消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

世界の軽減税率と消費税を引き下げた国

新聞に軽減税率は必要なのか?

 ヨーロッパでは低所得者への逆進性を防ぐために、食料などの生活必需品に軽減税率やゼロ税率が適用されている(表6を参照)。

 日本でも消費税が10%に引き上げられる2019年10月から軽減税率が導入される予定だが、対象品目は「酒類」や「外食」を除いた飲食料品と定期購読の契約をした週2回以上発行される新聞に限定しており、まだまだ範囲が狭すぎて逆進性の緩和に繋がるとは思えない。

 

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 公明党の山口代表は軽減税率について「8%が基準」と現行の消費税率より安くならないことを明言し、公明党税制調査会長の斉藤鉄夫議員も「将来、消費税は13~15%、ひょっとすると欧州のように20%になっているかもしれない。そのとき、初めて軽減税率の意味が出てくる」と述べている。

 つまり、公明党が軽減税率を推進しているのは低所得者対策のためではなく、将来的な消費税増税に向けて国民の反発を抑えることが目的だと考えて良いだろう。

 

 新聞に軽減税率が適用されるのは、日本新聞協会が以前から軽減税率の適用を求めていたからで、2013年9月26日の読売新聞でも「欧州各国では『知識に課税せず』という共通認識があり、新聞を軽減対象とする国が大半を占める。日本も先例を参考にしなくてはならない」と社説で訴えている。

 しかし、今まで政府の負債を「国民が背負った借金」だと誤解を与えてまで消費税増税を煽っていたのに、自分たちだけ軽減税率を適用してもらおうとする新聞業界は非常に身勝手ではないだろうか。

 

 それに、新聞は現代において食料と同様の「生活必需品」なのか? NHK放送文化研究所の調査によれば、平日に新聞(電子版も含む)を読む人は国民全体で1995年の52%から2015年の33%まで減少し、20代に限れば男性は32%から8%、女性は32%から3%に減っていて、とても生活必需品とは言い難い(図12を参照)。

 日本新聞協会は「知識への課税強化は確実に国のちからの低下をもたらし、我が国の国際競争力を衰退させる恐れがあります」と述べているが、それなら消費税10%への引き上げを中止し、書籍や雑誌を含めた出版物全体を非課税の対象としたほうが新聞業界にとっても好都合だろう。

 

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消費税を引き下げたカナダとイギリス

 世界には、消費税を引き上げた国だけでなく、引き下げた国も存在する。例えば、カナダの付加価値税は1991年に7%で導入され、この他にも州ごとに0~10%の州税が存在するが、付加価値税は2006年7月に6%、2008年1月に5%へと引き下げられている。2008年はサブプライム危機の影響でカナダの財政収支が悪化しており、景気後退期に税率を引き下げたのは正しい判断であったと言えるだろう。

 

 また、イギリスでも1991年から17.5%だった付加価値税を2008年12月から2009年12月まで15%に引き下げていた。これについて、当時のブラウン首相は「現在、家計で苦しんでいる全ての世帯に、我々が救済に乗り出す準備があり、あなた達の味方であることを理解してほしい」と呼びかけ、英民間調査機関の経済ビジネス調査センターも付加価値税の引き下げが、2008年12月からの3ヵ月で小売業の総売上高を増やすのに役立ったと指摘している。

 イギリスでは付加価値税の引き上げに肯定的な保守党と否定的な労働党に対立していて、社会党民主党が政権を取っても消費税増税の議論しかされない日本とは全く状況が異なると言って良いだろう。

 

 ちなみに、イギリスの付加価値税は2011年1月から20%に引き上げられたが、その影響で景気が悪化し、GDPの成長率は11年の2.0%から12年の1.2%へと下落している。当時は2008年のリーマンショックからイギリス経済が立ち直りかけていた時期だったが、付加価値税の引き上げが景気に冷水を浴びせて、結果的に2016年のEU離脱にも繋がったのではないだろうか。

 

 

消費税が存在しないアメリカ

 『日本の消費税は本当に安いのか?』の記事に掲載した間税会が配布するクリアファイルの中で、欄外に小さく「アメリカなどこの表に載っていない国でも、多くの国は消費税(付加価値税)とは異なる小売売上税、取引高税などの税制を実施しています」と書かれてあるが、アメリカでは国が定める消費税が存在せず、代わりに州ごとにセールスタックス(州税)が異なっている。

 最も州税が高いのはテネシー州の9.46%で、オレゴン州モンタナ州デラウェア州ニューハンプシャー州には州税が無く、アラスカ州地方税のみである(写真を参照)。

 

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 アメリカでもレーガン大統領の時代に消費税の導入が検討されたが、財務省は「現行の所得税制を売上税制度に変えるという案は、分配上の不公平をもたらすという理由からこれに反対する」と報告書で否定した。それから20年経ってブッシュ大統領が金持ち減税の財源に消費税の導入を構想したものの、やはり見送られた経緯がある。

 

 日本は1990年代以降、小さな政府や規制緩和によってアメリカ流の新自由主義経済を模倣してきたが、税制だけは北欧の福祉国家を目指そうとしているように感じる。2019年から消費税を10%に引き上げれば、アメリカの州税よりも高くなり「高負担・低福祉」社会に突入するのではないだろうか。

 

 

<参考資料>

岩本沙弓 『アメリカは日本の消費税を許さない』(文藝春秋、2014年)

上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』(光文社、2010年)

田村秀男 『消費増税の黒いシナリオ』(幻冬舎、2014年)

 

主要国の付加価値税の概要

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm 

軽減税率 消費税8%時に導入を目指せ

http://d.hatena.ne.jp/i-haruka/20130926/1380218153

2015年 国民生活時間調査

http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/pdf/20160217_1.pdf

通貨と消費税 カナダ・ガイド:生活

http://www.e-maple.net/guide/gst.html

アメリカの州別消費税マップ

http://us.bloomsfun.com/240302102912398280403602731246.html