家賃を除いた額である。

 つまり、民間最終消費支出より国民の個人消費を表す数値に近いデータを知りたい場合、家計最終消費支出から持ち家の帰属家賃を除いた額を見るべきで、この落ち込みが大きいのは消費税増税による個人消費の低迷が日本経済を蝕んでいる何よりの証拠ではないだろうか。

 

 更に、物価の変動を含めた名目GDP成長率を見るともっと酷い。前回消費税を8%に増税した2014年4-6月期は年率0.0%だったのに対し、2019年10-12月期は年率マイナス4.9%と今回のほうが落ち込みは大きいのだ。特に、2019年10-12月期の名目GDP成長率は安倍政権の7年間で最低となってしまった(図22を参照)。

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 2019年のコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合物価指数)が対前年比0.4%の増加だったにも関わらず、同年10-12月期の名目GDP成長率がマイナスになった理由は民間企業設備投資の落ち込みが2014年4-6月期よりも著しかったことが考えられる。

 消費税を8%に増税したときは2012~2013年にかけて景気が回復傾向にあったが、10%増税時は名目GDP成長率が2015年の3.4%から2019年の1.3%まで下落していて、景気の後退局面で消費税を引き上げたからこそ民間企業設備投資の落ち込みが大きかったのではないだろうか。

 

 

個人消費の落ち込みは高齢化ではなく消費税増税が原因

 しかし、消費税を最終的に15~20%まで引き上げたい安倍政権は増税による景気悪化を絶対に認めたくないようである。安倍首相は2月17日の予算委員会で日本経済の現状と展望に関し、「経済対策の効果もあり基調として緩やかな回復が続く」との見解を示した。麻生財務大臣も2019年10-12月期の実質GDPがマイナス成長だったことを受けて、「前回の消費税引き上げ時と比較すると影響が小さい」などと言い訳に終始している。

 だが、景気の先行き予測に使用される景気動向指数(先行指数)は2017年12月の102.1から2019年12月の91.6まで急速に悪化しており、新型コロナウイルスの影響もあって2020年1-3月期のGDP成長率は更に落ち込む可能性が高いだろう。日本経済の現状はとてもじゃないが、緩やかに回復しているとは言えない状況である。

 

 また、自民党片山さつき議員はテレビ朝日のモーニングショーで藤井聡氏と対談した際に、2019年10-12月期の消費の落ち込みについて「台風19号のせいだ」と発言している。しかし、台風は2019年だけでなく毎年起こっているのであって、増税前の同年9月にも台風15号の影響で千葉県を中心に大規模停電が発生した。もし、景気悪化を台風のせいにするのなら9月の時点で消費税10%増税を中止すべきだっただろう。

 片山議員は「少子高齢化の影響で消費が増えづらい状況になっている」とも述べているが、これも少し調べれば嘘であることがわかる。日本は高齢化率が21%を超える「超高齢化社会」に突入したのが2007年だが、それでも家計最終消費支出(持ち家の帰属家賃を除く)は2009年1-3月期の223.3兆円から2014年1-3月期の247.7兆円にかけて24.4兆円も増加している。本格的に個人消費が落ち込んだのは消費税が8%に増税された2014年4月以降なのだ(図23を参照)。

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 消費税増税に加え、新型コロナウイルスの影響が深刻な日本経済は今後どうなってしまうだろうか。現状では2020年6月末に消費者に最大5%が還元される補助金事業のキャッシュレス還元が終了して「再増税」となるため、東京五輪を開催しても個人消費はほとんど増えないと予想される。

 そのため、政府は新型コロナウイルスによる経済への悪影響を最小限に抑える目的で遅くても2020年7月から消費税を5%に減税すべきだろう。私は安倍政権を全く支持していないが、消費税引き下げを決定すればそれに伴って解散総選挙に打って出ても良いと思っている。

 

 

<参考資料>

国民経済計算 2019年10-12月期1次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194/gdemenuja.html

「民間最終消費支出」と「家計最終消費支出」の違い

https://www.dir.co.jp/report/research/introduction/economics/indicator/20130117_006677.pdf

財務省の狂気(前編)

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12447976559.html

消費者物価指数 時系列データ

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

日本経済、政策効果などで基調として緩やかな回復続く=安倍首相

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200217-00000043-reut-bus_all

経済環境きめ細かく分析し、財政運営に万全期す=麻生財務相

http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN20C01F.html

統計表一覧:景気動向指数 結果

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html

【激論】消費税増税の悪影響を意地でも認めない片山さつき自民党議員

https://www.youtube.com/watch?v=_-AluaqShqw