消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

れいわ新選組は消費税廃止の他に「移民受け入れ反対」を掲げるべき

れいわ新選組の消費税廃止は極めて現実的な経済政策である

 次の衆院選は早ければ2020年のうちに行われると予想されているが、そこで気になるのが消費税廃止を掲げたれいわ新選組がどれほどの議席を獲得できるのかということである。

 山本太郎氏は衆院選での戦い方について「野党が消費税5%に減税することを目的にまとまるのであれば協力するが、それが不可能なら独自で候補者を100人擁立する」と発言している。しかし、立憲民主党と国民民主党はれいわ新選組の消費税引き下げに協力することに消極的で、合流に向けた話し合いも混乱しているようだ。そうなると、山本氏は独自で衆院選を戦うことになるが、個人的には自民党の強い小選挙区で候補者を立てる必要はないと思う。

 筆者は群馬県に住んでいるが、衆院選では毎回小渕優子氏が当選を続けていて、れいわ新選組が候補者を擁立しても残念ながら勝てないだろう。

 

 2019年の参院選における都道府県別のれいわ新選組の得票率を多い順に見ると、1位から10位は東京都、沖縄県、神奈川県、埼玉県、千葉県、京都府山梨県福井県高知県宮城県となっていて、逆に直近10年間(2010~2019年)における都道府県別の自民党の得票率を少ない順に見ると、1位から10位は大阪府沖縄県、長野県、兵庫県京都府、北海道、埼玉県、東京都、岩手県、愛知県となっている(表2を参照)。

 まずはこうしたれいわ新選組が強く、自民党が弱い地域から攻めていく必要があるのではないだろうか。

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 また、安倍政権の熱烈な支持者が集まるツイッターYoutubeのコメント欄では「れいわ新選組の消費税廃止は非現実的だ」との書き込みを多く見かける。だが、法人税率を80年代の水準に戻してデフレ期の国債発行を認めれば消費税廃止は極めて現実的な経済政策なのだ。

 『今こそ知りたい「消費税増税と法人税減税」の関係』でも述べた通り、企業の経常利益は1989年度の38.9兆円から2018年度の83.9兆円まで約2.2倍も増加し、法人税収が減少する一方で経常利益はバブル崩壊後も増え続けて過去最高を更新している。2018年度の経常利益に1989年当時の税率(40%)が適用された場合、単純比較で法人税収は41.0兆円にものぼったことが予想され、これは2018年度の法人税収と消費税収を合わせた30.0兆円よりも多い。

 

 それでも、消費税増税を推進する財務省は「法人税所得税は景気に左右されやすい」と言うが、リーマンショックのような金融危機が発生して法人税収や所得税収が減った場合、消費税を増税するのではなく国債を発行して社会保障の財源を調達すればいいだろう。

 消費者物価指数の中で最も重要なコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)は2018年度に対前年比0.2%程度と日銀が定めている年率2%のインフレ目標には達していないが、それでも公債発行額は2009年度の52.0兆円から2018年度の34.4兆円まで削減されている(図15を参照)。

 安倍政権は公債発行額の減少をアベノミクスの成果として挙げているが、デフレ脱却していないにも関わらず緊縮財政を強行したことを自画自賛するのは何とも情けない話だろう。年率2%のインフレ目標に達していないデフレ不況のときはむしろ国債発行で歳出を増やしたほうが早期に景気回復して税収も増加するのだ。

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 2018年には高度経済成長期の日本に憧れたマレーシアのマハティール首相が6%の消費税を完全に廃止して「物品税」に近い売上・サービス税(SST)に戻した。一部の政治家やメディアはマレーシアが消費税を廃止したことを失敗だと批判しているが、2019年4~6月期の実質GDP成長率は日本が前年同期比で1.0%程度の増加なのに対し、マレーシアは4.9%も増加している。両国ほぼ同様にGDPの6割を占める個人消費に関しても日本が前年同期比で0.7%程度の増加なのに対し、マレーシアは7.8%の増加にのぼっている。

 日本とマレーシアの成長率を単純比較できるわけではないが、マレーシアの経済も米中貿易戦争の影響を受けていたり、外国人労働者の増加で自国民の給料が上がりにくくなっていたり、様々なマイナス要因を抱えた中で健闘しているほうだと言える。消費税廃止に個人消費を増やす効果があるのは明らかで、マレーシアにできたことが日本にできないはずもないだろう。

 

 

外国人労働者とインバウンドに依存しない経済を目指すべき

 更に、れいわ新選組は現在8つの緊急政策を掲げているが、それに「移民受け入れ反対」を付け加えるべきだと思う。在留外国人数は2012年12月の203.4万人から2019年6月の282.9万人まで安倍政権の6年半で79.5万人も増加し、外国人労働者数は2012年の68.2万人から2019年の165.9万人まで7年間で97.7万人も増加している(図16を参照)。

 その影響もあって、1993年の29万8646人から2014年の5万9061人へと減少していた不法残留者数は2019年に7万9013人まで増加してしまった。技能実習生の失踪者数も2014年の4847人から2018年の9052人まで増加している。しかし、与党も野党もこの状況を全く憂慮せず、れいわ新選組も政府の移民受け入れ政策に対してまだまだ批判が弱いと感じる。

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 2019年12月2日に和歌山市で行われた街頭演説で19歳の若者から「外国人の生活保護を廃止したり、国費留学生制度の予算を日本人に回したりすれば国民の生活はもっと豊かになるのではないか」と質問された際に、山本氏は「日本人か外国人か国籍でわけて支援を行うかどうかを判断するのは危険なことだと思う」と回答した。こうした答え方も間違ってはいないが、外国人で生活保護を利用する方がいるのは企業が技能実習制度を悪用して低賃金で外国人労働者を雇っている実態があるからだろう。

 外国人の生活保護利用者を減らしたいのであれば、政府の移民受け入れ政策を制限して技能実習制度を廃止し、2019年の時点で166万人もいる外国人労働者数を20~30万人程度まで縮小すべきではないだろうか。

 

 また、安倍政権が外国人ビザを大幅に緩和してきた影響で、訪日外国人数も2012年の835.8万人から2019年の3188.2万人まで7年間で2300万人以上も増加し、そのうち中国人観光客が959.4万人と全体の約3割を占めている。図17では2003~2019年の中国人観光客の推移を示した。

 訪日外国人の増加は一見良いことのように感じるが、逆に海外へ出国する日本人の数は2012年の1849.1万人から2019年の2008.1万人まで7年間で159万人しか増加しておらず、長引くデフレ不況による日本人の旅行離れを尻目に政府は外国人観光客を呼び込んで日本国内の消費を回復させようと必死になっているのだ。

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 その上、政府があまりにもインバウンド(外国人観光客による日本国内での消費)に依存すると国際情勢に振り回されることにもなりかねない。2020年に入ってからは中国で新型コロナウイルスの流行が拡大し、1月31日の時点で感染者数は1万1859人、死者数は259人にものぼってしまった。日本国内でも感染者数は20人に増加していて、今後もこの数は増えていく可能性が高いだろう。

 中国政府は同月27日から国民の海外旅行を禁止し、日本でも新型コロナウイルスの感染者を入国拒否することを発表したが、インバウンドに依存した経済への影響を懸念して中国人の入国禁止まで踏み込むのに躊躇している。

 

 そのため、れいわ新選組衆院選に向けて消費税廃止で日本国民の消費を喚起させることに加え、外国人ビザの規制を強化して「インバウンドに依存しない経済」を目指すよう改めて政策を発表すべきではないだろうか。

 例えば、消費税を導入する以前の1980年代は訪日外国人数が300万人未満だったにも関わらず、1980~1989年の名目GDP成長率(平成2年基準)の平均は6.1%と、2010~2018年平均(平成23年基準)の1.2%より約5倍も高かった。インバウンドとして無理に外国人観光客を呼び込まなくても消費税廃止と財政出動で経済成長は可能なのだ。

 

 2020年2月上旬現在、衆議院の解散風は吹いていないが、安倍政権は野党がまとまっていないうちに解散総選挙を狙っていることは確実である。次の衆院選ではさすがにれいわ新選組が単独で政権交代を起こすことは難しいので、まずは20議席以上獲得するのを目指して自民党幹部に「消費税を5%に戻さないと政権を失う恐れがある」と危機感を抱かせることを目標にすべきではないだろうか。

 れいわ新選組は国民の生活を底上げするだけでなく、反グローバリズムの政策を掲げて戦後の一億総中流社会を取り戻す保守左派の政党を目指してほしい。

 

 

<参考資料>

山本太郎 「『政界の風雲児』本気の政策論文 『消費税ゼロ』で日本は甦る」(文藝春秋、2020年2月号)

 

2019年参議院比例代表:れいわ新選組得票率

https://todo-ran.com/t/kiji/24044

自由民主党得票率(直近10年平均)

https://todo-ran.com/t/kiji/18427

消費者物価指数 時系列データ

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/003.pdf

令和元年6月末現在における在留外国人数について

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00083.html

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html

本邦における不法残留者数について(令和元年7月1日現在)

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00084.html

失踪技能実習生数(49ページを参照)

http://www.moj.go.jp/content/001290906.pdf

山本太郎 街頭記者会見 和歌山市 2019年12月2日(32:31~)

https://www.youtube.com/watch?v=uwSmRZkU2Ug

国籍/月別 訪日外客数(2003年~2019年)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

2019年の日本人出国者数総計、初の2000万人突破

https://www.travelvoice.jp/20200117-144729

2019年-2020年中国武漢における肺炎の流行

https://ja.wikipedia.org/wiki/2019%E5%B9%B4-2020%E5%B9%B4%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%AD%A6%E6%BC%A2%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%82%BA%E7%82%8E%E3%81%AE%E6%B5%81%E8%A1%8C