消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

デフレ不況が続いていて、自己責任論の強い日本で消費税は不向きな税制

消費税を引き下げたほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効

 2021年4月10日の日経新聞「大機小機」に「ポストコロナと『国民連帯税』」というタイトルのとんでもないコラムが掲載された。

 その内容は「新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)は、同時に進行していたデジタル社会の変革の流れと相まって、生活様式や考え方に大きな影響を与えた」とし、「最重要はコロナ禍で膨張した歳出の後始末である。東日本大震災時には国民が連帯し、所得税や住民税などの時限的付加税で復興費用を25年かけて賄う仕組みを作った。コロナ対策でも国民が連帯して政策を支える証しとして同様の仕組みを作り、後世代へのつけを避けるべきだ。『国民連帯税』として国民全員が応分の負担をするという考えがポストコロナの思想を育む」と復興増税を煽っているのだ。

 

 同記事では米国のバイデン政権が法人税率の大幅な引き上げを提案したことを紹介しているが、日本では震災後でも法人税の基本税率が2011年度の30.0%から2018年度の23.2%まで引き下げられている。コロナ増税として法人税が引き上げられる可能性はほとんどなく、結局のところ日経新聞は「国民連帯税として消費税を15~20%まで引き上げろ」と言いたいのだろう。

 だが、日本では2013年以降に日銀が金融緩和を行って民間銀行の国債を買い取り、国民に返す必要のある負債は急速に減少しつつある。2021年3月末現在、すでに日本国債の48.4%は政府の子会社である日銀が所有していて、このぶんは政府が返済や利払いを行う必要はないのだ(図9を参照)。2010年当時は国債のうち日銀が保有する割合は8.0%程度だったので、この10年間で日本の財政は急速に改善してきていると言えるだろう。

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 また、日経新聞が言う「後世代へのつけを残す」というのは政府の負債が増えることなのだろうが、国際的な財政再建の定義は政府の負債対GDP比率が減少することで名目GDPが増加すれば政府の負債が増えても財政健全化は達成できるのだ。例えば2021年1~3月期の名目GDPは544.4兆円だが、もし安倍政権が緊縮財政を行わず消費税が5%のままだったら日本経済はどうなっていただろうか。

 名目家計最終消費支出(持ち家の帰属家賃を除く)の推移を見ると、東日本大震災が発生した2011年1~3月期の225.6兆円から消費税が8%に増税される直前の2014年1~3月期の248.2兆円まで3年間で22.5兆円も増加した。2014年4月以降もこれと同じペースで消費の増加が続いていたら、2021年1~3月期の家計最終消費支出は300.8兆円にのぼっていたことが予想される。そうなると消費税が5%のままだったら、2021年1~3月期の名目GDPは68.5兆円も押し上げられて612.9兆円になっていただろう。

 安倍政権が目標に掲げていた「名目GDP600兆円」も増税がなければ達成されていたことになる(図10を参照)。

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 名目GDPが544.4兆円から612.9兆円に増加すれば当然のことながら「政府の負債対GDP比率」も減少する。財務省によれば2021年3月末時点で国債と借入金、政府短期証券を合計した政府の負債は1216.5兆円で対GDP比率は223.5%となっているが、もし消費税を増税せず名目GDPが612.9兆円だったら「政府の負債対GDP比率」は198.5%まで縮小したことになる。消費税を増税するどころか引き下げたほうが名目GDPは増加して財政再建にも有効なのだ。

 

 

日本人の自己責任論は新型コロナウイルスでも浮き彫りになった

 私は橋本政権から20年以上もデフレ不況が続いていて、先進国の中で最も貧困問題に対して自己責任論が強い日本で消費税は不向きな税制なのではないかと考えている。例えば、米国のピュー・リサーチ・センターが2007年に行った調査によれば、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべきか?」の質問で「全くそう思う」と回答した人はスウェーデンが56%、イギリスが53%、ドイツが52%、フランスが49%、カナダが40%、韓国が30%、アメリカが28%なのに対し、日本はたったの15%程度である。

 また、2001~2021年の名目GDPの伸び率は韓国が2.83倍、アメリカが2.14倍、カナダが2.09倍、スウェーデンが2.08倍、イギリスが1.97倍、ドイツが1.63倍、フランスが1.57倍なのに対し、日本が1.05倍と先進国最低の水準である(図11を参照)。

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 アメリカ、韓国、カナダは「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が40%以下と比較的に自己責任論が強い一方で、2001~2021年の20年間で名目GDPが2倍以上も増加して健全に経済成長していると言える。それに対し、フランス、ドイツ、イギリスは2001~2021年の名目GDPが2倍未満と経済が低迷している一方で、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が50%近くもいて比較的に自己責任論が弱いと言えるだろう。

 更に、スウェーデンが高負担・高福祉社会で成り立っているのは2001~2021年の名目GDPが2倍以上も成長し、「国や政府が自力で生活できない人を助けてあげるべき」と回答した人が56%も存在していて共助や公助の精神が根付いているからではないだろうか。

 

 ピュー・リサーチ・センターの調査は既に14年前のものとなっているが、日本の自己責任論は2010年代に入ってから更に増幅している事実を知っている人は少ないだろう。例えば、ベネッセと朝日新聞が4~5年に一度実施している「学校教育に対する保護者の意識調査」によれば、豊かな家庭の子供ほどより良い教育を受けられる傾向があることについて、「当然だ」「やむを得ない」と回答した小中学生の保護者が2008年の43.9%から2018年の62.3%まで増加した。

 2008年から2018年にかけては、リーマンショック東日本大震災の発生など社会情勢が大きく変わり、不況や災害によって教育環境の変化を強いられる家庭が多かったことに加え、政府が社会保障の充実を掲げて消費税増税を強行したにも関わらず、教育格差を問題視する声はむしろ弱まっているのだ。

 

 更に、日本人の自己責任論は新型コロナウイルスでも改めて浮き彫りになったと言えるだろう。社会心理学者の三浦麻子氏などの研究グループが2021年3月に行った意識調査によれば、「新型コロナウイルスに感染する人は自業自得だと思う」という質問に対して「そう思う」(「非常にそう思う」「ややそう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計)と答えた人の割合は、アメリカが5.5%、イギリスが2.5%、イタリアが3.0%、中国が3.5%なのに対し、日本は17.3%にものぼったことが明らかになった。

 逆に「全くそう思わない」と答えた人の割合は、アメリカが50.4%、イギリスが71.0%、イタリアが63.5%、中国が64.7%なのに対し、日本は22.3%程度と他国に比べて著しく低くなっている(図12を参照)。

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国会議員や官僚に危機感を抱かせることが消費税の廃止にもつながる

 日本人の自己責任論がここまで増幅したのは、間違いなくSNS上での誹謗中傷が背景に存在するだろう。私は2005年頃からインターネットで政治について調べているが、SNS上での誹謗中傷が過激化した明確なターニングポイントは2010年にあると思っている。

 2010年は政治的にも変化の大きかった年で、まず6月9日に自民党が熱烈な支持者を集めた「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC)を発足させている。民主党菅直人首相が6月14日に麻生~鳩山政権が廃止したプライマリーバランス黒字化目標を復活させ、大阪維新の会橋下徹代表は7月6日に「市役所は税金をむさぼり食うシロアリ」と暴言を吐いたことが問題になった。

 当時、2ちゃんねるでは「公務員は自殺しろ」「貧困は自己責任だ」といった差別的な書き込みを多く見かけるようになっていたが、その背景には緊縮財政を強化する政治的な動きがあったことは間違いないだろう。

 

 また、SNS上の自己責任論が増幅した原因の一つに、ポータルサイトを運営する企業側が新自由主義を推奨している部分もあるのではないかと思っている。例えば、2021年7月1日にNPOほっとプラス理事の藤田孝典氏がYahoo!ニュースとの契約を解除されたことを報告した。藤田氏は新型コロナウイルス景気対策として国民に毎月10万円を配る一律給付金を提唱していて、最近では積極財政を推進する衆議院議員の安藤裕氏や経済学者の井上智洋氏との対談も行っている。

 藤田氏がYahoo!との契約を解除された理由は、主に記事を発信する際にパソナ会長の竹中平蔵氏に対する批判を削除するように求められたことだと説明している。私は2010年頃からYahoo!ニュースのコメント欄を見ているが、共通しているのは極めて新自由主義的な書き込みが上位に来ていて自民党日本維新の会の支持者が非常に多いことである。特に、2020年11月に実施された大阪市廃止の住民投票では不自然に賛成派の書き込みが集中していた。

 

 SNS上で新自由主義的な書き込みが集まりやすいのは、炎上マーケティングに代表されるように過激な内容が却って注目されるということも多いからだろう。田中辰雄氏と浜屋敏氏が2017年8月に行ったアンケート調査によれば、「ネットで実りある議論をするのは難しいと思うか」という質問で「はい」と答えた人が47%、「どちらでもない」と答えた人が33%にのぼっていたのに対し、「いいえ」と答えた人はわずか7%しかいなかった。

 更に、2019年5月に行った追加調査(対象者1万6900人)では、憲法9条改正の是非について「強く賛成」が7.1%、「強く反対」が14.0%、「どちらでもない」が33.3%だった。それに対し、SNS上で政治的な発信を積極的にしている人に限った調査(対象者6311人)では「強く賛成」が26.8%、「強く反対」が17.8%、「どちらでもない」が18.7%と、一般の調査と比べて憲法9条改正に賛成する人は3倍以上も増加し、どちらでもない人は半分程度に減少している(図13を参照)。

 SNS上では「戦争反対、憲法を守ろう」という理想論より「人権を無視し、憲法を破棄し、戦争できる国を作る」という力強い言葉のほうが注目を集めやすいようだ。

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 2010年代に入ってから増幅してきた自己責任論に対抗するためには、まず身近な家族や友人と政治について会話する機会を増やすことから始めるのが良いと考えている。社会問題について積極的に話し合いをすれば、たまには他人と意見が衝突するときもあると思うが、SNS上で顔の見えない相手と意見をぶつけて喧嘩するよりはよっぽど有意義な議論になるだろう。

 日本人の多くが政治経済に関心を持って、国会議員や官僚に危機感を抱かせることが将来的な消費税の廃止にもつながると思っている。

 

 

<参考資料>

三橋貴明 『世界でいちばん!日本経済の実力』(海竜社、2011年)

薬師院仁志ポピュリズム 世界を覆い尽くす「魔物」の正体』(新潮社、2017年)

田中辰雄、浜屋敏 『ネットは社会を分断しない』(KADOKAWA、2019年)

津田大介香山リカ安田浩一 他 『安倍政権のネット戦略』(創出版、2013年)

 

国債等の保有者別内訳(令和3年3月末)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

国民経済計算 2021年1-3月期 2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2021/qe211_2/gdemenuja.html

国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(令和3年3月末現在)

https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/202103.html

Pew Global Attitudes Report October 4, 2007(18、95ページ)

http://www.pewresearch.org/wp-content/uploads/sites/2/2007/10/Pew-Global-Attitudes-Report-October-4-2007-REVISED-UPDATED-5-27-14.pdf

学校教育に対する保護者の意識調査

https://berd.benesse.jp/up_images/research/Hogosya_2018_web_all.pdf

大阪大学大学院人間科学研究科三浦研究室

http://team1mile.com/asarinlab/

首相、基礎的収支「20年度までに黒字化」

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFS14031_U0A610C1MM8000/

みなさんに大事なお知らせがあります

https://www.youtube.com/watch?v=R0RvmwVX_JY