消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

日本の消費税は本当に安いのか?

日本の消費税負担はヨーロッパと変わらない

 日本は消費税が安い国だと言われる。確かに、消費税が3%や5%だった時代はそうかもしれない。だが、2014年に8%へと引き上げられ、更に10%まで増税するとなるとさすがに「消費税が安い国」とは言えないはずだ。

 

 全国間税会総連合会が配布しているクリアファイルで、世界148カ国の消費税(付加価値税)を載せたものがある(写真を参照)。

 このクリアファイルを見ると誰しも「まだまだ日本は消費税が安いんだな」と思ってしまう。しかし、発展途上国の中には日本より物価の安い国も高い国もあって、消費税率だけで比較できるものではないだろう。

 

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 消費税を国際比較するなら単に税率だけでなく、国税収入全体に占める消費税の割合も比較すべきだ。2015年7月の財政金融統計月報によれば、日本の「国税収入に占める消費税収の割合」は29.4%で、ヨーロッパとそれほど変わらない。

 また、消費課税に含まれる関税やとん税(外国貿易船の入港に対して課される租税)等を加えると、「国税収入に占める消費課税の割合」は41.1%で、日本はフランスの次に消費税が高い国という見方もできる(表4を参照)。

 

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 更に、税目別で比較すると、国税に占める所得税収の割合は1990年の41.4%から2015年の28.3%に減少し、法人税収の割合は29.3%から18.9%に減少する一方で、消費税収の割合は7.4%から29.4%まで増加しており、25年間で消費税のウエイトが高くなったことが分かるだろう(表5を参照)。

 

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 また、増税賛成派がよく言うのは「日本は国民負担率が低い」という主張だ。国民負担率とは、その国の国民が税金と社会保険料をどの程度払っているのかという指標で、日本は2016年度現在、43.9%である。

 福祉が充実しているヨーロッパの国民負担率はドイツが52.6%、スウェーデンが55.7%、フランスが67.6%、デンマークが68.4%(いずれも2013年)で日本より高い。だが、日本も1970年は国民負担率が24.3%だったので、物品税の時代から消費税8%にまで増税した影響で負担率が上昇しているのだ。

 

 それに、日本は国民負担率が低い一方で、政策を通して国民のために直接支出される税金の還元もそれほど多くない(図9を参照)。

 このグラフを見ると、アメリカは「低負担・低福祉」で、ヨーロッパは「高負担・高福祉」の国が多いことが分かる。日本の税金還元率はヨーロッパよりアメリカに近いので、法人税を引き下げるための消費税増税が実施され続ける限り、国民負担率が高まっても社会保障は充実しないだろう。

 

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福祉や教育制度が充実している北欧諸国

 世界的にも高負担の北欧諸国では日本と福祉や教育制度が全く異なっており、例えば付加価値税が25%のデンマークは医療費が無料で、例え億単位の治療費が掛かっても請求されることはない。また、教育費も高校や大学まで無料で、18歳以上の学生に対しては生活費が月額約7万7000円支給される。その他にも、育児支援や障害者支援制度が充実していて、例えば子供が障害を負ったために親が仕事を辞める場合、給与の全額を国から支給してもらえる。

 デンマークと同じく付加価値税が25%のスウェーデンでも、教育費が家計から支払われることはなく、授業料、給食費、教材費用などは全て公費に任される。高校や大学への進学のためには学校の勉強だけで十分とされ、子供が放課後に通う学習塾や予備校は存在しない。医療費に関しても、病院や診療所から初診料の請求はあるが、差額ベッド代や特別医療費などの追徴金は取られず、公的医療制度が充実しているので民間保険に加入する人は少ないという。

 

 北欧諸国で「政府がたくさんの税を徴収し、たくさんのサービスを供給する」という国家モデルが成立しているのは、日本より圧倒的に人口が少ないことが挙げられるだろう。北欧諸国の人口はスウェーデンが959.3万人、デンマークが561.4万人、フィンランドが543.9万人、ノルウェーが508.4万人(いずれも2013年)とほとんどの国で日本の10分の1を下回っている。

 また、公務員・公的部門職員の人件費も対GDP比で10%を超えていて、日本よりはるかに「公務員天国」なのだ(『消費税増税と公務員給与は無関係』の図8を参照)。

 

 読売新聞は『消費税25% 北欧は納得』(2012年2月24日)という記事で、北欧諸国の「高負担・高福祉」社会を高く評価し、「増税しなければ、現役・将来世代へのツケはますます膨らむだけに、負担に見合った支援の充実が欠かせない」と結論付けているが、人口が1億人を超える日本で北欧型の福祉社会を目指しても、間違いなく社会保障地域間格差が発生し、国民全員に高福祉の恩恵が行き渡らないと思われる。

 その上、日本では常に「小さな政府」が理想とされ、国家公務員の削減が議論されても「公務員を増やせ」と主張する議員はほとんど存在しない。また、7月10日のブログにも書いたように日本は先進国の中で最も自己責任論が強く、国民が手厚い福祉を望んでいないと言われても仕方がない状況なのだ。

 

 北欧モデルを礼賛している人々が「消費税を上げれば、社会保障も自動的に充実してくれる」と思っているのなら、それは単なる妄想に過ぎないだろう。

 

 

<参考資料>

ケンジ・ステファン・スズキ 『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(角川SSコミュニケーションズ、2010年)

渋井真帆・大沢育郎 『「目隠しはずし」の税金講座』(PHP研究所、2009年)

竹崎孜 『スウェーデンの税金は本当に高いのか』(あけび書房、2005年)

 

世界の消費税(付加価値税)の税率 平成26年4月版

http://www.kanzeikai.jp/index.asp?page_no=380

財政金融統計月報 第759号

http://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou/g759/759.htm

わが国の税制・財政の現状全般に関する資料

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/

[税と安心 一体改革の行方] 消費税25%、北欧は納得

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20120224-OYTEW51621/