消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

消費税廃止と現金給付を実現するために政治経済に関心を持とう

富裕層増税とデフレ期の国債発行で消費税廃止は可能

 2021年7月6日、麻生財務大臣は2020年度の国の税収が新型コロナウイルスの影響で受けながらも60.8兆円と過去最高になったことについて、「いずれにしても景気としては悪い方向ではない」と楽観的な認識を示した。しかし、2020年度の実質GDP成長率がマイナス4.6%と戦後最悪の年に税収が過去最高になったのは、国民の立場から見れば景気が悪化しているのに取られる税金が増えたということに過ぎない。

 

 また、財務省によれば2021年度の一般会計税収は所得税法人税が伸び悩む影響によって57.4兆円に減少する見込みで、今後はコロナ不況の影響で税収が大きく落ち込む可能性が高いだろう。一般会計税収の推移を見るとバブル期の1991年度は所得税が26.7兆円、法人税が16.6兆円、消費税が5.0兆円だったのに対し、2021年度は所得税が18.7兆円、法人税が9.0兆円、消費税が20.3兆円と所得税収と法人税収が減少して消費税収が大幅に増加したことがわかる(図4を参照)。

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 税金とは一般的に景気が過熱気味ならば国民の可処分所得を取り上げるために徴税を増やし、景気が悪化しているならば徴税を控えて国民の可処分所得を増やす安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)が存在する。逆に言えば、景気の変動に対して税収が安定している消費税は不況でも失業者や赤字企業から容赦なく取り立てる欠点を持っているのだ。もし今後、所得税収と法人税収が大幅に減少したら麻生氏は「税収を確保するために消費税を15~20%まで増税しろ」と言ってくるかもしれない。

 

 だが、法人税の基本税率は消費税が導入された1989年度の40.0%から2019年度の23.2%まで減税した一方で、企業の経常利益は1989年度の38.9兆円から2019年度の71.4兆円まで1.84倍も増加している。もし、2019年度の経常利益に1989年当時の税率が適用された場合、単純比較で法人税収は34.9兆円にものぼっていたことが予想され、これは2019年度の法人税収である10.8兆円より24.1兆円も多かったことになる(図5を参照)。

 更に、所得税は税収が最も多かった1991年当時、課税所得が2000万円を超えれば50%の最高税率が適用された一方で、2019年現在は課税所得が4000万円以上でやっと45%の最高税率が適用されるまでに変化してきた。年収1000万円以上の高所得者は1991年の200.2万人から2019年の256.1万人まで1.28倍も増加しているが、もし2019年の高所得者に1991年当時の税率が適用された場合、単純比較で所得税収は34.2兆円にのぼっていたことが予想され、これは2019年の所得税収である19.2兆円より15.0兆円も多かったことになる(図6を参照)。

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 今後はコロナの影響で景気が悪化して所得税収と法人税収が減少する可能性が高いが、そのときは日銀が目標に定めている年率2%のインフレ目標に達するまで国債を発行して財源を捻出すれば良い。日本では2020年度に持続化給付金や特別定額給付金などの景気対策を実施して国債発行額が前年度から70兆円以上も増加したが、消費者物価指数の中で最も重要なコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)は2021年6月に対前年比マイナス0.3%とインフレは全く発生していない。国債を躊躇なく発行すれば、それによって歳出が短期的に増加することがあったとしても財政出動による経済効果で成長率が上がり、自然増収が毎年どんどん増えていくのである。

 所得税法人税の税率を1980年代の水準に戻してデフレ期の国債発行を認めれば、消費税を廃止しても社会保障費を捻出するのは可能だろう。

 

 

コロナ以前でも8割以上が景気回復を実感していない

 コロナ不況の今では過去の話になってしまったが、そもそも日本経済はコロナ以前であっても景気回復を実感する人はほとんどいなかったのではないだろうか。例えば、自民党の支持者が愛読している産経新聞が2019年3月に行った調査でも「景気回復の実感がある」と答えた人は9.8%程度だったのに対し、「実感はない」と答えた人は83.7%にのぼっている。これに対して菅政権の熱烈な支持者は「アベノミクスの影響で民間企業の平均年収が増加した」と反論することが多く、確かに国税庁のデータを見ると平均年収は2012年の408.0万円から2019年の436.4万円まで上昇していることがわかる。

 しかし、民間企業の平均年収が増加するかどうかは年収1000万円以上の高所得者の数と相関関係が強く、年収1000万円以上は2012年の172.3万人から2019年までの7年間で83.8万人も増加している。つまり、高所得者の増加が全体の平均年収を押し上げた形になっているようだ(図7を参照)。

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 高所得者の増加は一見良いことのように感じるが、日本人の所得が二極化すればするほどコロナ不況を自己責任で見捨てる著名人の発言が相次いでいるのが気になるところである。例えば、2021年6月26日放送の「朝まで生テレビ!」では、国際政治学者の三浦瑠麗氏が「私の子供なんかiPad持っているし、私の時代になかったテクノロジーをたくさん使えるようになっているので、何か凄い貧しくなったなっていう感覚をガツンと感じる時代にはまだなっていないと思うんですよ」と発言し、日本はMMT(現代貨幣理論)に基づいた積極財政を行うべきではないと主張した。

 

 だが、年収200万円以下の貧困層は1979年の1195.1万人から1991年の710.5万人まで減少していたが、その後はどんどん増加していって2019年には1200.0万人にのぼっている。1979年と2019年の貧困層はちょうど同じくらいの数だが、この間食料を含めた総合物価指数は1979~2019年の40年間で47.3%も上昇しているため、今の貧困層は昭和50年代の貧困層よりも苦しい生活を強いられているのが現実なのだ(図8を参照)。

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 また、コロナの感染拡大から1年半が経っても未だに「みんなが我慢すればコロナを乗り越えられる」といった根性論を思わせる発言をする著名人が多いことにも疑問を感じる。例えば、8月7日から2年ぶりに開催される予定だった野外音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2021』が7月7日に茨城県医師会などの要請で開催中止が決定され、出演予定だったミュージシャンから批判が相次いだ。これに対して、俳優の谷原章介氏は「大事なことは、敵は別に政府でも誰か反対している人でもなくてコロナっていうウイルスなわけですから、苛立ちを人にぶつけてもあまりいいことないかなって思います」と発言した。

 しかし、日本でコロナの感染者を80万人以上も増やしたのは安倍政権が国賓で来日する予定だった習近平に配慮して2020年3月まで中国人の入国禁止を決断できなかったり、2021年に入ってから3回も緊急事態宣言を繰り返しているにも関わらず菅政権が一度も特別定額給付金の再支給を実施しなかったりすることの責任も大きいのではないだろうか。

 

 麻生太郎氏や三浦瑠麗氏、谷原章介氏のように「税収が過去最高だから景気は悪くない」「日本人は貧しくなっていない」「苛立ちを人にぶつけても良くない」と政府の責任を放棄させる発言を行う著名人を許さず、消費税廃止や現金給付などの景気対策を実現させるためには、国民の多くが政治経済に関心を持って2021年10月までに実施が予定されている衆院選で自民・公明・維新以外の積極財政を推進する政党に投票するしかないと思っている。

 

 

<参考資料>

国民殺しの麻生太郎財務大臣

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12684978187.html

一般会計税収の推移

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf

法人企業統計調査(令和元年度年次別調査)の結果

https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r1.pdf

民間給与実態統計調査結果

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

消費者物価指数(CPI)結果

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

景気回復が「実感できない」理由を考えてみた

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00122/00012/

朝生で露呈した三浦瑠麗の無知(池戸万作)

https://www.youtube.com/watch?v=SaIPyQMfK50

谷原章介「いらだちを人にぶつけても、あまりいいことない」

https://news.yahoo.co.jp/articles/4030afcc353114d42ea87ba2fca2668078117054