消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

消費税増税が少子高齢化を加速させる

少子化が進んだのは経済成長率が落ちたから

 厚労省が発表した推計によれば、2017年の出生数は94万1000人で戦後最少を更新する見通しになっている。前年の2016年も出生数が100万人を下回って大きなニュースになったが、昨年はそれより3万6000人も減少していたとは非常に驚きだ。

 少子化の原因として、よく挙げられるのは「結婚しない若者が増えたからだ」「女性が社会進出したからだ」「豊かな社会になったからだ」というものである。しかし、これらの理由は本当に少子化の「真の原因」なのだろうか?

 

 例えば、国立社会保障・人口問題研究所が18~34歳の未婚者に行った調査で、「いずれ結婚するつもり」と回答した割合は男性が85.7%、女性が89.3%と高く、日本の若者の結婚願望が低いとは決して言えない状況である。

 また、自民党改憲案に『家族は、互いに助け合わなければならない』という条項を追加しようとしている理由について「昨今、家族の絆が薄くなってきている」と述べているが、日本人の国民性調査で「一番大切なものは家族」と答えた人の割合は1958年の12%から2013年の44%まで増加していて、家族の絆はむしろ深まっているのだ。

 

 更に、国税庁総務省のデータによれば民間企業に勤める女性の平均年収は男性の53.7%程度に過ぎず、15~24歳女性の非正規雇用率も1991年の20.3%から2016年の51.2%まで上昇し、年収100万円以下で働くワーキングプア層(2016年、約422万人)のうち78.4%が女性である。

 バブル期の1986年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性の社会進出はほとんど進んでいないのが現実だろう。

 

 下記の図48は高度成長期から2016年までの名目GDP成長率と出生数の推移を示したもので、この図を見ると1970年代後半以降の成長率と出生数の低下には強い相関関係があることがわかる。つまり、日本で少子化が進んだのは「豊かな社会になったから」ではなく、「消費税増税など政府の緊縮財政で、経済成長率が落ちて国民が貧困化したから」と解釈することも可能なのだ。

 先進国の中で最も公的な教育予算が少なく、毎日消費される食料品にまで標準税率が適用される日本では20年以上続いたデフレ不況が少子化にも影響しているのではないだろうか。

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出生数の多い国は経済成長率も高い

 その上、消費税を導入した1989年からは少子化がより深刻になっていて、消費税3%だった1989~1996年は出生数の平均が年間121.5万人なのに対し、消費税5%だった1997~2013年の平均が年間111.3万人、消費税8%に引き上げられた2014~2017年の平均が年間98.2万人と、増税すればするほど出生数が減少していることがわかる。

 よく、増税賛成派は「少子高齢化社会保障費が足りなくなるから消費税を引き上げるべきだ」と言うが、消費税を10%以上に増税したら深刻なデフレ不況で若者が子どもを育てづらくなり、ますます少子化が加速するのではないだろうか。

 逆に、アフリカなどの発展途上国で子どもが多いのは、経済成長率が高く基本的にインフレだからとも言えるだろう。

 

 先進国でも少子化を克服したと言われるフランスは日本より経済成長率が高く、1990~2015年の名目GDP成長率は日本が年間平均0.74%なのに対して、フランスは年間平均3.08%にものぼっている。

 図49では、日本とフランスの名目GDP成長率と出生率の推移を示した。

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 フランスでは子どもが3歳になったときから義務教育が始まるなど、対GDPの公教育支出の割合(2010年)が5.9%と日本の3.8%より多く、政府の公共投資も1996~2012年にかけて日本が0.47倍へと縮小していったのに対し、フランスでは1.66倍へと拡大を続けている。

 フランスで出生率が高まったのは婚外子が多いからでも移民を受け入れたからでもなく、こうした手厚い福祉政策や公共事業で政府の投資を増やし続けているからのようだ。

 

 また、付加価値税を見ても標準税率は20%だが、食料品の軽減税率は5.5%と日本の8%より安く低所得世帯に優しいと言える。その一方で、若年失業率が非常に高いという問題こそあるものの、日本がフランスの子育て支援を参考にすべき部分は多いだろう。

 

 

デフレ不況で子どもの貧困率が悪化した

 2017年6月に公表された厚労省の「国民生活基礎調査」によれば、2015年の相対的貧困率は15.6%、子どもの貧困率は13.9%と前回の2012年よりやや改善した。

 「子どもの7人に1人が貧困」と聞いて実感がわかない人も多いと思うが、日本における子どもの貧困は主にひとり親家庭に多く、「大人が2人以上いる家庭」の貧困率は10.7%なのに対し、「大人が1人のみの家庭」の貧困率は50.8%である。また、都道府県別に見た子どもの貧困率は東京が10.3%なのに対し、大阪では21.8%、沖縄では37.5%と地域間格差が存在する。

 

 図50は、1985~2015年の子どもの貧困率と直近3年間の名目GDP成長率の平均を示したもので、この図を見ると1990年代以降の長引くデフレ不況と子どもの貧困率の悪化には強い関係が存在することが確認される。

 その一方で、子どもの貧困率が2012年の16.3%から2015年の13.9%まで改善したのは、主に世界経済の回復による名目GDP成長率の上昇が影響しているだろう。

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 また、男性の年齢別給与の推移を見ても、1997~2016年の19年間で子育て世代に当たる30代後半の年収は77.4万円、40代前半の年収は81.8万円も減ってしまった(図51を参照)。

 2012年に実施された「男女共同参画社会に関する世論調査」では、前年に東日本大震災が発生して家族の絆を再認識するムードが高まった影響で、『夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』という考え方に賛成する割合が2009年の41.3%から51.6%まで増加したが、現代では高度成長期からバブル期にかけて終身雇用が当たり前だった時代と違って夫が妻や子どもを養えるだけの経済力を持っているとは限らないのである。

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子どもの貧困問題に冷淡な自民党議員

 ちなみに、安倍首相は2017年10月の衆院選で「アベノミクスによって雇用が改善し、相対的貧困率や子どもの貧困率が低下した」とアピールしていたが、残念ながら自民党は消費税増税で子育て世代の負担を増やしたり、低所得世帯の生活保護を削減したりと子どもの貧困問題について有効な対策を行っているとは言い難い。

 自民党の中でも右派議員として知られる山谷えり子氏は待機児童問題について「世の中に待機児童は居ない、居るのは待機親であり子どもは母親と一緒に居たい」と述べ、2017年の衆院選で当選した杉田水脈氏は沖縄の子どもの貧困率が高いことについて「子どもをほったらかしにしている母親が悪い」「できちゃった結婚が多いからだ」と暴言を吐いている。

 

 つまり、彼女たちにとって待機児童や子どもの貧困は母親の責任であって、政府が解決すべき問題ではないというのが本音らしい。「社会保障を全世代型に転換する」と宣言している政党の議員がこの程度の認識では、いつまで経っても子育て世代の社会保障が充実することはないだろう。

 

 更に、安倍政権下の実質GDP成長率の平均が民主党政権よりも低いことは既に指摘されているが、名目GDP成長率(2011年基準)も安倍政権前半の2012年10-12月期~2015年1-3月期では年率平均3.04%にのぼっていたのに対し、安倍政権後半の2015年4-6月期~2017年7-9月期では年率平均1.47%まで下落してしまった。

 子どもの貧困率は2015年に運良く改善したものの、現在では消費税増税から3年以上が経ちデフレ不況に逆戻りしているのは事実で、五輪特需が終了し消費税10%引き上げの影響が表れ始める2020年以降に再び子どもの貧困率が悪化してしまう可能性も否定できない。

 

 少子化や子どもの貧困を改善するためには、まず低所得世帯の生活保護就学援助制度を充実させ、公営子ども食堂を全国に普及させるのはもちろんのこと、消費税を3~5%に減税するか食料品を外食含め全て非課税にし、教育費支出や公共事業など政府の投資を増やす必要があるのではないだろうか。

 

 

<参考資料>

髙崎順子 『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮社、2016年)

中澤渉 『なぜ日本の公教育費は少ないのか』(勁草書房、2014年)

日本財団子どもの貧困対策チーム 『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす』(文藝春秋、2016年)

杉田水脈我那覇真子「対談 沖縄の問題は日本の危機の縮図」 『ジャパニズム36』(青林堂、2017年4月)

 

17年の出生数2年連続100万人割れ 自然減40万人超え

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24959800S7A221C1000000/

第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)

http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html02.html

一番大切なものは自分の命や健康から家族へ

http://www.garbagenews.net/archives/1659143.html

民間給与実態統計調査 長期時系列データ

https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

労働力調査 長期時系列データ

http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm

OECD Data Nominal GDP forecast

https://data.oecd.org/gdp/nominal-gdp-forecast.htm

公共投資水準の国際比較

https://www.sato-nobuaki.jp/report/2017/20170529-002.pdf

平成28年 国民生活基礎調査

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という意識の変化

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2410.html

どこか焦点がずれている安倍政権の女性・少子化対策

https://yoshiko-sakurai.jp/2014/08/09/5470