消費税増税に反対するブログ

消費税の財源のほとんどが法人税減税に消えている!消費税を廃止し、物品税制度に戻そう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

富裕層に増税して日本の軍事力を高めよう

消費税増税社会保障が充実するとは思えない

 9月25日、安倍首相は記者会見を開き、10月22日に衆議院選挙を実施することを発表した。2014年の衆院選と2016年の参院選では、選挙の前に消費税の引き上げ時期を延期したが、今回は増税延期の決断をせず、2019年10月の消費税引き上げを明確に争点化してきたと言えるだろう。

 安倍首相は「消費税収を全額、社会保障に使う」と言うが、その一方で自民党改憲案24条には『家族は、互いに助け合わなければならない』という条項が新設されており、これを削除しない限りどれだけ自民党が「教育無償化」や「介護離職ゼロ」を掲げても、『家族の問題は家族だけで解決してね』と自己責任論で見捨てる改憲案と矛盾することになる。

 

 また、自民党の中には麻生副総理が医療費負担について「食いたいだけ食って、飲みたいだけ飲んで、糖尿病になって病院に入っているやつの医療費はおれたちが払っている。公平ではない」(2013年4月24日の発言)と述べたり、山田宏議員が待機児童問題について「生んだのはあなた。育児は親の責任」(2016年3月31日の発言)と述べたり、大西英男議員が受動喫煙防止策について「がん患者は働かなくていい」(2017年5月15日の発言)と述べたりなど、社会保障の問題において自己責任を強要する発言が多く見られる。

 

 更に、『社会保障の充実を阻む「自己責任論」』でも述べたように、日本は先進国の中で最も貧困問題に対して自己責任論が強く、ベネッセと朝日新聞が小中学生の保護者を対象に行った調査でも、「豊かな家庭の子供のほど、より良い教育を受けられる傾向」があることについて、「当然だ」「やむを得ない」と回答した人が2008年の43.9%から2012年の59.1%まで増加している。

 日本で社会保障が充実しないのは消費税が安いからではなく、経済格差を容認し、貧困問題を自己責任で見捨てる国民の意識の問題なのだ。

 

 そもそも、都議選の惨敗から3ヵ月程度で衆議院を解散したのは、8月頃から北朝鮮の弾道ミサイルがいつ日本に落下してもおかしくないほど、国際情勢が緊迫化してきたことも背景として存在するだろう。

 もし、今後も北朝鮮がミサイルを発射して挑発を続けるようなら、安全保障に対する国民の不安の高まりから、財務省が「軍事費を増やすために消費税を引き上げろ!」と言い出す可能性も否定できない。実際に、明治時代から昭和初期まで税金は戦費調達のために存在していて、消費税の前身である「物品税」や、給料から所得税を控除する「源泉徴収」は戦時中の1940年に導入されているからだ。

 2011年3月に発生した東日本大震災直後の「復興増税」のように、どんな汚い手を使ってでも増税を煽ってくる財務省やマスメディアは許しがたいが、これだけ北朝鮮情勢が緊迫化する中で日本共産党社民党のような「消費税を引き上げる前に、軍事費を削減せよ」と主張するリベラル政党に支持が集まるとも思えない。

 

 

富裕層に増税して軍事費の財源を捻出すべき

 そこで、私は「所得税最高税率引き上げを財源として、防衛関係費を大幅に増額すること」を提案したい。例えば、世界恐慌の真っ只中だった1930年代のアメリカでは、当時のルーズベルト大統領がニューディール政策を行う財源として、所得税最高税率を24%から63~79%まで引き上げ、1950年代のアイゼンハワー大統領の時代には冷戦における軍事費を捻出するために、最高税率を91%まで引き上げている。

 この他にも、不動産に対する相続税率は1920年代の20%から1950年代の77%まで引き上げられ、法人税率も1929年の14%から1955年の45%まで増税された。戦後の高度経済成長期、日本人が憧れたアメリカの豊かな中流階級は、富裕層や資産家に高い税金を課して所得格差を解消したことで生まれたと言えるだろう。

 

 所得税最高税率を引き上げると、企業経営者たちの中には「どうせ税金で取られるなら自分が高額の報酬を受けるより、社員に還元したほうがマシだ」と考え、従業員の給料を上げて社内の福利厚生を充実させたほうが、会社にとってメリットが大きいのではないかという意識が働く。

 実際に、日本は2015年に課税所得4000万円以上の富裕層に対して、最高税率を40%から45%に引き上げた影響で、消費税増税による個人消費の大幅な落ち込みにも関わらず、民間企業の平均年収は2014年の415.0万円から2016年の421.6万円まで、2年間で6.6万円上昇している。

 

 消費税増税の賛成派は「所得税最高税率を引き上げると、富裕層の海外流出を招いて日本経済の活力が失われる」と言うが、年収1000万円以上の給与所得者は2014年の199.5万人から16年の208.2万人まで8.7万人増加し、100万ドル(約1億1000万円)以上の投資可能な資産を保有する人も、2014年の245.2万人から16年の289.1万人へと43.9万人増加しており、所得税増税しても富裕層が海外に逃げるという事態は発生していないのだ。

 

 日本の防衛関係費は、アメリカの同時多発テロ事件の翌年である2002年度の4億9557億円をピークに2012年度の4兆6453億円へと減少していたが、近年は周辺諸国の安全保障環境が厳しさを増す中で2017年度の5兆1251億円まで増加を続けている(下記の図40を参照)。

 更に、防衛省は2018年度における一般会計予算でも、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃に対する防衛強化などで5兆2551億円の軍事予算を要求し、今後も防衛関係費は増加の一途をたどると予想される。軍事費の財源として富裕層に増税すれば、景気を悪化させることなく国防を強化できるだろう。

 間違っても、太平洋戦争中の「ぜいたくは敵だ!」「欲しがりません勝つまでは」といったスローガンで国民の消費を抑制し、経済を疲弊させてはいけないと思う。

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<参考資料>

ポール・クルーグマン 『格差はつくられた 保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略』(三上義一 訳著、早川書房、2008年)

和田秀樹 『経営者の大罪 なぜ日本経済が活性化しないのか』(祥伝社、2012年)

 

自民改憲案第24条は「家族の問題は家族だけで解決してね。国は保護しないよ」、「結婚する相手や住居を選ぶ自由は無いよ」というトンデモ内容だった

https://togetter.com/li/997432

「格差はつくられた」を読む(1)

http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-108.html

平成28年分 民間給与実態統計調査

https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2016/pdf/001.pdf

アベノミクスの3年で富裕層は1.4倍増と先進国トップ

http://editor.fem.jp/blog/?p=2431

World Wealth Report  Compare the data on a global scale

https://www.worldwealthreport.com/Global-HNWI-Population-and-Wealth-Expanded-Around-the-Globe

一般会計税収の推移

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm

防衛関係費の推移

http://www.mod.go.jp/j/publication/net/shiritai/budget_h26/img/budget_01_a.jpg

平成29年度防衛関係予算のポイント

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2017/seifuan29/19.pdf

概算要求、4年連続100兆円超=社会保障、防衛費増-18年度

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082501140&g=eco