消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

今こそ消費税を減税して政府のインバウンド依存を見直そう

この期に及んでも消費税引き下げに否定的な日本政府

 国際金融グループのゴールドマン・サックスは4月7日の安倍首相による緊急事態宣言を受けて、2020年4~6月期の実質GDP成長率が前期比年率マイナス25%と、データをさかのぼれる1955年以降で最大の落ち込みになるとの見方を示した。政府の緊急経済対策は事業規模が108.2兆円、財政支出が39.5兆円の規模となったが、ゴールドマン・サックスではGDPに直接計上される「真水」の部分は計14兆円程度と見積もっている。

 その一方で、関西大学新型コロナウイルスの影響でロックダウン(都市封鎖)が実施された場合、日本全体の損失額は2年間で約63兆円にのぼると分析していて、14兆円の真水の経済対策では国民の損失をカバーできないと言えるだろう。

 

 安倍首相は4月7日の記者会見で「この2ヵ月で私たちの暮らしは一変しました。楽しみにしていたライブが中止になった。友達との飲み会が取りやめになった。皆さんのこうした行動によって多くの命が確実に救われています」と発言したが、ライブや飲み会が中止になることで経済的な損失を被る人も多いという事実をわかって言っているのだろうか。国民に自粛を強制するのであれば、所得に関係なく休業補償を行うのが当然のことである。

 しかし、政府の緊急経済対策は残念ながら、所得に関係なく国民に一律の現金給付を行うというものではなかった。給付の対象となるのは世帯主の月収(2020年2~6月の任意の月)がコロナウイルス発生前と比べて半分以上に減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税の均等割非課税水準(単身世帯だと月収8.3万円以下)となる低所得者に限定されている。つまり、生活保護水準まで給与が減らないと補償の対象にならないということだろう。その上、現金給付に所得制限を設けると対象になる国民と対象にならない国民が分断することにもなりかねない。

 国の定める消費税が存在せず、自己責任社会のイメージが強いアメリカでも結婚している家庭では2019年の収入が2000万円以上じゃない限り現金給付の対象となり、コロナウイルスのせいで仕事をなくした人に対しては通常の失業手当に加えて600ドル(約6万5000円)が支給されるという。コロナウイルスに対する各国政府の補償を見ると、やはり日本は先進国の中で最悪の緊縮財政国家なんだなと思わざるを得ない。

 

 また、政府はこの期に及んでも消費税引き下げに否定的なのが呆れてしまう。日本経済はコロナウイルス発生前から深刻な不況に突入していて、2019年10~12月期の名目GDP成長率は年率マイナス5.8%と前回消費税を8%に増税した2014年4~6月期の年率プラス0.1%よりも悪化している。日本の鉱業・製造業の活動状況を表す鉱工業指数も2014年4月が前年比プラス1.9%だったのに対し、2019年10月は前年比マイナス7.0%まで落ち込んでしまった。卸売業と小売業を合わせた商業販売額も2014年4月が前年比マイナス3.4%だったのに対し、2019年10月は前年比マイナス8.7%に下落している。

 前回の増税より今回の増税のほうが明らかに経済への悪影響が大きかったにも関わらず、2020年2月まで月例経済報告で「景気は緩やかに回復している」と楽観視して何も景気対策を取らないのは戦時中の「大本営発表」と変わらないのではないだろうか。

 

 その上、2018年度の国と地方を合わせた消費税収は22.3兆円だが、これを日本の総人口(1億2644万人)で割ると1人当たり年間17.6万円も消費税を支払っていることになる。日経新聞が2016年2月に公表したデータによれば、消費税が10%に増税されると「年収に占める消費税負担の割合」は年収1500万円以上の世帯では2.0%程度なのに対し、年収200万円未満の世帯では8.9%にものぼると予測している(図29を参照)。年収200万円未満と年収1500万円以上で消費税負担の割合が4倍以上も開いていることから、消費税引き下げは低所得者にとって現金給付と同じくらい経済効果が大きいだろう。

 もし、安倍政権がここで消費税引き下げを決断できなければ、将来的に日本は「2019~2020年の消費税10%増税新型コロナウイルスによって衰退途上国に入った」と言われるかもしれない。

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急速な移民受け入れ政策やインバウンド依存を見直すべき

 更に、日本で新型コロナウイルスの感染が拡大したのは安倍政権の急速な移民受け入れ政策やインバウンド依存にも原因があるのではないだろうか。

 2019年に在留外国人数が293.3万人、外国人労働者数が165.9万人となって共に過去最高を更新した。外国人数は特に安倍政権になってから急増していて、在留外国人は2012年の203.4万人から7年間で89.9万人、外国人労働者は2012年の68.2万人から7年間で97.6万人も増加している(図30を参照)。ちなみに、在日中国人は2012年の65.3万人から2019年の81.4万人まで7年間で16.1万人も増加した。

 安倍首相は海外のスピーチで「もはや国境は国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」「国を開くことが私の中に流れる一貫した哲学でした」「一定の条件を満たせば、世界最速級のスピードで永住権を獲得することができる国になります」と地球市民的な発言を繰り返しており、保守どころか戦後最も左寄りの政権と言っても過言ではないだろう。

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 しかし、日本の「自称保守派」は移民受け入れに賛成する人物が多いのが非常に残念である。例えば、元東京都知事石原慎太郎氏は「このまま人口が減少すれば国力の低下は必至です。労働力確保のためにも移民を積極的に受け入れるべきだ」と発言している。また、安倍政権を熱烈に支持している櫻井よしこ氏は「日本が政治難民や優秀な人材を受け入れることや、アジア諸国の人材を育成することも私は大賛成だ」と述べた上で、「外国から来た人にも皇室の歴史、それを支える宗教観や文化を受け入れてもらうことが必要」と発言している。つまり、低賃金や長時間労働に苦しんでいる外国人労働者にも日本社会への忠誠を強制させろと言いたいようである。

 

 更に、移民反対派の中でも全く的外れな批判に終始しているのが元警視庁刑事の坂東忠信氏だ。彼は企業が移民を受け入れざるを得なくなった理由について「ゆとり教育で心が折れやすい若者が増えた」と主張している。坂東氏は元刑事ということもあり、警察学校のようなブラック企業の研修に耐えられない人が悪いと言いたいようだ。だが、2012年12月には大阪市立桜宮高校でバスケ部のキャプテンだった生徒が顧問から過酷な体罰を受け自殺した事件も発生しており、体育会系の部活動では今でも根強くスパルタ教育が残っているのが現実だろう。

 その上、未成年の検挙人数は2003年の16万5973人から2018年の3万458人(少年人口比では10万人当たり1265.4人から269.6人)まで4分の1以下に減少していて、若者はどんどん優秀になってきている。企業が率先して外国人労働者を受け入れているのは、単に日本人の給与を上げたくないからではないだろうか。

 

 櫻井氏や坂東氏をはじめとする自称保守派は新型コロナウイルスを「武漢肺炎」などと呼んでいるが、こうした反中を煽る名称をあえて使うのは政府が2020年1月までインバウンドとして中国人観光客を大量に受け入れていた事実から目を逸らす目的もあるのかもしれない。

 実際に、中国人観光客は2012年の142.5万人から2019年の959.4万人まで7年間で800万人以上も増加し、安倍首相は在日中国大使館のホームページで「春節に際して、オリンピック・パラリンピック等の機会を通じて、更に多くの中国の皆様が訪日されることを楽しみにしています。その際、ぜひ東京以外の場所にも足を運び、その土地ならではの日本らしさを感じて頂ければ幸いです」という春節祝辞を1月30日まで掲載していた。訪日外国人数を見ても2020年1月に日本へ入国した中国人は92万4800人と前年比22.6%増加となっており、安倍政権はコロナウイルスの感染拡大が深刻になる3月上旬まで中国人の入国禁止を決断できなかったようだ。

 しかし、この状況を批判しているのは経済評論家の三橋貴明氏くらいで、保守もリベラルも安倍政権のインバウンド依存に懸念を示さないのは異常だろう。コロナウイルスの収束後に日本経済を復興させるためには、外国人労働者や観光客の受け入れをやめて消費税引き下げと財政出動GDPの約6割を占める日本国民の消費を増やすしかないと思っている。

 

 

<参考資料>

田村秀男 「アベノミクスの失敗 貧乏神がささやく景気堅調の嘘」 『表現者クライテリオン』(啓文社書房、2020年3月号)

坂東忠信 『亡国の移民政策 ~外国人労働者受入れ拡大で日本が消える~』(啓文社書房、2018年)

 

日本の4-6月期GDP予想、マイナス25%に下方修正

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-08/Q8G3FGDWX2PU01?srnd=cojp-v2

新型コロナ、ロックダウンの経済的損失は約63兆円

https://resemom.jp/article/2020/04/06/55669.html

令和2年4月7日 安倍内閣総理大臣記者会見

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0407kaiken.html

安倍政権の緊縮執念と「事業規模」の欺瞞

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12587691526.html

自民議員まで怒り沸騰の「1世帯30万円給付」のハードルの高さ

https://www.j-cast.com/kaisha/2020/04/08383896.html

鉱工業指数 統計表一覧(データダウンロード)

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/b2015_result-2.html

商業動態統計速報 2020年2月分

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/pdf/202002S.pdf

平成26年(2014年) 商業動態統計年報

https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/h26_2.html

月例経済報告 2020年2月

https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2020/0220getsurei/main.pdf

消費税と法人3税の減収額の推移

http://nam-students.blogspot.com/2018/11/2018111.html

人口推計(2018年(平成30年)10月1日現在)

http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2018np/pdf/gaiyou.pdf

年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は

https://vdata.nikkei.com/prj2/tax-annualIncome/

19年末の在留外国人数、最多の293万人

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57318840X20C20A3EA3000/

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09109.html

労働力確保のため移民の積極的な受け入れをと石原慎太郎

https://www.news-postseven.com/archives/20140603_255518.html

「粗にして雑、移民国家の自民党案」

https://yoshiko-sakurai.jp/2008/09/04/752

櫻井よしこ氏 ヘイトスピーチは日本人の誇りの欠如が原因

https://www.news-postseven.com/archives/20140523_255470.html

国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

 

 

ーー追記ーー

 この記事を投稿した後、4月16日の午後に安倍首相が公明党の山口代表に今年度の補正予算案を組み替え、所得制限を設けずに現金10万円の一律給付を実現する考えを伝えました。

 ただし、コロナ対策の予算を増やすことに反対している財務省が現金の一律給付に抵抗を示してくることが予想されるため、今後も動向を注視していきたいと思います。