消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

戦後最も左寄りの安倍政権を未だに擁護する自称保守派

緊急事態条項と安倍4選に警戒しなければならない

 新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて、自民党内で憲法に緊急事態条項を創設すべきだという議論が出ている。もともと緊急事態条項の創設は、2012年4月に発表された自民党改憲案の98条で「内閣総理大臣は我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは法律の定めるところにより、閣議にかけて緊急事態の宣言を発することができる」と定めているもので、自民党は「東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを憲法上明確に規定しました」と説明している。

 しかし、安倍政権が緊急事態条項を創設したい理由は災害対応と別の部分にあるのではないかと思えてならない。自民党改憲案99条の4項では「緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところによりその宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる」と定めており、半永久的に政権を維持できる可能性があるからだ。

 

 その上、自民党の総裁任期についても更に延長されるのではないかという懸念もある。もともと自民党総裁の任期は2016年10月に「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長されたが、そのときに任期を区切らず多選制限を撤廃する無制限論まで出たという。また、麻生財務大臣文藝春秋の2020年1月号のインタビューで「安倍首相は憲法改正をやるなら、総裁4選を辞さない覚悟が求められる」と発言したことが波紋を呼んだ。麻生氏は2019年12月10日の記者会見でも「憲法改正を推進していた岸信介は次の池田勇人がやってくれると思っていたが、池田さんは総理になった途端、経済を優先して憲法改正を取り下げてしまった。安倍首相はその二の舞になってほしくない」と発言している。

 だが、総理大臣が改憲より経済を優先することの何が悪いのだろうかと思う。岸信介氏が首相を務めていた1957~1960年の名目GDP成長率は年平均14.2%だったのに対し、池田勇人氏が首相を務めていた1961~1964年の名目GDP成長率は年平均16.5%へと上昇している。池田政権は所得倍増計画を打ち出して高度経済成長を加速させたのだが、それを「憲法改正を取り下げた」と否定するのはさすがプライマリーバランス黒字化目標のために消費税を10%まで引き上げた麻生氏らしいなと皮肉の一つも言いたくなってしまう。

 また麻生氏だけでなく、甘利税調会長も2019年11月に「安倍首相の任期が来たから皆さんさよならで済むのか。他国からちょっと待ってよ、シンゾーがいなくなったらどうなんだという声が出たときにどうするか」と発言し、二階幹事長も2020年3月に「安倍首相は政策もしっかり持っており、国際的にも信用がある。今は続投させることが大事ではないか」と発言している。自民党内からこれだけ安倍首相の総裁4選を支持する声が続出しているのは、将来的に消費税を15~20%まで増税する際に首相が変わると引き上げ時期が延期されてしまうのではないかという懸念が存在するからではないだろうか。

 

 特に、安倍政権では在任中に消費税率を2段階も引き上げたことにより経済成長率が著しく落ち込んでいる。インフレを除いた実質GDP成長率は民主党政権(2009年10-12月期~2012年10-12月期)の時代に年率平均1.68%だったのに対し、安倍政権(2013年1-3月期~2019年10-12月期)では年率平均0.94%まで下落した(図37を参照)。2019年の参院選では自民党が9議席も減らして勝利したとは言えない結果になっているにも関わらず、党内で安倍政権の退陣論が浮上しないのは自民党そのものが弱体化して「私が総理大臣をやりたい」という意欲のある政治家が一人もいないからだろう。

 京都大学教授の藤井聡氏は表現者クライテリオン2019年11月号の中で「今は誰が総理になっても状況が悪化してしまうから、政権を1年交代にするくらいがちょうどいいんじゃないか」と述べている。だが、今の日本に必要なのは首相の任期をどうするかといった議論よりも、安藤裕氏や山本太郎氏など消費税廃止を掲げて、改憲より経済成長を優先する人物を総理大臣にすることだと思う。

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自称保守派は安倍首相を個人崇拝する共産主義者

 更に、安倍政権が戦後最悪の内閣になりつつあるというのに、「正論」「WiLL」「Hanada」などに執筆している自称保守派は未だに安倍首相を擁護することに躍起になっている。例えば、自称保守派は長年憲法9条の改正に賛成してきたが、最近では安倍政権の改憲なら何でも良いと思っているようだ。

 憲法改正を推進しているのは決して安倍首相だけでなく、民主党政権にも鳩山元首相や野田元首相など改憲派の議員は多く存在したが、当時の自称保守派は政権を自民党に戻すことに必死で憲法改正についてはほとんど言及していなかった。つまり、彼らは安倍首相以外の改憲は絶対に認めず、今の野党に対しては「指一本、憲法には触れさせない」というのが本音ではないだろうか。

 

 保守論壇の大御所と崇められていた上智大学名誉教授の渡部昇一氏は阪神淡路大震災東日本大震災のときに首相が村山富市氏や菅直人氏だったことを「左翼政権への怒り」だと表現していたが、ならば2020年の新型コロナウイルスでも消費税増税や移民受け入れ、国営事業の民営化など村山政権や菅政権以上に急進的な改革を進める安倍首相に対して「“極左”政権への怒り」だと表現する保守言論人が一人くらい現れても良いはずだ。

 しかし、安倍政権の熱烈な支持者として知られる評論家の小川榮太郎氏はHanadaの2020年5月号で『安倍総理の判断でイベント自粛と休校要請という「先手」を打ったことで、EU諸国のような感染の急拡大は起こらず、結果として市民生活の制限も緩やかなレベルに留まっている』と相変わらず政権を擁護する記事を出している。

 だが、実際には安倍政権が国賓で来日する予定だった習近平に配慮して、3月5日まで中国人の入国禁止を決断できなかったから日本で1万6000人以上も感染者が増加したのではないだろうか。小川氏をはじめとする自称保守派は普段、中国政府を叩いているくせに安倍政権がインバウンドに依存して2019年に中国人観光客を959万人も呼び込んだことは全く批判しないようだ。

 

 それどころか自称保守派は安倍政権を批判する意見に対して「中国共産党工作員だ」と陰謀論を唱えることに必死になっている。安倍政権が手下である黒川弘務・東京高検検事長検事総長に据えるため、後付けで定年延長を合法化しようと企む「検察庁法改正案」についても政治評論家の加藤清隆氏は「どう考えても150万とか200万とか(の抗議するハッシュタグのツイート数)が事実ならば、裏で糸を引いている奴がいるのだろう。もしかしたら、中国とつながっているかも知れない。そういう怖さを今ひしひしと感じている。中国はなりふり構わず、日本を取りに来ている。呼応する日本人がいかに多いか」と暴論を述べている。

 安倍首相は「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」と地球市民的な発言を繰り返して外国人労働者を大量に受け入れ、大学の入学時期まで中国人留学生に合わせて9月に変えようとしているにも関わらず、自称保守派にとっては安倍政権が中国と戦っているように感じるみたいだ。

 

 この他にも2014年に私がツイッター入管法改正に反対していたら、安倍政権を熱烈に支持する経済評論家の上念司氏から「移民受け入れ反対の背後には中国共産党がいる」「東南アジアの国々に日本ファンが増えると中国共産党が困る」と陰謀論を述べられた。しかし、1993年の29万8646人から2014年の5万9061人へと減少していた不法残留者数は入管法が改正されてから増加し、2020年には8万2892人にものぼっている(図38を参照)。安倍政権の移民受け入れ政策は明らかに失敗だったにも関わらず、上念氏は未だに「移民に反対する奴は中国共産党工作員」とでも言うのだろうか。「WiLL」や「Hanada」などに執筆している自称保守派は、結局のところ安倍首相を個人崇拝する共産主義者なのではないかと思ってしまう。私は安倍政権以上に、それを熱烈に支持する人々こそ許せないのである。

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<参考資料>

梓澤和幸、澤藤統一郎、岩上安身 『前夜 日本国憲法自民党改憲案を読み解く』(現代書館、2013年)

山本太郎雨宮処凛 『僕にもできた! 国会議員』(筑摩書房、2019年)

中島岳志藤井聡、柴山桂太、浜崎洋介、川端祐一郎 「特集座談会 安倍晋三「器」論 それは如何なる器なのか?」 『表現者クライテリオン』(啓文社書房、2019年11月号)

古市憲寿 『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社、2011年)

 

緊急事態条項改憲 危機に便乗した議論許されぬ

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-04-16/2020041601_05_1.html

自民党が党総裁任期の議論スタート 延長に異論出ず、無期限論も

https://www.sankei.com/politics/news/160920/plt1609200036-n1.html

麻生太郎副総理79歳が「安倍4選の可能性」に初めて言及

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191209-00018094-bunshun-pol

麻生氏「安倍4選」に言及ノーカット

https://www.youtube.com/watch?v=zLrl1rHzyGk

四半期別GDP速報 昭和30年1-3月期~平成13年1-3月期

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2001/qe011/gdemenuja.html

安倍総理の総裁任期 甘利氏「4期目もあり得る」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000168934.html

自民二階氏 安倍首相の4期目に期待示す

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/32433.html

国民経済計算 2019年10-12月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2019/qe194_2/gdemenuja.html

コロナ感染拡大も安倍応援団の“極右”は別世界!

https://lite-ra.com/2020/04/post-5383.html

国籍/月別 訪日外客数(2003年~2020年)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/since2003_visitor_arrivals.pdf

安倍応援団が「#検察庁法改正案に抗議します」に「中国の陰謀」「テレビ局が黒幕」とトンデモバッシング!

https://lite-ra.com/2020/05/post-5418.html

本邦における不法残留者数について(令和2年1月1日現在)

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00004.html