消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

消費税の歴史(2014~2016年)

安保法制成立後も崩れない安倍内閣の政権基盤

 日経平均株価は、外国人投資家がけん引している影響で増税後も緩やかな上昇を続け、2015年4月には2万円を超えることになった。しかし、2013年に日銀の黒田総裁が掲げていた「2年後に物価上昇率2%を実現する」という目標は達成できず、14年度の消費者物価上昇率増税の影響分を除くと0.8%のみの上昇であった。2014年の実質GDP成長率もプラスマイナス0%と、アベノミクスが想定した景気回復には遠く及ばなかった。

 だが、この頃になると山一證券破綻のような大規模な金融恐慌がなく、安倍内閣の政権基盤が安定している影響もあって、増税後の景気悪化から現実逃避しようとする閣僚の発言が相次ぐ。甘利大臣や谷垣幹事長は「消費支出の落ち込みは天候不順が原因」だとし、安倍首相もTBSの報道番組「NEWS23」(2014年11月18日放送)に生出演した際に、「景気が良くなったとは思わない」「アベノミクスを感じていない」という街頭インタビューに対して、「内容が意図的に編集されたのではないか」と言い訳した。

 

 また、麻生副総理は12月8日の街頭演説で、「日経平均株価はこの2年間で17000円まで上がった。その結果として、企業は大量の利益を出している。出していないのはよほど運が悪いか、経営者に能力がないかだ」と自己責任論を強要した。

 安倍首相を熱烈に支持している経済評論家の上念司氏も「ジャパニズム23」(青林堂、2015年2月)の中で、「アベノミクスの恩恵にあずかれないと文句を言っている人は『賃金が上がっていない』と主張して、単に迎合するだけで何の理論的裏付けもない評論家のカモになるのが運命」とこき下ろし、2013~14年に円安倒産が増加したことについては「アベノミクスに対する本気度を疑っていたから倒産しただけの話」と企業側に責任を押し付けている。

 

 上念氏は、民主党政権の時代まで「次に消費税を上げれば、1997年以降に襲った不況より三段階も四段階も上のすごい不況が襲いかかってくるかもしれない」と増税を厳しく批判しており、安倍内閣になってから増税容認に変節したのだ。彼のように「憲法改正に積極的な安倍首相なら何をやっても許される」と勘違いした保守言論人は非常に多いようである。

 

 しかし、2015年5月に「安全保障関連法案」が閣議決定されたことを受け、国会前では連日のように大規模な抗議デモが開催されるようになる。更に、8月11日には川内原発が再稼働され、東日本大震災以前まで原子力を推進していた政府の方針に回帰し始めた。それでも、安倍内閣の政権基盤が大きく揺らぐことはなく、同年9月に行われた自民党総裁選では安倍首相が無投票で再選を果たす。

 総裁選には安保法制に慎重な立場を示していた野田聖子氏と、若手議員として期待される小泉進次郎氏の出馬が取り沙汰されていたが、立候補に必要な推薦人20名を集められないなどの問題で、直前になって出馬を断念している。

 

 

アベノミクスを自画自賛する安倍首相

 安倍首相は、2015年11月に開催された自民党の「立党60年記念式典」でアベノミクスを自画自賛し、有効求人倍率について「23年ぶりの高い水準」「高度成長期やバブル期よりも雇用条件は良くなった」と述べた。だが、有効求人倍率の上昇は2010年の菅内閣の時から始まっており、アベノミクスよりもリーマンショックから回復した影響が大きいと思われる。

 

 また、2015年の有効求人倍率は1.20倍だったが、高度成長期のピークに当たる1973年(1.76倍)やバブル期の1990~91年(1.40倍)には届いていないため、「有効求人倍率が過去最高の水準になった」という安倍首相の認識は間違っていたのである(厚労省「一般職業紹介状況」より)。

 私が大学3~4年生の頃は既に安倍内閣だったが、「就職活動が以前より楽になった」という話は全く聞いていない。今も大学生の多くが就職活動に苦労しているのに、「バブルの頃より雇用条件が良くなった」と自画自賛するのはあまりにも無責任だろう。かつて安倍首相ほど自身の経済政策を過大に評価した総理大臣が存在しただろうか。

 

 アベノミクス第二の矢である「機動的な財政政策」では、国土強靭化として公共事業の大盤振る舞いを宣言していたが、政府の公共投資(公的固定資本形成)は2013年10~12月期の22.7兆円から2016年7~9月期の21.2兆円まで減少している(内閣府「国民経済計算」 2016年7~9月期一次速報値 実質季節調整系列 2005年基準より)。

 安倍首相がアベノミクスを自画自賛すればするほど増税後の景気対策は遅れ、財政も緊縮的になってきているのが現実のようだ。

 

 更に、名目賃金の実質的な購買力を示すために用いられる「実質賃金指数」も安倍内閣になってから下落を始め、特に消費税が8%に引き上げられた2014年4月以降は低迷した状況が続いている(図26を参照)。経済ブロガーの山本博一氏は「実質賃金の低下により雇用者が増える」と述べているが、正規雇用数は第一次安倍内閣だった2007年4~6月期の3490万人から、2016年4~6月期の3367万人まで100万人以上も減少しており、増加したのは今まで通り非正規雇用者のみである。

 アベノミクスを評価する人々は「企業が過去最高の収益を上げている」と自慢するが、全国企業倒産件数が1万件を下回っても雇用は改善せず、消費税増税のせいで景気回復を実感できないのではないだろうか。

 

 その上、民間最終消費支出は東日本大震災後の2011年4~6月期(299.3兆円)から増税前の2014年1~3月期(321.5兆円)まで緩やかに上昇していたものの、消費税を引き上げると急に落ち込み、2014年4~6月期から2016月7~9月期までは305~308兆円で推移している(図27を参照)。

 マスコミの多くは増税直前の2014年3月まで「消費は増税後の4~6月期に大きく落ち込むものの、7~9月期にはそれを取り戻す程度に回復する」と予想していたが、結局のところ増税から2年以上が経過しても消費はまだ回復していないのだ。

 

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増税延期の判断は長期的に見て正解だった

 だが、2016年に入ってからは、2017年4月から予定されていた消費税10%への引き上げについて最終的な判断が安倍内閣に求められるようになった。安倍首相は当初、「リーマンショック東日本大震災級の災害でも起きない限り、予定通り引き上げる」と発言したが、3月にはアメリカから来日した経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授やポール・クルーグマン教授が「まだデフレ脱却には至っていない」と安倍首相に消費税増税の中止を提言している。

 更に、4月14日と16日には熊本県で巨大地震が発生し、死者は157人、負傷者は2300人を超える大災害となった。「東日本大震災の再来か」と言われたこの災害の後、当然のことながら消費税増税について政府の判断は揺らぎ、舛添都知事が政治資金を公私混同していた問題も自民党にとって逆風になりつつあった。

 

 7月の参議院に向けて、多くの有権者がどの政党に投票しようか決めかねている中で、安倍首相は6月1日に記者会見を開き、消費税10%への引き上げ時期を2017年4月から2019年10月に2年半(30ヵ月)延期することを決定した。

 増税の再延期について、経団連の榊原会長は「日本経済を再びデフレに戻さない、経済再生を最優先するという安倍総理の揺るぎのない強い決意を示されたものと理解する」と評価した一方で、日本商工会議所の三村会頭は「消費税を引き上げられないようなら、日本は財政的に破綻する」と批判し、経済同友会の小林代表も「再延期は政治判断だと思うが、納得できるように国民に説明する責任がある」と述べた。

 

 しかし、毎日新聞が2016年5月28~29日に行った世論調査で、安倍首相が消費税増税の延期を検討していることについて、延期に賛成している人は66%と、反対の25%を大きく上回った。毎日新聞と同時期に実施された共同通信の調査でも、増税延期に賛成する人は70.9%と、反対の24.7%を大きく上回っており、国民の多くは政府の説明がなくても増税延期を納得しているのである。

 

 また、財務省は「増税延期による国債の暴落」を懸念していたが、消費税の引き上げ時期が2017年4月に延期されても、2019年10月に延期されても国債が暴落するような事態は発生しなかった。そろそろ国民に嘘をついて、増税を煽るような手法はやめるべきではないだろうか。

 むしろ、2016年の夏から秋にかけて、イギリスの国民投票でEUからの離脱を決定したり、アメリカの大統領選でトランプ氏が勝利したりと、世界に衝撃を与えるニュースが続いたため、日本が消費税増税を延期したのは賢明な判断だったと言えるかもしれない。

 

 

野党共闘が成功したとは言えない参院選

 2016年7月10日に実施された参院選では、安倍首相が消費税増税を延期し、「憲法改正」や「安保法制の是非」といった重大争点に触れなかったことが功を奏して、自民党は115議席から121議席へと6議席増やして勝利した。今回の選挙では自民党公明党におおさか維新の会などを加えた「改憲勢力」の議席が3分の2を超えたため、安倍内閣が目指す憲法改正が現実味を帯びてきた。

 野党では、民進党日本共産党などが安保法制を廃止させるために選挙協力を行い、福島と沖縄の選挙区で「野党統一候補」が現職の自民党議員に勝利するなど一定の成果は表れたものの、安倍内閣に緊張感を与えるまでには至らなかった。

 

 今回の参院選では、選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられた後に実施された初めての選挙だったが、読売新聞が年代別に比例選挙をどの政党に投票するか調査したところ、18~19歳は自民党に投票すると回答した人が他の世代よりも多かったという(写真を参照 「自民、比例第1党の勢い…10代の半数与党支持」 2016年7月6日より)。

 参院選での18~19歳の投票率は46.78%で、20代(35.60%)と30代(44.24%)よりは上回ったものの、40代(52.64%)、50代(63.25%)、60代(70.07%)、70代(60.98%)といった中高年層より低いため、「自民党は若者から支持されている」とは一概に言えないだろうが、少なくとも民進党共産党が呼びかけた「野党共闘」のメッセージが若年層に届いていないことは事実のようである。

 

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 2015年の夏には、安保法制に反対するために結成された学生団体の「SEALDs」が話題になったが、NHKが18~19歳を対象にした『政治と社会に関する若者意識調査』(同年11~12月実施)で、「あなたは、政治にかかわる集会やイベントに参加したことがありますか」と質問したところ、「参加したことがある」と答えた人は2.3%に留まり、「参加したことはないが、今後参加するかもしれない」が38.3%だった一方で、「参加したことがないし、今後も参加するつもりはない」は過半数の59.0%を超えていた。

 つまり、国会前で抗議デモを繰り広げていた「SEALDs」は決して若者の代表ではなく、10代や20代の多くは選挙があれば投票に行くが、政治活動までは興味を持っていないのが実情ではないだろうか。

 

 

若者の多くは景気や雇用を重視している

 また、朝日新聞が2016年2~4月にかけて、18~19歳の3000人に「今の政治で力を入れてほしいこと」を複数回答で挙げてもらうと「景気・雇用」(72%)が最も多く、次いで「年金・医療などの社会保障」(61%)が多かった(図28を参照)。

 ちなみに、同じ調査で憲法改正の是非について尋ねたところ、「変える必要はない」が57%と半数を超え、憲法9条についても「変えないほうが良い」は74%で、「変えるほうが良い」の20%を大きく上回った。

 

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 このことから、7月の参院選で野党が勝てなかったのは安保法制廃止のアピールが足りなかったのではなく、安倍内閣に対抗できる経済政策を打ち出せなかったことが原因だと考えられる。特に民進党は、岡田元代表が消費税10%への引き上げについて「予定通り実施すべき」と容認する発言をしており、「自民党増税に慎重だが、民進党増税に賛成している」というイメージを有権者に与えてしまったのではないだろうか。

 

 日本共産党に関しても、6月26日放送のNHK日曜討論」で藤野保史議員が、防衛費について「人を殺すための予算」と発言したことが問題になった。この発言を受けて、藤野氏は共産党の政策委員長を辞任したが、こうした防衛費を敵視する考え方は自衛隊の方々に失礼なだけでなく、日本共産党のイメージ悪化に繋がる可能性が高いと思われる。

 そもそも、第二次世界大戦前であれば税金は戦費調達に使われていたが、現代の消費税収のほとんどは法人税減税の穴埋めに消えているのであって、防衛予算に使われているとは言い難い。日本共産党は今後、改憲反対や防衛費削減といった軍事に関する主張よりも、消費税増税反対、TPP批准反対、原発再稼働反対といったより身近な問題こそ優先して主張すべきではないだろうか。

 

 自由党の小沢代表は2016年11月26日、大阪で開かれた党府連総会で早期の解散総選挙に備え、民進、共産、社民との野党共闘について年内に道筋を付けるべきだと訴えた。2017~18年に実施が予定されている次の衆院選は、蓮舫代表や野田幹事長とは別に民進党増税反対派議員が憲法改正ではなく、消費税引き上げを阻止するために共産党社民党自由党などの野党と選挙協力を行うべきだろう。

 

 

<参考資料>

安倍首相、TBS「街の声」に異議 「意図的な編集」ほのめかす

http://www.j-cast.com/2014/11/19221293.html

麻生太郎氏「利益出してない企業は運が悪いか能力ない」

http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/06/taro-aso_n_6282148.html

立党60年記念式典 安倍晋三総裁演説(全文)

https://www.jimin.jp/aboutus/convention/60th/130961.html

スティグリッツ氏「消費増税すべきでない」 国際経済分析会合

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK16H26_W6A310C1000000/

ノーベル経済学賞受賞・クルーグマン教授、消費税増税の先送り提言をする

https://www.youtube.com/watch?v=YjHYVA80uHk

本社世論調査 増税延期「賛成」66%

http://mainichi.jp/articles/20160530/k00/00m/010/038000c

内閣支持率55%に上昇 米大統領広島訪問98%評価

http://www.sankei.com/politics/news/160530/plt1605300002-n1.html

国政選挙における年代別投票率について

http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/

自民、比例第1党の勢い…10代の半数与党支持

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news2/20160705-OYT1T50109.html

政治と社会に関する若者意識調査 単純集計結果

http://www.nhk.or.jp/d-navi/link/18survey/img/0125_yoron.pdf

「格差、行き過ぎている」59% 18~19歳世論調査

http://www.asahi.com/articles/ASJ475JFLJ47UZPS003.html

4野党共闘、年内に=衆院選にらみ全国行脚-自由・小沢氏

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016112600168&g=pol