消費税増税に反対するブログ

消費税の財源の8割以上が法人税減税に消えている!消費税10%への引き上げを中止しよう!(コメントは、異論や反論も大歓迎です)

消費税増税が少子高齢化を加速させる

少子化が進んだのは経済成長率が落ちたから

 厚労省が発表した推計によれば、2017年の出生数は94万1000人で戦後最少を更新する見通しになっている。前年の2016年も出生数が100万人を下回って大きなニュースになったが、昨年はそれより3万6000人も減少していたとは非常に驚きだ。

 少子化の原因として、よく挙げられるのは「結婚しない若者が増えたからだ」「女性が社会進出したからだ」「豊かな社会になったからだ」というものである。しかし、これらの理由は本当に少子化の「真の原因」なのだろうか?

 

 例えば、国立社会保障・人口問題研究所が18~34歳の未婚者に行った調査で、「いずれ結婚するつもり」と回答した割合は男性が85.7%、女性が89.3%と高く、日本の若者の結婚願望が低いとは決して言えない状況である。

 また、自民党改憲案に『家族は、互いに助け合わなければならない』という条項を追加しようとしている理由について「昨今、家族の絆が薄くなってきている」と述べているが、日本人の国民性調査で「一番大切なものは家族」と答えた人の割合は1958年の12%から2013年の44%まで増加していて、家族の絆はむしろ深まっているのだ。

 

 更に、国税庁総務省のデータによれば民間企業に勤める女性の平均年収は男性の53.7%程度に過ぎず、15~24歳女性の非正規雇用率も1991年の20.3%から2016年の51.2%まで上昇し、年収100万円以下で働くワーキングプア層(2016年、約422万人)のうち78.4%が女性である。

 バブル期の1986年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性の社会進出はほとんど進んでいないのが現実だろう。

 

 下記の図48は高度成長期から2016年までの名目GDP成長率と出生数の推移を示したもので、この図を見ると1970年代後半以降の成長率と出生数の低下には強い相関関係があることがわかる。つまり、日本で少子化が進んだのは「豊かな社会になったから」ではなく、「消費税増税など政府の緊縮財政で、経済成長率が落ちて国民が貧困化したから」と解釈することも可能なのだ。

 先進国の中で最も公的な教育予算が少なく、毎日消費される食料品にまで標準税率が適用される日本では20年以上続いたデフレ不況が少子化にも影響しているのではないだろうか。

f:id:anti-tax-increase:20180122111646p:plain

 

 

出生数の多い国は経済成長率も高い

 その上、消費税を導入した1989年からは少子化がより深刻になっていて、消費税3%だった1989~1996年は出生数の平均が年間121.5万人なのに対し、消費税5%だった1997~2013年の平均が年間111.3万人、消費税8%に引き上げられた2014~2017年の平均が年間98.2万人と、増税すればするほど出生数が減少していることがわかる。

 よく、増税賛成派は「少子高齢化社会保障費が足りなくなるから消費税を引き上げるべきだ」と言うが、消費税を10%以上に増税したら深刻なデフレ不況で若者が子どもを育てづらくなり、ますます少子化が加速するのではないだろうか。

 逆に、アフリカなどの発展途上国で子どもが多いのは、経済成長率が高く基本的にインフレだからとも言えるだろう。

 

 先進国でも少子化を克服したと言われるフランスは日本より経済成長率が高く、1990~2015年の名目GDP成長率は日本が年間平均0.74%なのに対して、フランスは年間平均3.08%にものぼっている。

 図49では、日本とフランスの名目GDP成長率と出生率の推移を示した。

f:id:anti-tax-increase:20180122140547p:plain

 

 フランスでは子どもが3歳になったときから義務教育が始まるなど、対GDPの公教育支出の割合(2010年)が5.9%と日本の3.8%より多く、政府の公共投資も1996~2012年にかけて日本が0.47倍へと縮小していったのに対し、フランスでは1.66倍へと拡大を続けている。

 フランスで出生率が高まったのは婚外子が多いからでも移民を受け入れたからでもなく、こうした手厚い福祉政策や公共事業で政府の投資を増やし続けているからのようだ。

 

 また、付加価値税を見ても標準税率は20%だが、食料品の軽減税率は5.5%と日本の8%より安く低所得世帯に優しいと言える。その一方で、若年失業率が非常に高いという問題こそあるものの、日本がフランスの子育て支援を参考にすべき部分は多いだろう。

 

 

デフレ不況で子どもの貧困率が悪化した

 2017年6月に公表された厚労省の「国民生活基礎調査」によれば、2015年の相対的貧困率は15.6%、子どもの貧困率は13.9%と前回の2012年よりやや改善した。

 「子どもの7人に1人が貧困」と聞いて実感がわかない人も多いと思うが、日本における子どもの貧困は主にひとり親家庭に多く、「大人が2人以上いる家庭」の貧困率は10.7%なのに対し、「大人が1人のみの家庭」の貧困率は50.8%である。また、都道府県別に見た子どもの貧困率は東京が10.3%なのに対し、大阪では21.8%、沖縄では37.5%と地域間格差が存在する。

 

 図50は、1985~2015年の子どもの貧困率と直近3年間の名目GDP成長率の平均を示したもので、この図を見ると1990年代以降の長引くデフレ不況と子どもの貧困率の悪化には強い関係が存在することが確認される。

 その一方で、子どもの貧困率が2012年の16.3%から2015年の13.9%まで改善したのは、主に世界経済の回復による名目GDP成長率の上昇が影響しているだろう。

f:id:anti-tax-increase:20180122112502p:plain

 

 また、男性の年齢別給与の推移を見ても、1997~2016年の19年間で子育て世代に当たる30代後半の年収は77.4万円、40代前半の年収は81.8万円も減ってしまった(図51を参照)。

 2012年に実施された「男女共同参画社会に関する世論調査」では、前年に東日本大震災が発生して家族の絆を再認識するムードが高まった影響で、『夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』という考え方に賛成する割合が2009年の41.3%から51.6%まで増加したが、現代では高度成長期からバブル期にかけて終身雇用が当たり前だった時代と違って夫が妻や子どもを養えるだけの経済力を持っているとは限らないのである。

f:id:anti-tax-increase:20180122112519p:plain

 

 

子どもの貧困問題に冷淡な自民党議員

 ちなみに、安倍首相は2017年10月の衆院選で「アベノミクスによって雇用が改善し、相対的貧困率や子どもの貧困率が低下した」とアピールしていたが、残念ながら自民党は消費税増税で子育て世代の負担を増やしたり、低所得世帯の生活保護を削減したりと子どもの貧困問題について有効な対策を行っているとは言い難い。

 自民党の中でも右派議員として知られる山谷えり子氏は待機児童問題について「世の中に待機児童は居ない、居るのは待機親であり子どもは母親と一緒に居たい」と述べ、2017年の衆院選で当選した杉田水脈氏は沖縄の子どもの貧困率が高いことについて「子どもをほったらかしにしている母親が悪い」「できちゃった結婚が多いからだ」と暴言を吐いている。

 

 つまり、彼女たちにとって待機児童や子どもの貧困は母親の責任であって、政府が解決すべき問題ではないというのが本音らしい。「社会保障を全世代型に転換する」と宣言している政党の議員がこの程度の認識では、いつまで経っても子育て世代の社会保障が充実することはないだろう。

 

 更に、安倍政権下の実質GDP成長率の平均が民主党政権よりも低いことは既に指摘されているが、名目GDP成長率(2011年基準)も安倍政権前半の2012年10-12月期~2015年1-3月期では年率平均3.04%にのぼっていたのに対し、安倍政権後半の2015年4-6月期~2017年7-9月期では年率平均1.47%まで下落してしまった。

 子どもの貧困率は2015年に運良く改善したものの、現在では消費税増税から3年以上が経ちデフレ不況に逆戻りしているのは事実で、五輪特需が終了し消費税10%引き上げの影響が表れ始める2020年以降に再び子どもの貧困率が悪化してしまう可能性も否定できない。

 

 少子化や子どもの貧困を改善するためには、まず低所得世帯の生活保護就学援助制度を充実させ、公営子ども食堂を全国に普及させるのはもちろんのこと、消費税を3~5%に減税するか食料品を外食含め全て非課税にし、教育費支出や公共事業など政府の投資を増やす必要があるのではないだろうか。

 

 

<参考資料>

髙崎順子 『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮社、2016年)

中澤渉 『なぜ日本の公教育費は少ないのか』(勁草書房、2014年)

日本財団子どもの貧困対策チーム 『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす』(文藝春秋、2016年)

杉田水脈我那覇真子「対談 沖縄の問題は日本の危機の縮図」 『ジャパニズム36』(青林堂、2017年4月)

 

17年の出生数2年連続100万人割れ 自然減40万人超え

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24959800S7A221C1000000/

第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)

http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/gaiyou15html/NFS15G_html02.html

一番大切なものは自分の命や健康から家族へ

http://www.garbagenews.net/archives/1659143.html

民間給与実態統計調査 長期時系列データ

https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/jikeiretsu/01_02.htm

労働力調査 長期時系列データ

http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm

OECD Data Nominal GDP forecast

https://data.oecd.org/gdp/nominal-gdp-forecast.htm

公共投資水準の国際比較

https://www.sato-nobuaki.jp/report/2017/20170529-002.pdf

平成28年 国民生活基礎調査

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という意識の変化

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2410.html

どこか焦点がずれている安倍政権の女性・少子化対策

https://yoshiko-sakurai.jp/2014/08/09/5470

「若者が自民党を支持している」のカラクリ

自民党支持の割合は若者も高齢者も変わらない

 10月22日に行われた衆院選では、自民党が公示前と変わらず284議席を維持して勝利した。野党では立憲民主党議席を40名増やして勝利した一方で、希望の党議席を7名減らして惨敗している。

 私が最近の選挙で疑問に思っているのは、若年層ほど自民党支持者が多いという傾向があることだ。例えば、朝日新聞出口調査によれば比例投票先で自民党に投票した人は、18~19歳が46%、20代が47%、30代が39%、40代が34%、50代が31%、60代が29%、70歳以上が35%だった(写真を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20171229171841p:plain

 

 だが、私の住んでいる群馬県内で小渕優子氏などのポスターを貼っているのは高齢者が多く、いまいち「自民党を支持する若者」の姿が見えてこないように思う。

 その上、人気ブログランキングの「安倍内閣を支持しますか?」という調査では、「支持しない」と答えた回答者の中で30代以下は35.0%だった一方で、「支持する」と答えた回答者の中で30代以下は14.5%に過ぎない。

 安倍政権を熱烈に支持するネット右翼の溜まり場でもある2ちゃんねるYahoo!ニュースのコメント欄も、30~40代の中年男性が多く利用しているという調査もある。ネット上で政治的な書き込みを行うのは、若者ではなく中高年層に多いのが実情のようだ。

 

 更に、前述のような出口調査はあくまでも選挙へ行った人のみが対象になっていて、棄権者まで含めた割合というわけではない。

 今回の選挙の年代別投票率を見ると、18~19歳が40.49%、20代が33.82%、30代が44.62%、40代が53.54%、50代が63.32%、60代が71.88%、70歳以上が63.75%で、この投票率に前述の「自民党に投票した人の割合」を重ねると全世代で16~22%となっており、若者も高齢者もほとんど変わらない(図46を参照)。

 この結果から見えてくるのは、むしろ「自民党は幅広い世代から支持されている」という事実ではないだろうか。

f:id:anti-tax-increase:20171229222005p:plain

 

 

EU離脱に反対するイギリスの若者との共通点

 また、読売新聞社早稲田大学現代政治経済研究所が2017年7~8月に共同で行った調査によれば、40代以下は自民党日本維新の会を「リベラル」な政党だと捉えており、共産党公明党を「保守的」な政党だと捉えているという。

 一般的に、安倍首相は憲法改正北朝鮮拉致問題の解決に積極的な姿勢から「保守政治家」のイメージを持っている人も多いかもしれない。だが、実際には海外のスピーチで「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」「国を開くことが私の中に流れる一貫した哲学でした」と地球市民的な発言をし、国民生活を破壊しかねない自由貿易協定のTPPを「国家百年の計」などと言って推進している。

 

 このことから、私はむしろ安倍首相が保守ではなく左翼的な部分も兼ね備えていると思えてならない。若年層に自民党支持者が多いことについて、2ちゃんねるツイッターなどでは「ネットで情報を得た若い世代が保守化している」という期待を寄せた書き込みが多く見られるが、実際にはイギリスのEU離脱で若者ほど残留派の割合が高かったのと同じ構図ではないだろうか。

 

 EU(欧州連合)においては、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDP比で 60%を超えないことを条件とした「マーストリヒト条約」が定められ、それが付加価値税増税して財政破綻したギリシャなどEU各国の緊縮財政にも繋がっている。

 イギリスでも、2010年に就任した保守党のキャメロン政権が、付加価値税増税や福祉予算と公務員給与の削減、大学授業料の大幅引き上げなど緊縮財政を断行した。これは、消費税10%への増税プライマリーバランス黒字化目標に加え、介護報酬や診療報酬、生活保護を引き下げた安倍政権と通じる部分が多い。

 

 マスメディアではイギリスがEUを離脱した理由について、どうしても移民問題と関連付けようとしているが、残留派の顔だったキャメロン政権の緊縮財政に対する反発も大きかったのではないだろうか(ブレイディみかこ『労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱』 光文社、2017年)。

 

 しかし、EU離脱を問う国民投票を年代別に見ると、離脱派は18~24歳が27%、25~34歳が38%、35~44歳が48%、45~54歳が56%、55~64歳が57%、65歳以上が60%と高齢者ほど割合が高くなっていることがわかる。

 若者もキャメロン政権の緊縮財政の影響を受けているはずなのだが、あまり事態を深刻に受け止めていないようだ。

f:id:anti-tax-increase:20171229200751p:plain

 

 

若者が景気回復の恩恵を受けているとは言い難い

 高橋洋一氏などアベノミクスを評価する経済学者は「大卒の就職状況が改善して、若者が安倍政権を支持している」と述べ、茂木敏充経財相も安倍政権になってから「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57ヵ月)を超える景気回復の長さになった可能性が高い」との認識を示している。

 だが、数字が良いのは日経平均株価と有効求人倍率だけであって、名目GDPの増加率は高度成長期(1965~70年)が2.23倍、バブル景気(1986~91年)が1.35倍なのに対し、安倍政権(2012~17年)では1.11倍程度に過ぎない。個人消費の増加率も、高度成長期が1.94倍、バブル景気が1.32倍なのに対し、安倍政権では1.04倍程度である(図47を参照)。

 そもそも、個人消費は消費税を増税した2014年4月以降に著しく落ち込んでおり、茂木経財相が主張するような「いざなぎ超えの景気回復」には程遠いのが現実だろう。

f:id:anti-tax-increase:20171229202208p:plain

 

 更に、下記の写真はJAL日本航空)の1986年の入社式と2017年の入社式を比較したものである。バブルの頃は1986年の写真のようなカラフルなリクルートスーツで就職活動をする方も多かったのに対し、現在ではどの企業でもリクルートスーツは黒と統一されている。

 いくら有効求人倍率が回復しても、自由な服装で就職活動を行えるくらい企業や学生に余裕が生まれなければ「バブル景気が再来した」とは言えないのではないだろうか。

 

JALの1986年の入社式

f:id:anti-tax-increase:20171229202800p:plain

 

JALの2017年の入社式

f:id:anti-tax-increase:20171229202830p:plain

 

 それに、1960年代の高度成長期には佐藤栄作内閣が長期政権を続けていた一方で、地方では東京都の美濃部知事をはじめとして全国に革新自治体が次々と出現し、バブル景気の1980年代後半にはリクルート事件や消費税導入の反発もあって、土井たか子氏のブームなど社会党が強かった時代でもある。好景気だからといって、必ずしも若者が政権与党を支持するわけではないのだ。

 もし、今の10~20代が日経平均株価と有効求人倍率の上昇だけで安倍政権を支持しているなら、それは低成長や劣悪な雇用環境に甘んじていると批判されても仕方ないだろう。

 

 

野党は反緊縮的な政策で無党派層を取り込め

 私には弟がいるが、2016年の参院選で投票に行ったかその弟に聞いたところ行っていないという。投票に行かない理由は「今の自分の生活に不満を感じていないから」だと話していた。つまり、古市憲寿氏が『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社、2011年)で指摘しているような「日本がいくらデフレ不況に苦しめられていても、若者の多くは身近な友人たちと流行を分かち合っていて幸せだから政治に関心を持ちにくい」ということだろう。

 こうした政治的な関心があまり高くなく、現状に不満を抱いていない若者に「選挙へ行け」と促した場合、「野党のことはよくわからないから、とりあえず自民党に投票しておこう」と考える可能性が高い。自民党を支持する若者は、特定の政治思想を持っていないリベラルなサイレントマジョリティー層でもあるのだ。

 

 しかし、自分自身もそうであるように、現状に不満を抱いていない若者の多くは親世代の収入が良いという条件が存在する。逆に言えば、政府の教育支出がOECD加盟国の中で最低の日本では、所得の低い家庭に生まれた子供ほど恵まれた生活が送りにくいということでもある。

 

 立憲民主党の枝野代表は、自民党支持の若者をどう取り込むか質問された際に、「自民党を支持している有権者をひっくり返すのではなく、今回の選挙で投票に行かなかった人に次の選挙で立憲民主党に投票してもらう」と発言した。これは全く正しい戦略だと思っている。

 今の野党には森友・加計問題で安倍政権を追及するだけでなく、消費税引き下げや公共事業の拡大、子ども手当の復活、最低賃金の引き上げなど反緊縮的な政策をどんどん掲げて無党派層の支持を取り込むしかないだろう。

 

 

<参考資料>

時事トピックス:2017年衆院選における年代別比例投票先

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/j025.html

10代46%・20代47%、自民へ 衆院選朝日新聞社出口調査

https://www.asahi.com/articles/DA3S13205016.html

安倍内閣を支持しますか?(人気ブログランキング投票)

http://blog.with2.net/vote/v/?m=va&id=185582

「Yahoo!ニュース」のコメント欄、投稿者は男性が80%以上、40代が突出

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/03/news124.html

第48回衆議院議員総選挙最高裁判所裁判官国民審査

http://www.soumu.go.jp/senkyo/48sansokuhou/

20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている

https://www.businessinsider.jp/post-106486

若者が高齢層に怒り心頭「ベビーブーム世代の判断ミスだ」

http://www.sankei.com/world/news/160626/wor1606260036-n1.html

若者の「自民党支持増」はなぜか。左派系メディアにかわって教えよう

https://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-12324128930.html

JAL入社式から見える時代の変化

http://blog.goo.ne.jp/bongore789/e/0d74a5aaa63522616eff30cccb37ba74

自民支持の若者票をどう取り込む? 立憲民主党・枝野代表を直撃!

http://wpb.shueisha.co.jp/2017/11/06/94313/

消費税増税は法人税減税の穴埋めに過ぎない

消費税収の8~9割が法人税減税に消えている

 安倍政権は「人づくり革命」として、消費税を10%に増税する代わりに企業の法人実効税率を中国並みの25%程度まで引き下げることを明言した。

 希望の党の小池代表もアメリカのトランプ大統領や、フランスのマクロン大統領を見習って法人税減税を推進している。

 

 日本では消費税が導入された当時から法人税減税が急速に行われていて、法人税の基本税率は1984~86年度の43.3%から2016年度の23.4%に引き下げられ、国税地方税を合わせた法人実効税率も、1984~86年度の52.92%から2016年度の29.97%まで引き下げられている。2018年度からは基本税率が23.2%、法人実効税率が29.74%となる予定だ(表9を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20171016194000p:plain

 

 1989~2016年度まで日本人が払った消費税は計327.2兆円なのに対し、法人税は国と地方合わせて、税収が29.8兆円であった1989年度と比較すると計272.1兆円も減収した(図41を参照)。

 更に、森永卓郎氏の『消費税は下げられる』(角川新書、2017年)によれば、2014年からの消費税8%引き上げによる増税額(地方消費税を含む)のうち、初年度の増収額は8兆2462億円だった。

 それに対し、法人税は実効税率1%当たり6243億円の税収(法人事業税・住民税を含む)をもたらすため、実効税率を2010年度の40.86%から2016年度の29.97%に引き下げ、復興特別法人税を前倒し廃止したことによって、7兆7991億円もの法人税減税が行われていたことになる。

 つまり、消費税の財源は税収ベースで83.2%、税率ベースで94.6%が法人税減税の穴埋めに消えてしまったのだ。

f:id:anti-tax-increase:20171016195309p:plain

 

 マスコミの多くは「国の借金を返すために増税しなければならない!」「社会保障を充実させるために増税しなければならない!」と煽っているので、消費税の問題に関心を持って増税に反対している経済学者の本を読んだり、個人で講演活動を行っている方の話を聞いたりしない限り、消費税の財源のほとんどが法人税減税の穴埋めに消えている事実について知る機会が少ないは問題だろう。

 

 

法人税を減税しても海外への投資を増やすだけ

 消費税増税の代わりに、法人税を引き下げて企業に余力が生まれたとしても、増税で消費が停滞してデフレに陥るため、企業の利益は需要不足の日本ではなく海外へ投資される可能性が高い。

 例えば、日本の建設企業が海外の工場へ投資すれば、配当金として投資収益が日本に戻ってくるが、そのほとんどは株主に還元されたり、内部留保に蓄積されたりして企業で働いている従業員の報酬や国内建設には向かわない。その結果、国民の所得格差が拡大し、資金の海外流出によって経済効果はむしろマイナスに転じるのである。

 

 実際に、日本は政府による国内への設備投資の額を表す「公的固定資本形成」が1996年の46.7兆円から2016年の25.0兆円に減少する一方で、企業による海外への投資の額を表す「対外直接投資」は1996年の2.9兆円から2016年の18.4兆円まで増加した(図42を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20171016202000p:plain

 

 安倍政権は「法人税減税で浮いたお金を内部留保ではなく、設備投資に回すよう企業に呼びかける」と言っているが、それなら内部留保に課税して政府の公共投資を増やしたほうが法人税を減税するより効果的ではないだろうか。

 また、希望の党は消費税増税凍結の代替財源として内部留保への課税を検討しているのは良いが、それと同時に公共事業の削減も推進しており政府の投資を増やすことには否定的なようだ。

 

 経団連などは内部留保について「自由に使える預貯金とは違う」「設備投資や企業買収などで既に使われている」と説明するが、400兆円を超える額には現金・預金など換金可能な資産も多く含まれていて、一部を活用することは可能である。 

 その上、内部留保が増加する一方で、企業や家計の住宅に対する投資を表す「民間住宅投資」の額は1996年の28.1兆円から2016年の15.8兆円まで減少していて、「内部留保の多くが設備投資に使われている」という説明には無理があるだろう。

 

 

企業が海外進出するのは人件費が安いから

 更に、「法人税が高いと企業が海外に逃げ出す」というのも嘘で、日本は80年代後半から法人実効税率を引き下げているが、海外に拠点を置いて活動する企業の数を表した現地法人企業数は1985年度の5343社から2015年度の25233社にのぼっており、企業の海外進出はこの30年間で4.7倍にも増加している(図43を参照)。

 法人税が高くて企業が他国に逃げるなら、今より1980~90年代のほうが企業の海外進出が多くなければいけないが、実際には法人税の高い時代のほうが企業は国内で仕事をしていたのだ。

f:id:anti-tax-increase:20171016202402p:plain

 

 帝国データバンクは2011年8~9月に、海外進出率の高かった製造業七業種の企業のうち、海外への進出が確認できない4306社にアンケート調査を実施した。

 回答のあった1565社のうち、海外へ進出する意向を示したのは245社で、その理由(複数回答)は「海外市場の開拓」が173社(70.6%)、「取引先企業の海外移転」が82社(33.5%)、「円高」が78社(31.8%)、「安価な労働力の確保」が58社(23.7%)という結果になっており、「有利な税制(法人税や優遇税制)」を選択した企業は21社(8.6%)に過ぎない(図44を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20171016203602p:plain

 

 また、経産省の「海外事業活動基本調査」(2015年度)でも、海外進出を決定した際のポイントについて企業に3つまでの複数回答で聞いたところ、法人税が安いなどの「税制、融資等の優遇措置がある」を選択した企業は9.1%と一割にも満たなかった。

 「円高」などその時の経済状況に左右される理由を除けば、海外に進出する企業の多くが法人税の安さより「海外市場の開拓」や「安価な労働力の確保」を求めているのが実情のようである。日本とアジア諸国の賃金格差が数倍以上存在する場合、人件費の安い地域に生産拠点を移すのは自然なことだろう。

 もし、企業の国外流出を防ぎたいのであれば、法人税減税よりも海外に進出する企業に対して課税を行うべきではないだろうか。

 

 

法人税率を戻せば消費税増税する必要はない

 安倍政権がアベノミクス自画自賛する理由として、よく「企業が過去最高の収益を上げている」という発言がある。確かに、企業の経常利益は2016年度で75.0兆円と過去30年間で最も多く、バブル期であった1989年の38.9兆円より1.9倍も増加している(図45を参照)。

 消費税を増税して個人消費が大幅に落ち込んでも、景気が悪化したように感じないのはこうした背景があるようだ。

 

 しかし、国の法人税収は80年代後半以降に基本税率の引き下げが繰り返されたこともあり、1989年度の19.0兆円から2016年度の11.1兆円まで減少してしまった。もし、2016年の経常利益に1989年当時の税率(40%)が適用された場合、単純比較で法人税収は36.6兆円にものぼっていたことが予想される。

 これは2016年度の法人税収と消費税収を合わせた27.9兆円より多いため、法人税率を一昔前の水準に戻せば、消費税を引き下げても社会保障費を捻出することは可能なのだ。

f:id:anti-tax-increase:20171017054721p:plain

 

 10月22日の衆院選に向けたマスコミの報道では、どうしても「安倍首相 VS 小池都知事」の構図を作り出そうと必死に感じるが、彼らが法人税減税を推進していることに変わりはない。

 このブログをご覧になっている方々には、是非とも消費税増税法人税減税の両方に反対している政党に一票を投じてほしいと思う。

 

 

<参考資料>

「人づくり革命」推進の企業 減税

https://www.houdoukyoku.jp/clips/CONN00371074

小池都知事会見詳報(1)「日本に足りないのは希望」

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20170925/mog/00m/010/002000c

消費税廃止各界連絡会

https://www.facebook.com/zouzeistop/

海外事業活動基本調査 -2015年度実績-

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result/h27data.html

法人企業統計調査

http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/index.htm

富裕層に増税して日本の軍事力を高めよう

消費税増税社会保障が充実するとは思えない

 9月25日、安倍首相は記者会見を開き、10月22日に衆議院選挙を実施することを発表した。2014年の衆院選と2016年の参院選では、選挙の前に消費税の引き上げ時期を延期したが、今回は増税延期の決断をせず、2019年10月の消費税引き上げを明確に争点化してきたと言えるだろう。

 安倍首相は「消費税収を全額、社会保障に使う」と言うが、その一方で自民党改憲案24条には『家族は、互いに助け合わなければならない』という条項が新設されており、これを削除しない限りどれだけ自民党が「教育無償化」や「介護離職ゼロ」を掲げても、『家族の問題は家族だけで解決してね』と自己責任論で見捨てる改憲案と矛盾することになる。

 

 また、自民党の中には麻生副総理が医療費負担について「食いたいだけ食って、飲みたいだけ飲んで、糖尿病になって病院に入っているやつの医療費はおれたちが払っている。公平ではない」(2013年4月24日の発言)と述べたり、山田宏議員が待機児童問題について「生んだのはあなた。育児は親の責任」(2016年3月31日の発言)と述べたり、大西英男議員が受動喫煙防止策について「がん患者は働かなくていい」(2017年5月15日の発言)と述べたりなど、社会保障の問題において自己責任を強要する発言が多く見られる。

 

 更に、『社会保障の充実を阻む「自己責任論」』でも述べたように、日本は先進国の中で最も貧困問題に対して自己責任論が強く、ベネッセと朝日新聞が小中学生の保護者を対象に行った調査でも、「豊かな家庭の子供のほど、より良い教育を受けられる傾向」があることについて、「当然だ」「やむを得ない」と回答した人が2008年の43.9%から2012年の59.1%まで増加している。

 日本で社会保障が充実しないのは消費税が安いからではなく、経済格差を容認し、貧困問題を自己責任で見捨てる国民の意識の問題なのだ。

 

 そもそも、都議選の惨敗から3ヵ月程度で衆議院を解散したのは、8月頃から北朝鮮の弾道ミサイルがいつ日本に落下してもおかしくないほど、国際情勢が緊迫化してきたことも背景として存在するだろう。

 もし、今後も北朝鮮がミサイルを発射して挑発を続けるようなら、安全保障に対する国民の不安の高まりから、財務省が「軍事費を増やすために消費税を引き上げろ!」と言い出す可能性も否定できない。実際に、明治時代から昭和初期まで税金は戦費調達のために存在していて、消費税の前身である「物品税」や、給料から所得税を控除する「源泉徴収」は戦時中の1940年に導入されているからだ。

 2011年3月に発生した東日本大震災直後の「復興増税」のように、どんな汚い手を使ってでも増税を煽ってくる財務省やマスメディアは許しがたいが、これだけ北朝鮮情勢が緊迫化する中で日本共産党社民党のような「消費税を引き上げる前に、軍事費を削減せよ」と主張するリベラル政党に支持が集まるとも思えない。

 

 

富裕層に増税して軍事費の財源を捻出すべき

 そこで、私は「所得税最高税率引き上げを財源として、防衛関係費を大幅に増額すること」を提案したい。例えば、世界恐慌の真っ只中だった1930年代のアメリカでは、当時のルーズベルト大統領がニューディール政策を行う財源として、所得税最高税率を24%から63~79%まで引き上げ、1950年代のアイゼンハワー大統領の時代には冷戦における軍事費を捻出するために、最高税率を91%まで引き上げている。

 この他にも、不動産に対する相続税率は1920年代の20%から1950年代の77%まで引き上げられ、法人税率も1929年の14%から1955年の45%まで増税された。戦後の高度経済成長期、日本人が憧れたアメリカの豊かな中流階級は、富裕層や資産家に高い税金を課して所得格差を解消したことで生まれたと言えるだろう。

 

 所得税最高税率を引き上げると、企業経営者たちの中には「どうせ税金で取られるなら自分が高額の報酬を受けるより、社員に還元したほうがマシだ」と考え、従業員の給料を上げて社内の福利厚生を充実させたほうが、会社にとってメリットが大きいのではないかという意識が働く。

 実際に、日本は2015年に課税所得4000万円以上の富裕層に対して、最高税率を40%から45%に引き上げた影響で、消費税増税による個人消費の大幅な落ち込みにも関わらず、民間企業の平均年収は2014年の415.0万円から2016年の421.6万円まで、2年間で6.6万円上昇している。

 

 消費税増税の賛成派は「所得税最高税率を引き上げると、富裕層の海外流出を招いて日本経済の活力が失われる」と言うが、年収1000万円以上の給与所得者は2014年の199.5万人から16年の208.2万人まで8.7万人増加し、100万ドル(約1億1000万円)以上の投資可能な資産を保有する人も、2014年の245.2万人から16年の289.1万人へと43.9万人増加しており、所得税増税しても富裕層が海外に逃げるという事態は発生していないのだ。

 

 日本の防衛関係費は、アメリカの同時多発テロ事件の翌年である2002年度の4億9557億円をピークに2012年度の4兆6453億円へと減少していたが、近年は周辺諸国の安全保障環境が厳しさを増す中で2017年度の5兆1251億円まで増加を続けている(下記の図40を参照)。

 更に、防衛省は2018年度における一般会計予算でも、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃に対する防衛強化などで5兆2551億円の軍事予算を要求し、今後も防衛関係費は増加の一途をたどると予想される。軍事費の財源として富裕層に増税すれば、景気を悪化させることなく国防を強化できるだろう。

 間違っても、太平洋戦争中の「ぜいたくは敵だ!」「欲しがりません勝つまでは」といったスローガンで国民の消費を抑制し、経済を疲弊させてはいけないと思う。

f:id:anti-tax-increase:20171004133032p:plain

 

 

<参考資料>

ポール・クルーグマン 『格差はつくられた 保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略』(三上義一 訳著、早川書房、2008年)

和田秀樹 『経営者の大罪 なぜ日本経済が活性化しないのか』(祥伝社、2012年)

 

自民改憲案第24条は「家族の問題は家族だけで解決してね。国は保護しないよ」、「結婚する相手や住居を選ぶ自由は無いよ」というトンデモ内容だった

https://togetter.com/li/997432

「格差はつくられた」を読む(1)

http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-108.html

平成28年分 民間給与実態統計調査

https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2016/pdf/001.pdf

アベノミクスの3年で富裕層は1.4倍増と先進国トップ

http://editor.fem.jp/blog/?p=2431

World Wealth Report  Compare the data on a global scale

https://www.worldwealthreport.com/Global-HNWI-Population-and-Wealth-Expanded-Around-the-Globe

一般会計税収の推移

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.htm

防衛関係費の推移

http://www.mod.go.jp/j/publication/net/shiritai/budget_h26/img/budget_01_a.jpg

平成29年度防衛関係予算のポイント

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2017/seifuan29/19.pdf

概算要求、4年連続100兆円超=社会保障、防衛費増-18年度

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082501140&g=eco

安倍首相はただちに消費税増税を中止すべき

「デフレ逆戻り」こそ自民党が惨敗した原因

 7月2日に実施された東京都議会選挙で、小池都知事が率いる都民ファーストの会が49議席を得て勝利し、公明党追加公認した無所属候補などを合わせて小池氏を支持する勢力が計79議席にものぼった。その一方で、自民党は57議席から23議席に減らして惨敗し、過去最低だった2009年の38議席を大幅に下回った。この結果を受けて、安倍政権は8月3日に再び内閣改造を行った。

 自民党の敗因は国政で追及が続けられた森友・加計学園の問題に加え、豊田真由子議員の暴言や稲田元防衛相の失言などが挙げられているが、果たして原因は本当にそれだけだろうか?

 私は安倍政権のスキャンダルの他にも、消費税増税から3年経って日本経済がどんどんデフレ不況に逆戻りしていることも無関係ではないと思っている。

 

 実際に、NHKが今回の投票で何を重視したか聞いたところ、「景気・雇用」が27%、「教育・福祉」が29%とこの2つで半数を超え、「議会改革」の11%や「築地・豊洲市場への対応」の12%を上回っており、争点が都政だけでなく経済問題にも及んでいたことがわかる(写真を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20170819215942j:plain

 

 安倍政権や日銀の黒田総裁は当初、「2%の物価上昇率を目指す」と発言していたが、総務省が発表している東京都区部消費者物価指数を見ると、2016年のコアCPI(生鮮食品を除く総合)は前年比マイナス0.3%で、2017年2~7月にはコアコアCPI(食料〔酒類を除く〕及びエネルギーを除く総合)が6ヵ月連続で前年同月比マイナスとなっている(図35を参照)。

 ちなみに、物価が下落してデフレになると給料も減少するが、厚労省が発表している実質賃金指数を見ると「きまって支給する給与」も2017年1月から6月まで前年同月比マイナスの状態が続いている。

f:id:anti-tax-increase:20170820114223j:plain

 

 

安倍政権になってから停滞する個人消費

 また、家計の「消費水準指数」も消費税を8%に引き上げた2014年4月から2017年3月までの36ヵ月中、32ヵ月が前年同月比マイナスとなっており、これは消費税を5%に引き上げた1997年4月~2000年3月の36ヵ月中、24ヵ月マイナスと比べても消費の落ち込みが激しいのである(図36を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20170820091804j:plain

 

 この他にも、国民経済計算の「民間最終消費支出」(実質額)を見ると、リーマンショックから安倍政権初期までの4年間(2009年4-6月期~2013年4-6月期)では約19.9兆円も増えているのに対し、その後の4年間(2013年4-6月期~2017年4-6月期)では約1.7兆円のみの増加に留まっている。

 特に、安倍政権になってから消費税が引き上げられるまでの1年間(2013年1-3月期~2014年1-3月期)に限れば約9.8兆円増加し、その後は急激に落ち込んでいるため、いかに増税の影響が深刻なのかわかるだろう(図37を参照)。

f:id:anti-tax-increase:20170820110403p:plain

 

 

バブルの頃と現在では全く状況が異なる

 しかし、政府は「消費税増税による景気悪化」を決して認めようとせず、安倍政権を熱烈に支持する産経新聞の記者は、有効求人倍率がバブル期並みに回復したことを理由に、「アベノミクスは着実に成果を出している」と述べている。

 だが、実際にバブルの終わり頃だった1991年と2015年を比較すると、正社員で働く人の数は24年間で322万人も減少した一方、年収200万円以下で働くワーキングプア層は24年間で420万人も増加しており、いくら有効求人倍率が高くてもバブルの頃と今とでは全く状況が違うのだ(図38を参照)。

 ちなみに、消費税が5%に引き上げられた1997年と比較すると、正社員で働く人は18年間で495万人も減少、ワーキングプア層は18年間で317万人も増加している。

f:id:anti-tax-increase:20170820104620j:plain

 

 更に、安倍政権は当初、「アベノミクス第二の矢(機動的な財政政策)」として公共事業の大盤振る舞いを宣言していたが、政府の公共投資(公的固定資本形成、2011年基準)の額は2013年10-12月の27.0兆円から2017年4-6月期の25.8兆円まで約1.2兆円減少しており、安倍首相がアベノミクス自画自賛すればするほど増税後の景気対策は遅れ、財政も緊縮的になってきているのが現実のようである。

 竹中平蔵など、アベノミクスを評価する経済学者は「デフレの原因はマネタリーベースの不足なので、日銀が金融緩和を続けていれば景気対策は十分だ」と言うが、私は金融緩和や財政出動と合わせて消費税を引き下げることこそ、真のデフレ脱却につながると考えている。

 

 

消費税を増税してプライマリーバランスが悪化した

 ところで、消費税増税の賛成派は「プライマリーバランス基礎的財政収支)を改善させるために増税が必要」と言う。例えば、経済ジャーナリストの町田徹氏は「『基礎収支8兆円赤字』でも、バラマキしかしない安倍政権が痛々しい」という記事で、安倍政権になってから消費税10%への引き上げが2度延期されたことを痛烈に批判している。

 しかし、1981年以降のプライマリーバランスの推移を見ていくと、80年代に黒字化していたプライマリーバランスは消費税を導入した翌年の1990年の12.86兆円をピークに悪化を始め、5%を増税した翌年の1998年には金融危機の影響もあってマイナス46.99兆円まで大幅に悪化している。2014年に消費税を8%に引き上げてからも、翌年の2015年にはプライマリーバランスがやや改善したが、2016年になると再びマイナス16.54兆円からマイナス21.56兆円へと悪化した(図39を参照)。

 このことから、消費税増税プライマリーバランスには何も関係がなく、むしろ増税するとデフレ傾向になり名目GDP成長率が下がって、プライマリーバランスが悪化してしまうことがわかるだろう。

f:id:anti-tax-increase:20170820105838p:plain

 

 

バラマキ財政のほうがプライマリーバランスは改善する

 その上、「政府がバラマキ財政を行うとプライマリーバランスが悪化する」という主張も事実ではない。プライマリーバランスが黒字化していた1981~1990年はまだ物品税や消費税3%の時代で、政府の公共投資(公的固定資本形成、2005年基準)が25.8兆円から30.3兆円まで9年間で約4.5兆円も増加し、公共事業関係費は7.0兆円から8.2兆円まで約1.2兆円増額している。

 それに対し、2001~2010年にかけては消費税が5%で、政府の公共投資は33.6兆円から21.6兆円まで9年間で約12兆円も減少し、公共事業関係費を11.4兆円から6.4兆円まで約5兆円削減したにも関わらず、小泉政権で改善していたプライマリーバランスリーマンショック後の2009~10年で大幅に悪化してしまった。

 つまり、プライマリーバランスを黒字化させるには、緊縮財政ではなく経済成長こそが必要で、そのためには財政出動や公共事業の拡大など政府の「バラマキ政策」を行うべきだろう。

 

 ちなみに、8月14日に発表された2017年4-6月期のGDP速報(2011年基準)によれば、実質GDP成長率は年率4.0%、名目GDP成長率は年率4.6%と比較的高い数値を記録した。消費税を引き上げた直後である2014年4-6月期の実質GDP成長率は年率マイナス7.6%、名目GDP成長率は年率マイナス0.2%だったので、やはり増税を延期して正解だったことが数字にも表れたと言える。

 安倍首相は次の衆院選に向けて今すぐ消費税10%への引き上げを中止すべきだし、都民ファーストの会民進党は増税反対を掲げて自民党を追及していくべきではないだろうか。

 

 

<参考資料>

【選挙アナリストが分析する都議選】知事の都政運営はどのように評価されたのか

http://go2senkyo.com/articles/2017/07/10/31146.html

10年前の夏とどこか似てないか? 「安倍降ろし」の裏に見え隠れする「憲法改正封じ」

http://www.sankei.com/premium/news/170703/prm1707030007-n3.html

「基礎収支8兆円赤字」でも、バラマキしかしない安倍政権が痛々しい

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52391

2月28日発売「消費税の歴史と問題点を読み解く」

本ブログの内容をまとめ、大幅に加筆した新書が2月28日に発売されます。興味を持っていただいた方は、書店やAmazon等で購入してもらえると有り難いです。

 

        f:id:anti-tax-increase:20170222153453j:plain

 

 

目次

第1章 消費税の歴史(近代史から橋本内閣まで)

第2章 消費税の歴史(小泉内閣から安倍内閣まで)

第3章 増税グローバリズムのここがおかしい!

第4章 世界の消費税、軽減税率、所得税の負担率

第5章 消費税は社会保障に使われていない

 

内容紹介

 消費税は身近な税金である。しかし国税のなかで消費税は滞納金が多く、増税をしていくにつれて滞納額が増加するという問題点はあまり知られていない。また、消費税引き下げの議論はない一方で、法人税減税は行われている。

 本書では、消費税の導入から増税が繰り返される日本の歴史、欧米諸国との比較、消費税増税についての問題点を明らかにする。消費税に関して改めて整理し、増税後、国民の生活にどのように影響していくのか考察していく。

 

著者 大谷 英暉  ISBN 978-4-344-91106-2

新書186ページ 価格864円

 

 

消費税の歴史と問題点を読み解く

http://www.gentosha-book.com/products/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%E3%82%92%E8%AA%AD%E3%81%BF%E8%A7%A3%E3%81%8F/

 

子どもの貧困・教育格差・自己責任論

59.1%の家庭が教育格差を容認している

 日本の自己責任論は生活保護バッシングだけでなく、教育の問題でも蔓延していることが確認できる。

 ベネッセと朝日新聞が2012年、小中学生の保護者(6831名)を対象に行った調査では「豊かな家庭の子供のほど、より良い教育を受けられる傾向」があることについて、「当然だ」「やむを得ない」と回答した人が合わせて59.1%も存在し、2008年の調査より約15%も増加している(図30を参照)。

 

 2008年から2012年にかけては、リーマンショック東日本大震災の発生など社会情勢が大きく変わり、不況や災害によって教育環境の変化を強いられる家庭が少なくなかったにも関わらず、教育格差を問題視する声はむしろ弱まっているのだ。

 

f:id:anti-tax-increase:20170205121912j:plain

 

 厚労省が公表している「相対的貧困率」は1985年の12.0%から2012年の16.1%まで増加し、「子どもの貧困率」も10.9%から16.3%に増加した(平成25年国民生活基礎調査)。相対的貧困率とは、全人口の所得階層のうち、中央値の半分未満である世帯員の割合を表し、子どもの貧困率は18歳未満の子ども全体のうち、貧困世帯に属する割合を表している。

 ちなみに、2015年の「相対的貧困率」と「子どもの貧困率」は2017年7月頃に公表予定である。

 

 特に、日本は「ひとり親家庭貧困率」が非常に高く、親が働いていない家庭(47.4%)よりも働いている家庭(56.0%)のほうが、貧困率が高いという特徴がある(図31を参照)。2011年のひとり親家庭は約146万世帯で、そのうち母子家庭が8割以上(約124万世帯)にのぼっており、母子家庭の80.6%は働いているものの、パート・アルバイトと派遣社員を合わせると52.1%と、非正規雇用が過半数を占めている(厚労省平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」より)。

 国税庁の「民間給与実態統計調査」を見ても、女性の平均年収は男性の50~60%にしか満たず、男女の賃金格差が母子家庭の貧困率を増加させる原因になっているのかもしれない。

 

f:id:anti-tax-increase:20170205125033j:plain

 

 また、親の所得に比例して子どもの成績も良くなっていく「学力格差」の問題も深刻だ。お茶の水女子大学が2013年度に実施した小学6年生の全国学力テストの正答率と世帯年収の相関関係を分析すると、年収200万円未満の家庭では算数Aが67.2%、国語Aが53.0%だったのに対し、年収1500万円以上の家庭では算数Aが85.6%、国語Aが75.5%にものぼり、世帯収入の差で学力テストの正答率に約20%の開きが生じていることがわかる(図32を参照)。

 親の所得が高いと子どもを学習塾に通わせるなど、教育投資の額が増えて学力テストで良い結果を出しやすくなるのだろう。

 

f:id:anti-tax-increase:20170205125112j:plain

 

 

「子どもの貧困」問題に冷淡な日本社会

 しかし、日本の社会はあまりにも「子どもの貧困問題」に無関心だ。例えば、最近でも2016年8月18日にNHKニュースで、母子家庭の女子高生が低所得のため専門学校へ通う学費を捻出できず進学をあきらめてしまったこと、自宅にパソコンやクーラーがないという窮状を扱った内容の番組を放送したところ、ネット上では女子高生のツイッターを個人特定し、アニメのグッズを買っただの、高いランチを食べただの、私生活を徹底的に調べ上げて「NHKの捏造だ!」などと大騒ぎした。

 

 女子高生を誹謗中傷する書き込みの多くが自民党を熱烈に支持しているネット右翼によるもので、実際に片山さつき議員もネット上の誹謗中傷を鵜呑みにしてNHKに説明を求めたようだが、それ以上に問題なのは「先進国の日本に貧困問題は存在しない」「発展途上国に比べればまだまだ恵まれている」と勘違いした人があまりにも多いことである。

 今は海外を見渡しても、アメリカで貧しい人々もいれば、カタールUAEアラブ首長国連邦)でお金持ちの人々もいる。「先進国は豊かで、発展途上国は貧しい」という従来のイメージは崩れつつあるのだ。それに、「日本の貧困は発展途上国に比べれば恵まれている」と思っている人は何故、経済成長が著しい発展途上国の貧困を心配して、デフレ不況が長期化している日本国内の貧困を心配しないのだろうか。

 厚労省の人口動態統計によれば、2015年に「栄養失調」と「食糧の不足」で亡くなった人は合わせて1597名も存在し、「餓死」は決して発展途上国だけでなく日本でも起こり得る問題なのだ。

 

 また、子どもの貧困問題に冷淡なのは政府も同じで、例えば2016年6月19日放送のNHK日曜討論」では、山本太郎議員から子どもの貧困率が過去最高の水準に達していることを指摘された際に、安倍首相は「2012年までの数字しか出ていない。安倍政権とは関係ない」と言い訳した。しかし、子どもの貧困率は1980年代から長い時間をかけて上昇してきたのであって、安倍政権になってからの数年間で解決できる問題ではないだろう。

 その上、日本財団の推計では子どもの貧困を放置すれば、国民所得の損失は総額で42.9兆円、政府の財政収入の損失は総額で15.9兆円にものぼっており、社会的影響が非常に大きいとされている。

 

 

日本の公教育支出はOECD加盟国の中で最低

 日本では親が子どもの学費を負担すべきという意識が強く、教育費の公的支出もOECD加盟国の中で最低レベルである。「対GDPの公教育支出の割合」(2010年)はデンマークノルウェーで8.8%なのに対し、日本では3.8%にしか過ぎない(図33を参照)。この点は消費税が高く、子どもの教育費が安い北欧諸国との大きな違いだろう。

 特に、大学の年間授業料は70年代以降上昇を続けていて、1975年当時であれば東京都の公立大学は1万5000円、国立大学は3万6000円、私立大学は15万3000円と比較的安かったが、2015年には公立大学が52万0800円、国立大学が53万5800円、私立大学が74万5340円まで高騰している(図34を参照)。

 

f:id:anti-tax-increase:20170205130359j:plain

 

f:id:anti-tax-increase:20170205130451j:plain

 

 更に、財務省は2015年5月に行われた財政制度等審議会で、「国立大は富裕家庭出身の学生が多い」という状況に甘んじて、文科省が定めている国立大学の授業料(年間53万5800円)を私立並みに値上げすることを検討した。日本では「消費税を上げて、教育費も値上げする」という方向で改革が進められているようである。

 元財務官僚で安倍首相の経済ブレーンとしても活動する高橋洋一氏は「東大を私立化して、裏口入学を認めれば数兆円が国庫に入ってくる」と言うが、東大に合格する学生の多くは中学や高校のうちから学習塾や予備校に通うため、多額の教育投資を行っているのであって、国立大学を私立化して学費が更に高くなれば低所得者や中間層出身の優秀な学生から敬遠され、東大の学力レベルは著しく低下するだろう。

 

 「対GDPの公教育支出の割合」が6.8%で、高負担・高福祉の国の一つと言われているフィンランドでは1991年のソ連崩壊後、経済が危機に見舞われて国家財政がひっ迫した際に、当時の教育相が「このような危機の時こそ、教育に投資することが将来の経済成長を生み出す」と考え、教育費の大幅増額を要求した。その精神が現在まで堅持されているという。

 日本で消費税増税に頼らず、教育費の公的支出を増やしていくためには、政府が教育予算を「負担」だと思わず、「国民を育てる未来への投資」だと考え方を改める必要があるのではないだろうか。

 

 

<参考資料>

大山典宏 『生活保護 VS 子どもの貧困』(PHP研究所、2013年)

高橋洋一 『日本は世界1位の政府資産大国』(講談社、2013年)

田口理穂 ほか 『「お手本の国」のウソ』(新潮社、2011年)

日本財団子どもの貧困対策チーム 『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす』(文藝春秋、2016年)

 

学校教育に対する保護者の意識調査

http://berd.benesse.jp/up_images/research/all.pdf

平成25年 国民生活基礎調査の概況

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf

OECD Family Database

http://www.oecd.org/social/family/database.htm

平成23年度全国母子世帯等調査結果報告

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-katei/boshi-setai_h23/

平成25年度 全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究

https://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/kannren_chousa/pdf/hogosha_factorial_experiment.pdf

NHK「貧困女子高生」報道炎上~ネット右翼と融合する政治家~

http://bylines.news.yahoo.co.jp/furuyatsunehira/20160823-00061409/

日曜討論参院選22日公示 各党首に問う(2016年6月19日)

https://www.youtube.com/watch?v=-ajARkkJdvA#t=18m08s

小売物価統計調査(動向編)調査結果

http://www.stat.go.jp/data/kouri/doukou/3.htm

教職員4万人削減…「少子化」着目、歳出見直し案

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6466.html