読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

法人税減税は本当に必要なのか?

法人税を減税しても国民が損するだけ

 安倍政権は消費税10%への引き上げを2017年4月から2019年10月に延期することを決定したが、今年度の法人税減税(基本税率23.9%→23.4%、実効税率32.11%→29.97%)に加え、2018年度から更に法人税を引き下げようとしているため、将来的な消費税増税の下準備が始まっていると言えるだろう。

 

 消費税増税の代わりに、法人税を引き下げて企業に余力が生まれたとしても、増税で消費が停滞するため、企業の利益は需要不足の日本ではなく海外へ投資される可能性が高い。

 

 例えば、日本の建設企業が海外の工場へ投資すれば、配当金として収益が日本に戻ってくるが、そのほとんどは株主に還元されたり、内部留保に蓄積されたりして、企業で働いている従業員の報酬や国内建設には向かわない。

 その結果、国民の雇用は増加せず所得格差が拡大し、資金の海外流出によって経済効果はむしろマイナスに転じるのである。

 

 実際に、日本は国内への設備投資を表す「公的固定資本形成」が1996年の42.0兆円から2015年の21.5兆円に減少する一方で、海外への投資を表す「対外直接投資」は2.9兆円から15.8兆円にまで増加した(図4を参照)。

 

f:id:anti-tax-increase:20160629131821j:plain

 

 安倍政権は「法人税減税で浮いたお金を内部留保ではなく、設備投資に回すよう企業に呼びかける」と言っているが、それなら内部留保に課税して政府の公共投資を増やしたほうが法人税を減税するより効果的ではないだろうか。

 

 

企業の海外進出と法人税の高さは無関係

 また、「法人税が高いと企業が海外に逃げ出す」というのも嘘で、日本は1987年から法人実効税率を引き下げているが、企業の海外進出はむしろ増加していて、現地法人企業数は1995年度の10416社から、2014年度の24011社にのぼっている(図5を参照)。つまり、法人税の高い時代のほうが、企業が国内で仕事をしていたのだ。

 

f:id:anti-tax-increase:20160629143811j:plain

 

 企業の海外進出がこれだけ増加しているのは、アジア諸国の人件費が安いからで、日本と数倍以上の賃金格差が存在する場合、人件費の安い地域に生産拠点を移すのは自然なことだろう。

 

 更に、国際競争力についても、スイスに拠点を置く国際経営開発研究所(IMD)の調査によれば、日本は1992年の1位から2015年の27位まで順位を落としていて、法人税の高い時代のほうが、国際競争力を発揮していたと言うことができる。ちなみに、同調査では法人税の世界一高いアメリカが、国際競争力でも1位を維持し続けている。

 

 

日本の法人税は高くない

 従来、「日本の法人税はアメリカの次に高い」「税率をヨーロッパ並みに引き下げるべき」と言われていたが、2016年現在の「世界の法人実効税率ランキング」では6位まで順位を下げていて、日本の法人実効税率は既にベルギーやフランスより安いのだ。また、法人税率を国際比較するなら事業主の社会保険料も比べなければならないが、日本の「社会保険料の事業主負担」は5.1%(2010年)でこちらもフランスやスウェーデンより安くなっている(表2と図6を参照)。

 

f:id:anti-tax-increase:20160629142905j:plain

 

f:id:anti-tax-increase:20160629144624j:plain

 

 日本の法人税は、著名な企業に対して税負担を傾斜的に軽減する「租税特別措置法」や、試験研究を行った法人が税額の優遇を受ける「研究開発減税」など多数の抜け穴が存在し、これらの措置を受けた企業の実質的な負担額はそれほど高くない。

 

 それでも、経団連などが法人税減税を求める理由として「海外では法人税の引き下げ競争が行われている」という主張がある。確かに、ヨーロッパでは1980年代以降、法人税を引き下げる国が多く、シンガポールやUAE(アラブ首長国連邦)などは、外資系企業を誘致するために法人税を非常に安くしている。だが、先進国としての歴史が長く、GDPが世界第3位の日本がタックスヘイブン租税回避地)になって外資を誘致する必要がどこにあるのだろうか?

 

 また、政府は法人税減税に加えて、外形標準課税の拡大を推進している。外形標準課税とは、2003年の税制改正により導入された法人事業税を中小企業にも課税する制度だが、当初は納税者の反発も強かったため、期末資本金が1億円を超える株式会社などに限定していた。

 しかし、近年の急速な法人税減税によって代わりの財源確保が必要となったので、消費税増税の他に外形標準課税を拡大し、赤字企業の負担を増やそうとしているのだろう。

 

 ちなみに、法人税減税や内部留保を批判すると、「大企業を悪者扱いして、そこからお金を奪い取りたいだけなのでは?」と揚げ足を取ってくる者がいるが、私はあくまでも消費税増税法人税減税が同時に行われている事実を批判しているのであって、反企業や反富裕層の立場から「法人税を上げろ」と言いたいわけではないことを述べておく。

 

 

<参考資料>

菊池英博 『消費税は0%にできる 負担を減らして社会保障を充実させる経済学』(ダイヤモンド社、2009年)

多田雄司 『外形標準課税の申告実務ガイド』(税務研究会出版局、2004年)

 

対外・対内直接投資の推移(財務省

http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bpfdi.htm

公的固定資本形成 統計表一覧(内閣府

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2016/qe161_2/gdemenuja.html

海外事業活動基本調査(経産省

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result-1.html

法人実効税率の国際比較(財務省

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm

世界の法定実効税率ランキング(世界経済のネタ帳)

http://ecodb.net/ranking/corporation_tax.html

社会保険料事業主負担の国際比較(8ページ)

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion3/2013/__icsFiles/afieldfile/2014/03/31/25dis32kai5.pdf

かつては1位だった世界競争力ランキング、2015年日本は27位

https://thepage.jp/detail/20150603-00000003-wordleaf