消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

消費税増税の布石を打つ菅義偉首相と消費税廃止を推進する玉木雄一郎代表

菅首相は消費税を廃止して公営住宅を増やしていくべきだ

 菅義偉氏が9月16日に総理大臣指名選挙を経て第99代の首相に就任した。菅氏は秋田の高校を卒業した後に集団就職で上京し、世田谷のダンボール工場で働きながら大学に通い、そこで労働者の生活環境に対して問題意識を抱いて政治家を志した苦労人だと説明されているが、果たしてそのイメージは本当だろうか?

 

 菅首相は早速、9月10日放送のワールドビジネスサテライトで消費税増税について「引き上げると発言しないほうが良いだろうと思いましたが、しかしこれだけの少子高齢化社会、どんなに私ども頑張っても人口減少は避けることできません。そうした中で将来的なことを考えたらやはり行政改革は徹底して行った上で国民の皆さんにお願いをして、消費税は引き上げざるを得ないのかなということを率直に申しました」と述べている。

 つまり、菅氏は「日本は人口減少で衰退します!だから増税!」という典型的な人口減少衰退論に陥っているのだ。はっきり言って、菅義偉氏の自虐的な経済思想は2010年に菅直人首相が「もう日本は経済成長できないから、大きな不幸がないだけでも有り難い」という意味の最小不幸社会を提唱して、消費税増税を推進したのと同じように感じられる。

 

 しかし、ウクライナルーマニアなどは日本より人口減少のペースが速いにも関わらず、名目GDPは1998~2018年で20倍以上も増加している(図78を参照)。日本のデフレ不況が長期化しているのは人口減少ではなく、90年代以降の自民党が緊縮財政を続けてきたことが原因なのだ。

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 また、菅首相はその後の記者会見で「安倍前首相はかつて『今後10年くらい消費税を引き上げる必要はない』と発言している。私も同じ考えだ」と述べたが、これもすぐ裏切られる可能性が高いだろう。安倍前首相は2012年6月のメールマガジンで「名目成長率が3%、実質成長率が2%を目指すというデフレ脱却の条件が満たされなければ消費税増税を行わないことが重要」と述べていたが、実際にはデフレ脱却前に消費税を増税してしまった。菅政権でも次の衆院選が終わってから増税に向けた議論が始まると思っておいたほうが良いだろう。

 

 だが、日本政府が消費税廃止を躊躇している間にもコロナ不況はどんどん深刻化しつつある。2020年4-6月期の実質GDP成長率は1次速報値のときに年率マイナス27.8%と戦後最悪の落ち込みだったが、2次速報値ではこれが年率マイナス28.1%に悪化してしまった。リーマンショックのときは2009年1-3月期の実質GDP成長率が年率マイナス17.8%で、民間企業の平均年収が2008年の429.6万円から2009年の405.9万円まで対前年比5.5%(23.7万円)も減少したが、これをコロナ不況に当てはめると民間企業の平均年収は2019年の436.4万円から2020年の398.4万円まで対前年比8.7%(38.0万円)も減少することが予想される。

 消費者物価指数を見ても2020年8月のコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)は対前年比マイナス0.4%と消費税増税の影響を含めてもデフレ不況に逆戻りしていることが明らかで、この状況で消費税廃止を提言できないような政治家や経済学者は逆に国民を貧困化させたいのではないかと思ってしまう。

 

 更に、菅首相は2015年4月7日に行われた参議院内閣委員会で山本太郎議員(当時)から「最近の若者は根性が足らぬというふうにお感じになったりしますか」と質問された際に、「根性が足りないということでありましたけれども、やはり自分が何をやるのかと、そういうものをやはりしっかり持って頑張る方が少なくなっていることは、これは事実かなというふうに思っています。ただ、やはり親に頼るとかそういう方が増えてきているのかなという思いを私はしないわけじゃないです」と発言している。

 つまり菅首相は「最近の若者は親に頼ってばかりで、夢のために頑張る人が少なくなっている」と言いたいようだ。菅首相は苦労人と言われているが、高度経済成長期に青春を過ごした1948年生まれの団塊世代であり、努力は必ず報われると思い込んでいる部分があるのかもしれない。

 

 しかし、自民党改憲案の24条には「家族は互いに助け合わなければならない」という条文が新設されている。憲法に家族の助け合い義務を明記するのは、成人しても親と同居するパラサイトシングルを政府が推奨しているということでもある。社会学者の山田昌弘氏は、長引くデフレ不況の影響で賃金が上がらず弱者に転落した若者を親が面倒見ざるを得なくなっていると指摘している。

 また、親に頼らざるを得ない若者が増加しているのは政府の住宅政策が貧弱で一人暮らしができないという背景も存在するのではないだろうか。例えば、全借家に占める社会住宅の割合はオランダが75.0%、オーストリアが57.1%、スウェーデンが50.0%、イギリスが48.1%、フランスが42.2%、デンマークが42.1%、フィンランドが40.6%、イタリアが20.0%、スペインが15.3%なのに対し、日本は14.0%程度でドイツも7.1%だが、日本が住宅政策の貧弱な国の一つであることは事実だろう(表5を参照)。

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 日本で公営住宅が少ないのは国政選挙で住宅政策が争点になったことが一度もなく、住宅は最大の福祉制度だと考える人がほとんどいないことも無関係ではないのかもしれない。貧困問題に取り組むビッグイシュー基金では2014年、住まいの貧困についての調査報告書「若者の住宅問題―住宅政策提案書(調査編)」をまとめた。この調査では、首都圏・関西圏の8都道府県に住む年収200万円未満しかないワーキングプアと呼ばれる層の若者たち1767人(20~39歳の未婚者)に対して、インターネットを通してアンケートを行うというものだった。

 そこで明らかになったのはまず低所得者の雇用形態で、非正規雇用が47.1%、無職が39.1%であり、正規雇用はわずか7.8%に過ぎないという衝撃の事実だった。しかも、彼らのうち親と同居しているのは77.4%であり、実に4人に3人が実家を出られない状況に置かれていることも読み取れた。親との同居の理由(複数回答)については「住宅費を負担できない」が53.7%と高く、「住宅費の負担の軽減のため」も9.3%になっている。つまり、住宅費の負担が大きいため若者世代は実家に住み続けざるを得ないというのが現実なのだ。

 菅政権は携帯電話料金の引き下げを目玉政策に掲げているが、そうした小手先の政策だけでなく少子化対策のためにも消費税を廃止し、公営住宅を増加させていくべきではないだろうか。政府が公営住宅を増やせば、費用の問題で一人暮らしができなかった若者の自立を促すことにもつながると思っている。

 

 

国民民主党は消費税廃止を目玉政策として掲げるべきだ

 次の衆院選は早ければ今年中に実施される予定だが、最近気になっている政治家に国民民主党玉木雄一郎代表がいる。彼は極めて現実的な保守政治家で、憲法について「何も変えない、何も足さない、何も引かないという原理主義的な護憲論は、結果として安倍政権による解釈改憲を許したのです」と述べ、平和主義を再定義する改憲議論が必要だと提言している。

 今年6月に国民民主党に入党した山尾志桜里議員も「憲法9条があるにも関わらず、専守防衛を逸脱し集団的自衛権の一部を認める安保法制は成立してしまった。憲法の本質的役割は権力統制にあるにも関わらず、最も権力が先鋭化する自衛権という実力を現状の憲法9条で統制することができなかった。ならば、憲法の統制力を強化する憲法改正を本気で検討すべきではないか」と述べている。憲法改正についてタブー視しない国民民主党は、ただの護憲政党になってしまった立憲民主党とは一線を画していると言えるだろう。

 

 また、原発に関しても「廃炉を担う人材、技術、財源の問題を含めて現実的な政策を立てなければ、原発ゼロは掛け声だけで終わってしまう可能性もあります」と述べた上で、LNG液化天然ガス)などによる地域内での発電を核としたスマート・コミュニティを推進している。福島第一原発事故から9年半が経過したが、残念ながら国政選挙では原発の是非について全く議論されなくなってしまった。そのため、経済成長を重視しながら現実的な原発ゼロを目指している国民民主党原発に反対する保守派にとっても評価されるべき政党ではないだろうか。

 更に玉木氏は経済評論家の三橋貴明氏との対談で、小泉政権以降の自民党が進めてきた構造改革を批判し、「食料の安全保障を憲法に明記すべき」と発言していて、大きな政府によって中間層の所得を分厚くした1970~80年代の自民党のような政治家だとも言えるだろう。一部では国民民主党日本維新の会が合流する可能性を指摘する人もいるが、農協改革を推進する維新と農業の保護を訴える玉木氏とでは政策に明確な違いが存在するのである。

 

 この他にも、玉木氏は今年1月22日の通常国会習近平国賓来日について、「日本の主権に対する挑戦を含め、中国の覇権主義国際法や民主主義の基本的価値やルールに反する行動を容認するという誤ったメッセージを送ることにならないか」と厳しく批判している。これに対して安倍前首相は「日本と中国は地域や世界の平和と繁栄にともに大きな責任を有している。習主席の国賓訪問もその責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示す機会としたい」と述べたが、それから新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化したにも関わらず安倍政権は習近平に配慮して3月5日まで中国人の入国禁止を決断できなかった。日本でコロナの感染者を8万人以上も増やしたのは中国からのインバウンドに依存していた安倍政権の責任であり、1月22日の時点で習近平国賓来日を批判した玉木氏は先見性があったと言えるのではないだろうか。

 NHK世論調査によれば2020年9月の時点で国民民主党の支持率は0.1%程度だが、これだけ保守的な政策を打ち出しているのに支持率が伸びないのは日本が「左傾化」していることが原因だと言えるかもしれない。

 

 だが、玉木氏の政策にはまだまだ不十分な部分も多いように感じられる。例えば、少子化対策について結婚したくてもできない方々への支援や、不妊治療の保険適用といった第1子対策にまず力を入れ、そうした政策を前提にしつつ、特に第3子以降の子供に一人当たり1000万円の大胆な経済支援を提案している。しかし、子供を3人以上育てられる家庭は所得に余裕のある中間層や富裕層が多く、「安倍政権の7年8ヵ月とMMT(現代貨幣理論)を検証するの記事でも述べた通り少子化の原因は90年代以降に子育て世代の男性が貧困化し、生涯未婚率が上昇しているからだろう。

 玉木氏は少子化を改善させたフランスの家族手当が第2子から支給され、第3子から大きく加算される制度になっていることを取り上げているが、フランスは日本より経済成長率が高く1998~2018年の名目GDP成長率は日本が年間平均0.13%なのに対して、フランスは年間平均2.94%にものぼっている(図79を参照)。

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 フランスでは子供が3歳になったときから義務教育が始まるなど、対GDPの公教育支出の割合(2016年)が4.5%と日本の2.9%より多く、政府の総支出も1998~2018年にかけて日本が0.98倍と縮小していったのに対し、フランスは1.84倍まで拡大を続けている。つまり、日本で少子化を改善させるためには福祉政策だけでなく、消費税廃止などの積極財政で子育て世代の所得を引き上げる必要があるのだ。

 玉木氏は今年7月にドイツやイギリスが新型コロナウイルス景気対策として付加価値税の引き下げを決定したことを受けて、「消費税を5%に減税するだけでなく、半年間0%なども検討したい」とツイッターで述べた。だが、消費税廃止を優先的に掲げるれいわ新選組と比較すると国民民主党の減税政策はまだ弱々しく、玉木氏が本当に消費税廃止を実現したいのであれば目玉政策としてもっと高らかに訴えるべきではないだろうか。

 

 また、玉木氏は「とにかく最優先で子育てや教育に国が大きく財政支援を投じる必要がある」として子ども国債の発行を提唱し、新型コロナウイルス景気対策としても国債発行を財源に真水100兆円の財政出動を行うとしている。財務省も2002年に格付け会社ムーディーズが日本国債の格下げを行ったときに、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と抗議する意見書を送付しており、デフレ期に国債を発行して社会保障の財源を捻出するのは真っ当な経済政策だと言えるだろう。

 最近では米国民主党の最年少下院議員であるオカシオ=コルテス氏などがインフレ率を調整しながら国債を発行して経済を成長させていくMMT(現代貨幣理論)を支持しており、日本の野党もMMTに基づいた反緊縮的な政策を積極的に取り入れる必要があるのではないだろうか。

 私はもともとれいわ新選組山本太郎代表を応援していたが、彼一人だけが消費税に反対していても消費税廃止は実現できないだろう。そのため、現職の国会議員として消費税廃止や財政出動を推進する国民民主党玉木雄一郎代表を応援しているのである。

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<参考資料>

鈴木哲夫 『ブレる日本政治』(ベストセラーズ、2014年)

藤田孝典 『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社、2016年)

山田昌弘 『なぜ日本は若者に冷酷なのか』(東洋経済新報社、2013年)

玉木雄一郎 『令和ニッポン改造論』(毎日新聞出版、2019年)

      『#日本ヤバイ』(文藝春秋、2019年)

山尾志桜里 『立憲的改憲』(筑摩書房、2018年)

 

菅氏 消費税「将来は引き上げ必要」

https://news.yahoo.co.jp/articles/42b07b84638b1e731137dfdf0f8d8370f3798e5e

消費増税、10年は不要 菅氏「安倍首相と同じ考え」

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020091100595&g=pol

コロナでGDP年率27.8%減 平均給与38万円ダウンの懸念

https://news.yahoo.co.jp/articles/1b7617d1000c956966714f8176539aab4dee0217

国民経済計算 2020年4-6月期2次速報値

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2020/qe202_2/gdemenuja.html

民間給与、7年ぶり減少 平均436万円

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092901176&g=soc

消費者物価指数 時系列データ

https://www.stat.go.jp/data/cpi/historic.html

第189回国会 参議院 内閣委員会 第4号 平成27年4月7日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118914889X00420150407&current=1

橋本駅北口デッキ れいわ新選組 山本太郎 2020年9月9日

https://www.youtube.com/watch?v=YLclp0y5i14

三橋貴明×玉木雄一郎構造改革って考え方が古いよね

https://www.youtube.com/watch?v=PcUrphzuXuw

【詳報】首相「家族で楽しめるIR」 カジノ利権批判に

https://www.asahi.com/articles/ASN1Q32C2N1PUTFK012.html

NHK世論調査 内閣支持率 NHK選挙WEB

http://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/

Nominal GDP forecast

https://data.oecd.org/gdp/nominal-gdp-forecast.htm

フランスの合計特殊出生率の推移

https://ecodb.net/country/FR/fertility.html

人口動態調査 e-Stat 政府統計の総合窓口

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450011&tstat=000001028897

教育への公的支出、日本は35か国中最下位

https://resemom.jp/article/2019/09/11/52413.html