消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

「若者が自民党を支持している」のカラクリ

自民党支持の割合は若者も高齢者も変わらない

 10月22日に行われた衆院選では、自民党が公示前と変わらず284議席を維持して勝利した。野党では立憲民主党議席を40名増やして勝利した一方で、希望の党議席を7名減らして惨敗している。

 私が最近の選挙で疑問に思っているのは、若年層ほど自民党支持者が多いという傾向があることだ。例えば、朝日新聞出口調査によれば比例投票先で自民党に投票した人は、18~19歳が46%、20代が47%、30代が39%、40代が34%、50代が31%、60代が29%、70歳以上が35%だった(写真を参照)。

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 だが、私の住んでいる群馬県内で小渕優子氏などのポスターを貼っているのは高齢者が多く、いまいち「自民党を支持する若者」の姿が見えてこないように思う。

 その上、人気ブログランキングの「安倍内閣を支持しますか?」という調査では、「支持しない」と答えた回答者の中で30代以下は35.0%だった一方で、「支持する」と答えた回答者の中で30代以下は14.5%に過ぎない。

 安倍政権を熱烈に支持するネット右翼の溜まり場でもある2ちゃんねるYahoo!ニュースのコメント欄も、30~40代の中年男性が多く利用しているという調査もある。ネット上で政治的な書き込みを行うのは、若者ではなく中高年層に多いのが実情のようだ。

 

 更に、前述のような出口調査はあくまでも選挙へ行った人のみが対象になっていて、棄権者まで含めた割合というわけではない。

 今回の選挙の年代別投票率を見ると、18~19歳が40.49%、20代が33.82%、30代が44.62%、40代が53.54%、50代が63.32%、60代が71.88%、70歳以上が63.75%で、この投票率に前述の「自民党に投票した人の割合」を重ねると全世代で16~22%となっており、若者も高齢者もほとんど変わらない(図46を参照)。

 この結果から見えてくるのは、むしろ「自民党は幅広い世代から支持されている」という事実ではないだろうか。

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EU離脱に反対するイギリスの若者との共通点

 また、読売新聞社早稲田大学現代政治経済研究所が2017年7~8月に共同で行った調査によれば、40代以下は自民党日本維新の会を「リベラル」な政党だと捉えており、共産党公明党を「保守的」な政党だと捉えているという。

 一般的に、安倍首相は憲法改正北朝鮮拉致問題の解決に積極的な姿勢から「保守政治家」のイメージを持っている人も多いかもしれない。だが、実際には海外のスピーチで「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」「国を開くことが私の中に流れる一貫した哲学でした」と地球市民的な発言をし、国民生活を破壊しかねない自由貿易協定のTPPを「国家百年の計」などと言って推進している。

 

 このことから、私はむしろ安倍首相が保守ではなく左翼的な部分も兼ね備えていると思えてならない。若年層に自民党支持者が多いことについて、2ちゃんねるツイッターなどでは「ネットで情報を得た若い世代が保守化している」という期待を寄せた書き込みが多く見られるが、実際にはイギリスのEU離脱で若者ほど残留派の割合が高かったのと同じ構図ではないだろうか。

 

 EU欧州連合)においては、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDP比で 60%を超えないことを条件とした「マーストリヒト条約」が定められ、それが付加価値税増税して財政破綻したギリシャなどEU各国の緊縮財政にも繋がっている。

 イギリスでも、2010年に就任した保守党のキャメロン政権が、付加価値税増税や福祉予算と公務員給与の削減、大学授業料の大幅引き上げなど緊縮財政を断行した。これは、消費税10%への増税プライマリーバランス黒字化目標に加え、介護報酬や診療報酬、生活保護を引き下げた安倍政権と通じる部分が多い。

 

 マスメディアではイギリスがEUを離脱した理由について、どうしても移民問題と関連付けようとしているが、残留派の顔だったキャメロン政権の緊縮財政に対する反発も大きかったのではないだろうか(ブレイディみかこ『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』 光文社、2017年)。

 

 しかし、EU離脱を問う国民投票を年代別に見ると、離脱派は18~24歳が27%、25~34歳が38%、35~44歳が48%、45~54歳が56%、55~64歳が57%、65歳以上が60%と高齢者ほど割合が高くなっていることがわかる(写真を参照)。

 若者もキャメロン政権の緊縮財政の影響を受けているはずなのだが、あまり事態を深刻に受け止めていないようだ。

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若者が景気回復の恩恵を受けているとは言い難い

 高橋洋一氏などアベノミクスを評価する経済学者は「大卒の就職状況が改善して、若者が安倍政権を支持している」と述べ、茂木敏充経財相も安倍政権になってから「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57ヵ月)を超える景気回復の長さになった可能性が高い」との認識を示している。

 だが、数字が良いのは日経平均株価と有効求人倍率だけであって、名目GDPの増加率は高度成長期(1965~70年)が2.23倍、バブル景気(1986~91年)が1.35倍なのに対し、安倍政権(2012~17年)では1.11倍程度に過ぎない。個人消費の増加率も、高度成長期が1.94倍、バブル景気が1.32倍なのに対し、安倍政権では1.04倍程度である(図47を参照)。

 そもそも、個人消費は消費税を増税した2014年4月以降に著しく落ち込んでおり、茂木経財相が主張するような「いざなぎ超えの景気回復」には程遠いのが現実だろう。

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 更に、下記の写真はJAL日本航空)の1986年の入社式と2017年の入社式を比較したものである。バブルの頃は1986年の写真のようなカラフルなリクルートスーツで就職活動をする方も多かったのに対し、現在ではどの企業でもリクルートスーツは黒と統一されている。

 いくら有効求人倍率が回復しても、自由な服装で就職活動を行えるくらい企業や学生に余裕が生まれなければ「バブル景気が再来した」とは言えないのではないだろうか。

 

JALの1986年の入社式

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JALの2017年の入社式

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 それに、1960年代の高度成長期には佐藤栄作内閣が長期政権を続けていた一方で、地方では東京都の美濃部知事をはじめとして全国に革新自治体が次々と出現し、バブル景気の1980年代後半にはリクルート事件や消費税導入の反発もあって、土井たか子氏のブームなど社会党が強かった時代でもある。好景気だからといって、必ずしも若者が政権与党を支持するわけではないのだ。

 もし、今の10~20代が日経平均株価と有効求人倍率の上昇だけで安倍政権を支持しているなら、それは低成長や劣悪な雇用環境に甘んじていると批判されても仕方ないだろう。

 

 

野党は反緊縮的な政策で無党派層を取り込め

 私には弟がいるが、2016年の参院選で投票に行ったかその弟に聞いたところ行っていないという。投票に行かない理由は「今の自分の生活に不満を感じていないから」だと話していた。つまり、古市憲寿氏が『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社、2011年)で指摘しているような「日本がいくらデフレ不況に苦しめられていても、若者の多くは身近な友人たちと流行を分かち合っていて幸せだから政治に関心を持ちにくい」ということだろう。

 こうした政治的な関心があまり高くなく、現状に不満を抱いていない若者に「選挙へ行け」と促した場合、「野党のことはよくわからないから、とりあえず自民党に投票しておこう」と考える可能性が高い。自民党を支持する若者は、特定の政治思想を持っていないリベラルなサイレントマジョリティー層でもあるのだ。

 

 しかし、自分自身もそうであるように、現状に不満を抱いていない若者の多くは親世代の収入が良いという条件が存在する。逆に言えば、政府の教育支出がOECD加盟国の中で最低の日本では、所得の低い家庭に生まれた子供ほど恵まれた生活が送りにくいということでもある。

 

 立憲民主党の枝野代表は、自民党支持の若者をどう取り込むか質問された際に、「自民党を支持している有権者をひっくり返すのではなく、今回の選挙で投票に行かなかった人に次の選挙で立憲民主党に投票してもらう」と発言した。これは全く正しい戦略だと思っている。

 今の野党には森友・加計問題で安倍政権を追及するだけでなく、消費税引き下げや公共事業の拡大、子ども手当の復活、最低賃金の引き上げなど反緊縮的な政策をどんどん掲げて無党派層の支持を取り込むしかないだろう。

 

 

<参考資料>

時事トピックス:2017年衆院選における年代別比例投票先

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/j025.html

10代46%・20代47%、自民へ 衆院選朝日新聞社出口調査

https://www.asahi.com/articles/DA3S13205016.html

安倍内閣を支持しますか?(人気ブログランキング投票)

http://blog.with2.net/vote/v/?m=va&id=185582

「Yahoo!ニュース」のコメント欄、投稿者は男性が80%以上、40代が突出

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/03/news124.html

第48回衆議院議員総選挙最高裁判所裁判官国民審査

http://www.soumu.go.jp/senkyo/48sansokuhou/

20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている

https://www.businessinsider.jp/post-106486

若者が高齢層に怒り心頭「ベビーブーム世代の判断ミスだ」

http://www.sankei.com/world/news/160626/wor1606260036-n1.html

JAL入社式から見える時代の変化

http://blog.goo.ne.jp/bongore789/e/0d74a5aaa63522616eff30cccb37ba74

自民支持の若者票をどう取り込む? 立憲民主党・枝野代表を直撃!

http://wpb.shueisha.co.jp/2017/11/06/94313/