消費税増税に反対するブログ

れいわ新選組のボランティアとして消費税の問題点などを発信するブログです。たまに発達障害についても書きます。(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

自民党は権力争いに夢中になるのではなく、国民のために消費税廃止を決断すべきだ

国税滞納のうち53.4%が消費税で占められている

 2025年7月20日に実施した参院選では自民党公明党が目標としていた50議席に届かず47議席に後退した。石破茂首相は選挙後に続投を宣言したが、9月7日の午後6時に記者会見を開いて辞任を表明している。

 その一方で、インフレ率や名目GDPの伸びは第二次安倍政権よりも菅義偉政権から石破政権にかけてのほうが大きく、アベノミクスを散々持てはやしていた自称保守派が石破政権を批判するのは矛盾しているとも言える。

 仮に石破政権が参院選敗北の責任を取るのであれば、退陣よりも消費税を廃止して景気対策を行うことが適切ではなかっただろうか。私が消費税廃止を求める理由の一つとして、「消費税は国税の中で最も滞納の割合が多い」という点を指摘しておきたい。

 

 「消費税になぜ滞納金が発生するのか?」については、消費税という税制の仕組みを理解する必要がある。私たちが買い物をするとき、レジでお金を支払っているため、消費税を納めているのは消費者だと思っている方も多いだろう。

 だが、これは大きな誤解で実際に消費税を納める義務があるのは事業者だ。事業者は、決算や確定申告の際に、一定の計算による消費税額を国などに納付する義務があり、そこで消費税を販売価格に上乗せ(転嫁)することが認められている。

 

 しかし、販売価格に上乗せされた消費税を、モノを買うときに消費者が負担するのは事業者が値引きしていない場合で、中小・零細企業の中には少しでも商品を安く売るために、消費税を価格に転嫁できないこともあり、結果的に自腹を切って納税する例が少なくない。その影響もあって消費税は国税の中で最も滞納額が大きく、2024年度に発生した消費税の滞納税額は5298億円と、国税全体の滞納額(9925億円)における53.4%を占めている。

 消費税は法人税所得税と違って、年間売上高が1000万円以上の場合、事業者が赤字でも納税しなければならず、滞納税額が減らないのはそれだけ消費税を納められない企業が多いからである。消費税は事業者が預かる「間接税」ではなく、事業者が納める「直接税」と言ったほうが正しいだろう。

 

 消費税の新規発生滞納額は税率が5%だった1998年度の7249億円から2013年度の2814億円まで減少していたが、その後は徐々に増加していって2024年度には5298億円になっている(図62~63を参照)。日経新聞は2024年度に消費税の滞納が増加した理由について「物価高で人件費などが上昇し資金繰りが悪化しています」と報道しているが、実際には消費税10%への増税インボイス制度の導入によって事業者の負担が増加しているからではないだろうか。

 インボイス制度を考えるフリーランスの会が2025年5月に行った調査によれば、「消費税を負担に感じる」と回答した事業者は90.8%、「インボイス制度に反対している」と回答した事業者は97.3%にものぼっている。

 

 

 

消費税という税制に欠陥があるから滞納が発生する

 だが、国税庁は消費税の滞納が増えているのを問題視するどころか、「自営業者=脱税」のイメージを作ることに必死だ。

 例えば、少し古いが1999年11月25日には前年の1998年度に消費税の新規発生滞納額が過去最多になったことを受けて、「消費税は消費者からの預り金的な性格を有する税であるという趣旨の広報活動を更に徹底する必要がある」という通知を出している。税金の問題に関心を持っている方なら、一度は「消費税は消費者からの預り金」という言葉を聞いたことがあるだろう。

 

 国税庁が子ども向けに広報活動を行っている税の学習コーナーでも、『消費税を通して私たちも納税している』という明らかな間違いを教えている。前述の通り、消費税を納税するのは消費者ではなく年間売上高1000万円以上の事業者であって、子どもたちが『消費税を通して私たちも納税している』という誤解を持つことは、逆に言えば「消費税を納められない事業者は悪質業者」と偏見を助長することにもつながりかねない。

 

 また、2001年5月18日の産経新聞でも「消費税は私たち庶民が少しでも日本の社会が住みよい、安定した姿になりますようにとの願いから必死に納めているものです。その義務を果たさず、納税すべきお金を他に使うのは最も悪質な脱税行為と言っても過言ではありません。どうして新聞はもっと大きく報道して国民に詳しく知らせないのですか? 政治を先頭に消費税滞納の根絶方法を早急に確立することが急務だと思います」と読者から怒りの声を掲載し、「自営業者=脱税」のイメージを作るキャンペーンを展開している。

 

 比較的最近の事例でも、2019年10月1日から消費税が10%に引き上げられると共に軽減税率が導入された際にSNS上で「イートイン脱税」という造語が広まった。これは飲食料品の軽減税率制度のもとコンビニの会計を税率8%の持ち帰り価格で済ませ、外食だと10%になる税率の差額を支払わず店内で飲食する行為を指して生まれた用語である。

 コンビニは持ち帰りが基本的な業務であるため、会計の際に店内飲食(イートイン)の有無をいちいち尋ねたりはしない。イートインを自己申告した者だけが10%分を負担する、つまりは正直者が馬鹿を見るという「不公平感」から生まれた用語で、「脱税」という言葉にインパクトがあったのか瞬く間に流布した。

 

 しかし、消費税の納税義務者は事業者であり、持ち帰りと見せかけて店内で飲食した消費者ではない。消費者同士で「ずるい」などといがみ合うのではなく、事業者(店側)が客の全員に8%の税率で商品を販売した事実通りに確定申告すれば済む話なのである。「消費税」というネーミングにも問題があるが、大多数の国民が消費税の基本的な仕組みや本質を理解していないことを象徴する造語であった。

 

 この他にも、国税庁は過去にタレントを起用したポスターで消費税の滞納者を非難したこともあるが、そもそも消費税の滞納額が国税全体の半数以上を占めているのは、どの事業者も売上に対して一律の額が徴収される「消費税」という税制に欠陥があるからだろう。

 消費税増税を批判する際は、景気の問題だけでなく滞納の問題についても取り上げていく必要があると感じる。

 

 

消費税を廃止して本当の「地方創生」を実現しよう

 自民党公明党が進める経済政策の一つに地方創生がある。地方創生とは、東京一極集中を是正して地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的にしている。

 2014年には、元岩手県知事の増田寛也氏が「何も対策を取らなければ、2040年までに全国896の自治体が消滅してしまう可能性がある」というレポートをまとめた『地方消滅―東京一極集中が招く人口急減』(中央公論新社)がベストセラーになった。

 その一方で、政府が進めている地方創生は必要なインフラ整備を放棄し、「各地方は自助努力せよ。成功しているところは地方交付税を厚くし、上手くいかないところは自己責任」と、各地域の競争を煽っているだけなのではないかという批判も存在する。

 

 だが、私が注目しているのは「地方ほど消費税を滞納する割合が高い」という問題だ。各地域の国税局別に滞納額の割合(2023年度)を見ると金沢が1.41%、東京が1.54%、大阪が2.07%、名古屋が2.14%、広島が2.28%、高松が2.34%、札幌が2.79%、福岡が3.01%、関東信越が3.04%、熊本が3.15%、仙台が3.38%、沖縄が3.77%と地域によってバラつきが存在し、地方ほど割合が高くなることもわかるだろう(表6を参照)。

 消費税増税インボイス制度の導入は政府が進めている地方創生にも大きく反する愚策なのである。

 

 地方のほうが消費税を滞納する割合が多いのは、東京などの都市部よりも経済的なハンデが大きいことが原因だろう。例えば、雇用者に占める非正規雇用の割合(2022年)は東京都区部が27.8%なのに対し、滞納の割合が最も多い沖縄県では37.8%だ。都道府県別の平均年収(2024年)も東京都が644万3800円なのに対し、沖縄県393万5000円(東京都の61.1%)と250万円以上の差がある。

 

 更に、沖縄は全国の米軍専用基地のうち70.3%を負担してもらっている問題を忘れてはならない。しかし、「沖縄の経済は米軍基地に依存している」というのも事実ではなく、県民総所得に占める基地関連収入の割合はアメリカ統治下だった1965年の30.4%から2019年の5.5%まで低下している。今後、沖縄が米軍基地に依存しない経済を築くためには、県民総所得を拡大させてこの比率を更に引き下げる必要があるだろう。

 その点で消費税廃止は国民の個人消費が増加して景気を回復させる他にも、各地域の税負担が減って本当の地方創生が実現するというメリットも存在するのだ。自民党は誰を次の首相にするのかといった権力争いに夢中になるのではなく、国民のために早急に消費税廃止を決断すべきである。

 

 

<参考資料>

歳川隆雄 『フォーカス政治 「石破降ろし」と連立組み替えの行方』 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社、2025年8月2日号)

小澤善哉 『図解 ひとめでわかる消費税のしくみ』(東洋経済新報社、2013年)

醍醐聰 『消費増税の大罪 会計学者が明かす財源の代案』(柏書房、2012年)

行政監察情報 『滞納防止策の改善求める 消費税滞納額増で国税庁に意見表示』(官庁通信社、1999年)

斎藤貴男 『消費税のカラクリ』(講談社、2010年)

伊藤周平 『消費税増税社会保障改革』(筑摩書房、2020年)

 

令和6年度租税滞納状況の概要

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdf

国税庁 統計情報

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/index.htm

日本経済新聞電子版のツイート(2025年8月27日)

https://x.com/nikkei/status/1960696414364651959

2025年 1万人のインボイス実態調査 報告

https://note.com/stopinvoice/n/nf298c918b473

暮らしを支える税を学ぼう

https://www.youtube.com/watch?v=AM8Um27CW4Y

地方創生(Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E5%89%B5%E7%94%9F

砂漠で金を稼げと言うのか?「地方を見捨てた」山本幸三地方創生大臣

http://www.mag2.com/p/money/274082/2

令和4年就業構造基本調査

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200532&tstat=000001163626

令和6年賃金構造基本統計調査

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429

沖縄から伝えたい。米軍基地の話。Q&A Book 令和5年版

https://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/tyosa/qanda_r5.html